モンゴル映画「ツォクト=タイジ」上映案内

2002.10/06より12/08までホームページに掲載していた案内です。

・チベットの歴史をめぐる映画
*ツォクト・タイジ* 近日上映!
 制作:1945年/モンゴル人民共和国
 監督:Y・タリチ/M・ボルド
 色彩:白黒
 時間:155分

  上映日時:2002年12月7日 14:10〜16:45
 会場・企画:碧水ホール 滋賀県甲賀郡水口町5671(〒528-0005)
 モンゴル映画祭(2002年11月30 〜 12月8日)
 Webページ:http://www.town.minakuchi.shiga.jp/hekisuihall/
 TEL : 0748-63-2006
 FAX : 0748-63-072
 e-mail:hekisuih@town.minakuchi.shiga.jp


上映館・碧水ホールの「モンゴル映画祭」のチラシより
十七世紀の民族的英雄ツォクト・タイジとその一族を描いたモンゴル映
画史に輝く大河ドラマ。モンゴル侵略を狙う清朝軍、ラマ教の勢力拡大
をはかるチベットのダライ・ラマも絡んで戦国の絵巻物が展開してゆく。
この映画の主人公チョクトゥ・ホンタイジ(1581-1637)は、生涯の大
部分をモンゴルで活動した人物ですから、映画の舞台もモンゴルが主にな
ると思われますが、晩年は青海地方で活動、ダライラマ五世やオイラト=
モンゴル族の指導者グシハンら、近世チベットの扉を開いた立て役者たち
と「敵対者」として関係を持ったことで、「チベット史上に永く名を残す
人物」となっています。
主人公は、チベットの史書では、ゲルク派の滅亡を目論むデシー=ツァン
パ政権の同盟者として登場、グシハンが、ゲルク派とダライラマを救うた
めチベット平定(1637〜42)に乗り出した際、最初の戦いであっけなく
打倒されてしまう単なる脇役として描かれています。
しかしこの映画においては、主人公とグシハンとの決戦は「民族の英雄」
の生涯の最後を飾るクライマックスですから、チベットの史書とは全く異
なる描写がなされると思います。いったいどのように描かれるのか、大変
に楽しみです。

       ※         ※

参考文献: 岡田英弘「チョクト・ホンタイジについて」
   (『アジア・アフリカ言語文化研究』1・東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所1968年刊、pp.111-125)


邦文では、いまのところチョクトゥの生涯をテーマとした唯一の研究。
チョクトゥ・ホンタイジの系譜、生没年、モンゴルにおける事績などの考証や、彼の詩歌の紹
介が行われている。
・・・併し,CoGtu qong tayiji が今日記憶されるのは,彼のかかる
政治上,宗教上の活動によってではない。彼はその作に係る美しい韻文
によって,蒙古文学史上に不朽の地位を占めてゐるのである。その韻文
とは,Dukhmin dud nur 湖畔の岩上に記された,Dutin Khara Chulu
と呼ばれる磨崖に伝へられる,伯母を慕う切々たる情を歌ったものであ
る。・・・CoGtu qong tayiji は,この磨崖の刻成後十数年にして
QosiGud の Guusi qaGan に敗死し,その事業も廃滅に帰したが、この
一扁の悲歌によっていつまでも人々の心に記憶されるであらう。

             (pp.122, 125)


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