頭 HAYAO MIYAZAKI
宮崎駿

プロフィール
1941年東京都出身。
大学在学中から貸本の出版社にマンガを持ち込む。
卒業後、東映動画に入社、「長靴をはいた猫」、「ルパン三世(旧)」「アルプスの少女ハイジ」など、原画からレイアウト、脚本、構成と全般に渡り活躍。
初の演出作品「未来少年コナン」から、いよいよその作家性を全面に押し出し、アニメージュ連載作品「風の谷のナウシカ」映画版で大成功を遂げる。
85年には、スタジオ・ジブリを設立し、以降のアニメ界での活躍は説明の必要もないほど。
最新監督作は、「もののけ姫」(参考資料:「宮崎駿の世界」(青土社))

 

 

レビュー

風の谷のナウシカ
(全7巻)徳間書店
風の谷のナウシカ
■宮崎駿の存在を知ったのは、小学校の頃見た映画版「ナウシカ」によってだった。とにかく「ナウシカ」体験は衝撃だった。
 難しいところは、もう少し成長してからじゃないと、わからなかったけど、とにかく「物語り」の力。それを動かして見せられたときの躍動感とか、うごめきが、ビンビンと目に耳に来た。生まれて初めて「影響」というものを受けた映画だったかもしれない。で、映画の「ナウシカ」を、すみずみまで覚えるほど見た後、中学に入ってから、「ナウシカ」のマンガ版を知る。
 それははじめは凄く違和感があった。きれいでダイナミックな色彩はそこになく、あるのは悲壮感漂う世界、苦味走った表情。浮遊感どころか、なにか地面に縛られるような居心地の悪ささえあった。ので、はじめは拒絶してしまった。
 でも、これが高校になって再読すると、びっくりした。「これ、アニメより凄え!」って感じで。とにかく深い。単純なものなんかどこにもない。エコという感覚もない。生っぽい、憎しみ、怒り、悲しみ。感情と異界がすごい書き込みで描かれているので、画面の蠢きに引き込まれる。そして、価値観の逆転に次ぐ逆転。
 その中で戦い抜くナウシカはアニメ版よりさらにハードで、さらに輝いてる。ある意味どんでん返しのラストも凄いけど、実質凄え!と思ったのは、人間の複雑さ、ナウシカのアンビバレンツな葛藤とそれでも生きていこうとする姿勢を見たせいだろう。こういうのをスケールがでかいというのだと思う。
 「生きろ」じゃない。「生きねば、、、、、」なんだ。(雅)

 

 

モドル
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