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MINORI KIMURA |
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樹村みのり |
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「見えない秋」 ■樹村みのりで個人的に一番好きな短編。 夏休み明けの学校で、同級生が事故死したことを知る主人公の女の子が、「人間が死ぬ」という現実を前に、考え、悩み、想うさまざまなことを、いつもと変わりなくすぎていく毎日の中で丁寧に描いていく。 子供の頃に誰もが大なり小なり経験するこういった漠然とした不安に、突然面と向き合ったその動揺と、そこから抜け出した時の解放感が、静かに伝わってくる感じは、とても素晴らしい。 樹村みのり作品はどんなにテーマが重くとも、どこかが常にきらきらと輝いている。 この「見えない秋」はそれがクライマックスからラストにかけて体験できる。 「死ぬことは死にまかせなさい」と作中ではつぶやかれる。だからとにかく、今を生きることのみが、俺達にはまかされているのだ。(雅) 「病気の日」 「跳べないとび箱」 「菜の花畑のこちら側」
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「まもる君が死んだ」 ■「まもる君が死んだ」というニュースをきっかけに、今迄目の前で進行していた事態から、ひたすら目を逸らし続けていた人々の心の動揺を、硬派なタッチで描く。 クライマックス、目を逸らしていたものに直面してしまう少女の心の流れを追うシーンは、圧巻としか言いようがない。 少女誌でこれだけの社会派作品を描ききったというのも凄いが、もっと凄いのは、おそらく子供達に説教臭くなく伝わるであろうところだ。 そして、時代ではなく、人間の内蔵に迫った結果、今なお全く色褪せない普遍性を獲得している。(雅) |
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「早春」 ■学校などクラスの友達というのは最初は席の近いから、そしてそのうちなんとなく同じタイプの人達のグループへと変わってゆく、、、 でも他のグループの人の中に「あの人と仲良くなってみたい」という気持ちは誰もが抱いた事があるだろう。特に女の子の場合、他のグループの人達のうわさ話などが多いからなかなかそれはできる事はなかったりする。 そんな気持ちを思い出される作品。実際僕もそういう事がよくある。大学に入って得に芸大だったりするので素直にその人の作品を誉めたり色々聞きたいと仲良くなりたいか思ってもなにか変なくだらない気持ちが邪魔をしてうまくいかなかったりするもだ。そういう事をあらためて考えさせられました。(クロブチ) |
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