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SHIGERU MIZUKI |
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水木しげる |
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「錬金術」 ■錬金術という、古来より人類の夢の一つだった秘法を完成させるために、日々を実験に費やす一家。そんな毎日に疑問を持った少年は、一家を錬金術にはまらせた張本人である先生(ねずみ男)を問い詰めるが、、、 人生とはどんなものであるかを極めて端的に語った強烈な人間諷刺。ここでのねずみ男(水木)の言い分は圧倒的に説得力がある。 そして読者は、少年と同じように「はっ」とするのだ。(雅)
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■貸本時代の「墓場鬼太郎」シリーズのリメイク版。 既に少年誌で「ゲゲゲの鬼太郎」の連載が始まった後に発表されたため、少年向けの鬼太郎に混ざって単行本になったらしいが、これが凄い。 悪い妖怪を懲らしめるわかりやすい展開の「ゲゲゲ〜」と比べ、なんともまあシュールな展開。 登場人物の台詞通り、「つぎつぎにめずらしいことばかり、まったくゆめのような気持ち」。 はっきりいって支離滅裂なストーリー展開だが、その独特きわまりない雰囲気とテンポは圧巻。 最早話の筋じゃない。読者は「鬼太郎夜話」という名前の妖怪に遭遇しているのだ。 どうしたらこんな変な漫画が描けるんだろうか。ほんとうに素晴らしい。 あと、少年誌版と全然違う、人間臭い鬼太郎の仕草や台詞も必見。 さあ読書を楽しもう。(雅)
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■水木しげるの自伝的漫画。 少年時代の想い出にちょっと風変わりな妖怪博士お婆さんの「のんのんばあ」との妖怪話のエッセンスを加えたユーモア溢れる漫画。 僕はずっと水木しげるは妖怪を信じ切った人だと思っていたのでちょっと引いた視線でかかれた自伝のこの漫画をみて水木しげるの見方が変わった。好きになりました。 戦争を体験した人でもこんなにユーモラスなセンスをもっているのは子供の頃からの家族の影響なのが伺える。だから年をとった今でも若い人にも全然抵抗なく楽しめる漫画を書き続けられるのでしょう。(クロブチ) |
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コケカキイキイ(シリーズ) ■この世に未練を残しつつ死んでしまった4つの魂がコケカキイキイという実体のある神様として蘇えり日本社会の矛盾をどんどん破壊し世直しを計るというお話なのだが、水木しげるの手にかかるとなんともユーモラスで笑える話になってしまっている、、、 世直しをするにあたっての標的は自然破壊を進める者、裕福な人だったり美容学校・デザイナー学校は養護施設へと解放などなどかなり元の魂の影響が濃くさらに「法律だ」とかなり自分勝手。 外伝に話が進むと無駄に捨てられた精子達の怨みとか三島由紀夫が悪いとどんどん調子にのる、、、しかもコケカ神があっさり負けてしまったりするし。 ウーマンリブだとか性の解放など昭和の時代の色を楽しめる作品です。 その他に収録されている短編もユーモラスだけど風刺の入った習作が数多くあるのでお買得。なによりあの一番目立たないけど存在感のある眼鏡のサラリーマン山田が大活躍だし、、(クロブチ) |
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■戦争で実際に兵隊として参加して片腕まで落としてしまった作者が「90%は本当の話」という体験を元にした漫画。 世の中に戦争を否定した本や映画は数あれどやはり実際に体験していない人間がいくら訴えるより、体験した人間の体験談のほうが圧倒的なリアリティと説得力があってかなうわけはないと実感させられます。 この漫画の中では主人公などの日本軍部隊の視点で描かれているので戦争を否定する言葉は御法度で、やはりストレートに言葉にしたりする場面はほとんど無いといっていい。でも細かい描写で描かれた美しい熱帯の風景に爆風や死体の不自然さ、20歳そこそこの若者の「お腹が空いた」「女の肌にさわってみたかった」とか素直なぼやきとか、憎くてたまらない将校の呆気無い死に様などひとつひとつリアルに淡々と続くのだ。 最後突撃に失敗し日本側から玉砕命令が出てしまってからの動きは辛いけど是非読んでみて欲しいです。(クロブチ) |
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