頭 YU KOYAMA
小山ゆう

プロフィール
1948年静岡県出身。
「ゴルゴ13」などで有名な劇画作家のさいとうたかをプロでアシスタント経験し、アニメにもなり有名なギャグ漫画「おれは直角」でデビュー。
その後作品の雰囲気は急展開しボクシングマンガの代表作といえる「がんばれ元気」を描く。
とにかく格好いい主人公の成長ぶりをかかせたらこの人の右に出る人はいないのではないだろうかという感じ。しっかり劇画っぽい要素を吸収しつつ少年漫画を描いているのだ。
親しみやすい絵柄のキャラクタが出てくるのにあっさりと残酷な描写をしてしまうのも彼の持ち味。それは今話題の「あずみ」を見れば一目瞭然。

 

 

レビュー

おれは直角
(全5巻)小学館
おれは直角
■アニメ化もされ有名な小山ゆうのデビュー作。「これが本当にデビュー作?」と疑いたくなるほどに最初から絵もいまいし固まってる。
この漫画は舞台は江戸時代の長州藩。そこの進学校を舞台にしたドタバタコメディーといった所でしょうか。
もう世間は平和ムードで剣術なんかあまり重視されない環境に「自分なりの武士道」を重んじる曲がった事が大嫌いな直角が入学したものだから平和に物事は進まない。
学校の番長との決戦から隣町(村)の学校とのトラブルと読んでて底抜けに楽しい。
主人公の直角の真直ぐな魅力に惹かれていく周りの仲間達を見ていると自分も仲間に入りたいと思う。学級崩壊などのある今こそ読む時期かも…
後半にはわがままで孤独な身分の高い照正とのホロリとするような男の友情もありなかなか深い。

僕は小山ゆう作品は「竜馬」から入ったのですが、後にこの「直角」を読むと小山ゆうなりの竜馬のようなヒーロー像をこの当時にも描こうとしていたんだろうなと思いました。身分の問題など設定も似ているし、、、

あと、やはり最初の作品で連載物だからか最初は重要だった脇役や可愛い女の子などの伏線が途中で忘れられたようにプッツリ出てこなくなったりその辺のバランスがちょっと悪いと感じた。
小山ゆうのルーツを知るにはこの作品を読みましょう。(クロブチ)

 

 

がんばれ元気
(全28巻)小学館
がんばれ元気
■「あしたのジョー」に続いてボクシング漫画の定番といわれる「がんばれ元気」。
やはり「ジョー」を意識してかジョーとは違うヒーロー像を作り出そうとしている感じがします。
この主人公の堀口元気は元は貧乏で不良少年みたいな時期はあったけれど途中から大金持ちのお爺さんのもとでお坊っちゃまとして育てられる。もう心の底から素直でいいやつだったり天性の素質を最初から持っているのだ。そこらへんの表立った設定はジョーとは反対と言ってもいいのではないか。
この漫画は大好きな父を死においやった天才ボクサー「関拳児」を倒す事を目標に最初から描かれていて実際に最後対決をして完結になるので連載漫画にありがちな次から次へと強いキャラの出てくる強さのインフレ現象がないのです。
また芯からのスポーツ漫画と言える。恨みつらみはあるのだが‘善と悪’のくくりが無く、それぞれが人間であり純粋にボクシングを通じて闘っているのだ。実際父親を殺す結果になってしまったチャンピオン関に対しても憎いという感情より強さに対する憧れの眼差しを向けている。
なんといっても一番の魅力は主人公の元気と周りの人達とのやりとり。
素直でまっすぐな元気に周りの登場人物の人生も徐々に変化していく様はとても見ていて感動的なのです。ダメなクリーニング屋のボクサーや下宿の隣の浪人生、トラウマを背負ったコーチなどなどお互いに影響しあい成長していきます。そして切ない恋愛もばっちり。
もちろんボクシングシーンも壮絶でどこまで印象に残るかって言う事にチャレンジしているかのように凄すぎます。これは読んでのお楽しみ。
これは漫画の王道です。一度読みはじめたら止まりませんよ。(クロブチ)

 

 

愛がゆく
(全12巻)小学館
愛がゆく
■小山ゆうといえば時代物とスポーツ物で有名だが、この「愛がゆく」は唯一といえるかもしれないSF物なのである。この漫画が連載されていた当時、漫画界ではSFブームだったようです。
とある雪の日に天涯孤独の荒くれ者の松五郎が捨てられた赤ん坊を拾い、「愛」と名前をつけ普通の人間として育てるところから物語がはじまる。
しかし、その子供の愛は実は未来から現代に送られてきた子供で不思議な能力を持っているのだ、赤ん坊は成長し自分の能力に徐々に気付きはじめた頃、未来から愛の命を狙う人物が次々と訪れわけのわからぬまま闘う事になる‥といった荒筋なのだが、最初に全く事情のわからぬ主人公と読者がかぶり、徐々に情報が入るにつれ、どんどん壮大な物語に引き込まれていくのだ。
現代の日常の生活から未来の全人類の運命まで話が移項していくから凄い。
予知能力からテレポーテーションはてはAKIRAやドラゴンボールも真っ青なサイコバトルも興奮させてくれます。
最高のアクションに壮大なテーマとSF漫画の代表になってもいいくらいの作品なのに全然知られていないのはちょっとダサい小物とかクールになりきれていない小山ゆうの味が邪魔なのでしょうか?
最後まで読み終えてみて、タイトルの「愛がゆく」に全てが込められていると気付いて感動。(クロブチ)

 

 

お〜い!竜馬
(全23巻)小学館
お〜い!竜馬
■原作:武田鉄矢、作画:小山ゆうというタッグでヤングサンデーにて連載された作品。NHKでもアニメ化された。しかしアニメは連載に追い付いてしまい中途半端な終わり方だったのが悔やまれる。
竜馬の誕生から暗殺されるまでを描いているのだが歴史ものの漫画で陥りやすい「難しい」「退屈」という穴をまったく作らずエンターテイメントさせていて手に汗を握りながら読めるのはさすが小山ゆうといったところ。(武田鉄矢の説教くささもゼロです)
もう竜馬が格好よすぎます。まったく気取らないのに凄いところがいい!!こういう人間をカリスマというのだ。
またルパン三世のように3人のキャラクタを主軸にしたのも成功している。自由奔放な竜馬に真面目な武市半平太、純情な人切り以蔵。幼馴染みで親友だが時代の波にながされ徐々にスレ違っていく運命は涙なしには読めない。
僕はいつも歴史の知識は漫画と映画から得ます。教科書なんかよりこれを教室に置いておけばいいのに。(クロブチ)

 

 

モドル
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