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「前衛の体現としてのアフタヌーン」

 月刊アフタヌーンという雑誌がある。あまりメジャーじゃないけど、 「広辞苑か?」っちゅーくらいのぶ厚さで目立ってる漫画雑誌だ。
  普通雑誌というものは、必ず雑誌ごとに「カラー」っていうものがあり、 その色使いがうまいほど、その雑誌はいい(おもしろい)ということになる。 が、「アフタヌーン」の場合、その色は混沌としている。絵の具の色がごちゃごちゃ になった 水指しのような感じに。
  オタク受け確実な売れ線から、漫画表現に対する挑戦のような斬新な作品が同居する その様は、 非常におもしろく、その混沌こそ漫画雑誌ならではの魅力のような気がする。 (こういう混沌は連載作品のテイストが二極分化している「ヤングマガジン」からも 感じられる)
  四季賞による新人発掘にも力が入っており、現在の目玉連載が終了していくそこから の展開も気になる。 前衛(アバンギャルド)とは、奇抜ということではなく、その分野の最前線にいると いうことだ。 (余談になるが、例えば休刊前までの末期「ガロ」を俺が個人的に受け付けなかった のは、 「ガロ」がその前衛を勘違いしてる、と思ったから。 長井編集長は、決して「イメージとしての「ガロ」的なもの」の存続のために「ガロ 」を続けたわけじゃないと思う。 だってあれは本来メジャーな力を持った作品「カムイ伝」のために創刊されたような ものなのだから) この雑誌からは、その最前線でやっていこうとする野心が感じられる。 (雅)
モドル