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SHINTARO KAGO |
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駕籠真太郎 |
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駅前穿穴 ■まず最初に断っておくが、この漫画は万人に薦められる類のものじゃない。しかしそれでも取り上げたのは、このエログロナンセンスの黒い喜劇が、ただの唾棄すべき「悪趣味ぶりっこ」とは次元の違う、奇想天外の傑作であると考えるからだ。 奇想天外は漫画の極めて重要な要素であり、漫画だからこそ出来ることを、この「駅前穿穴」を含む一連の「駅前シリーズ」は、見事なバランスで成し遂げている。 徹底的に残虐非道な描写なのに、そこまで吐き気がしないのは、それがブラックユーモアであるからであり、随所に散見できる、確かなスキルに基づいた細やかな描写が、これがただの悪趣味の暴走ではないことを証明している。このシリーズが、全て、駕籠世界の中の「庶民の生活」であることも、結果的に、現実社会への諷刺が効いている。 これぞ「問題作」。(雅)
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万事泰平 ■胡蝶の夢の平行宇宙を描く「万事」三部作の最終章。 いや、正確には平行ではなく、 重層的に入り組んだ妄想階層の中で、ありったけの変な夢が炸裂する。 夢ネタというのは、相当出尽したような感があるが、駕籠真太郎にかかれば、この通りの、予想しようのない凄まじさ。 ドリフのコント用のセットのような、漫画の枠組みの限界を越えようとせんばかりの素晴らしいビジュアル表現や、そこに込められた、ぶっ飛んだアイデアの質と量は、16ページしかないのが、とても信じられないくらい、たっぷりと濃密である。 斬新かつ、とんでもなくおもしろい、奇跡的な実験作。キワモノと言って片づけられない、異形の偉業。(雅)
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