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KIRIKO NANANAN |
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魚喃キリコ |
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「友達のおしまい」 ■非常に身近なアプローチで、「友達」という存在の曖昧さを描く短編。 人間関係における信頼関係ほど綱渡りなものはなく、しかし普段は足下を見て高さにおびえることなく友達とわいわいやっているわけだ。 それがちょっとの時間経過によって、ここまですれ違ってしまう不思議。 そしてそれに自覚しつつもついつい合わせてにこにこしているのが余計に痛く、リアル。 結局その曖昧さの中で、思うままにつきあっていくしかないのが人間関係で、それができなくなった時にはもうどうしようもないということがうまく表現されている。 だからって「昔はよかったね」なんて言いたくないもんな。うん。 (雅) ■僕には痛々しすぎました(クロブチ)
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■女子校にかよう主人公の3年生の卒業までの1年間を描いた作品。俗的に言ってしまえばレズの話。 同性愛’と聞けば避難をしたり差別をする人がほとんどだろう。 僕は男として生まれてきたわけだし女の同性愛の気持ちなんてわからないのかもしれない。でもこの「blue」は余計な説明的な描写なんて皆無なのにとてもリアルなのだ。読者のほうが本当に一緒に生活しているかのようだ。だから女の子の気持ちがすごく痛い。読んでみるとそんな気持ちがわかるような気がします。 どうして同性愛を避難するのか、好きな人っていうのは1人しっかり決めなければいけないのか。 僕は常々考える。僕は性別を関係なく友達を好きだし嫌いな部分もある。だいたい自分が「男だから」とか「女なんだし」って言うけれど、男にだって女的な部分はだれにでもあるだろうし、その逆もあるだろう。 結局の所その相手とセックスできるのかってところで集約されるのだろう。それだったら僕は男だけれど。 でも‘つきあう’とか儀式的なことだけでくくってしまうことが凄く馬鹿馬鹿しい事じゃないかなって思ったりします。愛情とかって説明できるものではない。 話がだいぶそれたけど、この作品を読んで改めてそんなことを考えたりさせられました。(クロブチ) |
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■魚喃キリコの中では異色の作品。絵柄も他の作品とは違ってかなりほのぼのしてます。内容もほのぼのしてます。 Hanakoで2ページづつ連載していたものが2年かかって単行本になった。 なにかと男っぽいけど時には乙女なハルチンと根っから乙女な親友チーチャンの日常を楽しく描いてる。 何気ない日常だけどとても幸せそうで楽しそう。本当にうらやましい。心があったかくなりたい人にオススメです。(クロブチ) |
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■「キューティ・コミック」創刊号に掲載された読みきりの後日談を描く長編。現代の「同棲時代」。 衝動的に自分がどうしようもならなくなるような強い気持ちや、現実に直面した主人公の行動、逡巡、行動、逡巡の心の揺れが、繊細でコントラストの強い静かな描線と、淡々と進む展開の中にバラまかれていて、読者は地雷を踏むかのように、刹那に心をつかまれる。 矛盾を抱えていけばいくほど、主人公のモノローグがぐさりと伝わってくる。 他者と関って生きていく限り、ありふれた「わたしたちの生活、日常」なんてありえない。他者と関って生きていく限り、それは常に奇跡なのだ。重くて、つらくて、哀しくて、でも嬉しくて、尊い。 そしてこれは、そんな人と人の間にあるものを描き切っている。 体温と鼓動の、リアル。(雅)
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