チビは思う。
夕焼けはこんなにキレイなのに
見てるとなんだか悲しい気持ちになってしまうのは何故なんだろうって。
お部屋の中は暖かくて
美味しそうな食べ物もあって
それなのに外はなんてさみしいんだろう、、、
デカが言う。
「夕焼けってのは、おうちに帰れるぼくらと
帰れない誰かとを分ける役目を果たしてるのさ。
そして、別れ別れになったぼくらを慰めてる。
外に住むもの、家にすむもの
仲間になれないぼくたちを慰めてるのさ。」
「そうかぁ‥。」
チビは心の中でつぶやいた。
外に住む、目に見えないものたちをチビは怖いと思っている。
でもなんだかこの夕焼けを見ていると
いつかはみんなと仲間になれそうな気もする。
だって、きっと、彼らもこの夕焼けを見てキレイだなって思って
同じようにまた、さみしい気持ちも味わっているに違いないんだから。
きっとこの夕焼けがカギを握ってるんだと思う。
祈るような気持ちで
夕焼けに言って見る
「さよなら、夕焼けさん、また明日!」
それを毎日、毎日、毎日繰り返してみる。
そして今日もまた挨拶をしてみる。
相変わらず、何も何も変わらない世界に向かって小さな口を動かす。
きっと違う世界の何かと通じる道が開けると信じながら。