98 10 19  2
「初版本、及びプレミア本に一言」

 古本屋。特にかなり品揃えのいい店に行くと、よく見られるのが、「初版」という張 り紙。 そして、凄い値段がつけられている。
  初版の本というのは、例えば初回限定仕様のレコードに近いのかもしれない。 ただ、ここで思ってしまうのは、何故高いのか。 そりゃあ、いい本、何回も重版されてるものの初版というのは、持っていれば、 「先見性があった」って感じで悪い気分じゃないだろう。 しかし、その初版が出てから後に生まれたような世代があえて初版でその本を 手に入れなければならない必然性は全くない。 大切なのは、その本の中身だろう。
  中身に変更点や修正がない限り、昔のものだろうが去年刷られたものだろうがいいんじゃないだろうか? レコードと違って、初版だと箱がついてるってわけでもないし。
  そしてさらに問題なのが、意味の判らないプレミア本である。 確かに希少価値というものがある以上、レアな本が高くなるのはわかるが、 内容的に、どう考えてもその値段で買う価値のある本じゃないだろ、って本がしばし ば見受けられる。 それは、完全にその「本自体」の希少価値になっていて、作品的価値ではない。 内容も見ずに、何かのグッズのように本を扱うということだけはやめてほしい。 本をグッズやただの商売道具として考えてる人にはそれでいいかもしれないが、 本当に中身を読みたい人に迷惑である。 ただ、プレミアに無闇矢鱈に反対なのではない。 逆に、例えば古い少女漫画などは、古本屋に利益がちゃんと出る程度にプレミアをつ けて(何百円でもいい) 市場から消滅しないようにしないといけない、と知りあいの古本屋の店主に聴かされ たことがあり、 そういうプレミアには大賛成だ。(現状では経済価値がなく、捨てられていく一方らしい)
  マンガ文化のこれからに、これまでも、これからも大事なのは中身である。 レアだ、とか、プレミアが、とかそういった色眼鏡を外して、じっくり昔の漫画の中 身と向き合ってほしい。 そして、出版社には、真に重要な漫画の復刻なり文庫化を強く望みたい。 もっと真の再評価を! (雅)
モドル