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HIDEO AZUMA |
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吾妻ひでお |
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■人間の心はどこまでも拡大し、部屋を充たす。が、充たされない。 部屋の壁がどんどん広がっていくからだ。 脳味噌の室内空間は宇宙よりも広いけれど、しかし先の方には部屋の壁が見える。 頭打ちになりながらも壁を突き破ろうとし、それが決してできないのに、行動を持続することこそサイケデリックだろう。 そして、悟りにも近い極みに達しようとするその行動の持続そのものが、素晴らしい一方、いかに危険でもあるか、この筋も意味もない物語りは物語る。 多幸感の漲るサイケの国にずっと寝転がっていると、体は四畳半の部屋の中で生きながら腐り、蝿がたかりだす。 他人と違うところに行くのに、ピクニック気分ではいけないのである。 しかし軽い気持ちでも行けるくらいサイケの国は近いからヤバイ。 桃源郷を1回観てしまった人間の、そこに居座ろうとする意識と、帰ろうとする意識のせめぎあい。「夜の魚」は孤独すぎる魂の闘いの、凄まじい記録である。 そこらの中身ゼロの表層的不条理漫画とは深さの規模が全然違うのだ。 あんまり深すぎて、吐きそう。(雅)
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