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KAZUO UMEZU |
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楳図かずお |
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■子供は無垢じゃない。そんなことは子供時代を過ごした者なら誰でもわかってることだ。 そんな子供の(人間の?)すばらしい側面もダークサイドも、両方見つめたうえで描ききったその潔さとパワーにはただただ感動するだけ。 とにかく1ページ1ページのテンションが異常なくらい高い。物語りに引きずり込まれるとはまさにこのこと。いいところも悪いところも含めて、「これが人間の生きていく姿だ」と提示しているところが、心を強く打つのかも知れない。 本来、生きることは「必死なこと」だし、「戦うこと」なのだ。その点で現代は幸せだし、同時に不幸せでもあるんだろう。どちらがいいとかの問題を越えた大切なものを感じさせてくれる。そして、希望や感動やなんやかやを全てひっくるめた衝撃がラストにはある! 何回見ても震えが来る。これがマンガの力だ!(雅) ■子供、子供は大人になる前。漫画の中に出てきた大人の台詞に「お前らは子供だ。大人という人間になる前の動物にすぎない」と言った感じの物があった。それは普通に聞くと最低な台詞だが、この漫画を読み進めていくうちに的確な表現だと思ったのです。 |
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■楳図かずおの膨大な初期短編の中でも個人的に特に好きな短編。 日常に潜む不安要素の中から、ここでは「鏡」とそこに写る鏡像をモチーフに、鏡の中のもうひとりの自分に苛まされるという幻想怪奇の世界を展開している。 見事なのは、それがただの怖い話にとどまらず、自分の中の弱い部分(つまり「かげ」)に打ち勝っていくという、子供の成長を同時に物語っているところだろう。 余韻の美しいラストシーンはその成長の表現に成功した名場面になっている。 途中、絶望に陥った主人公を助けるコミカルな兄妹も実にいい味を出している。(雅) |
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■楳図かずおの「ママがこわい」路線の最高峰。 我が子のことを自分が若返るためのパーツとしてしか考えていないという、世にも恐ろしい母親像。(娘に対し「悪いけどあなたには人生なんてないのよ」という台詞は凄い) かつて美しかった女の、若さへの異様な執着(子供である時間への執着)は、大なり小なり誰もがが抱えている業だから、余計怖い。 更に語り草になった大どんでん返しで、読者は再び考えさせられるのだ。 我々は何を与え、そして与えられたのか?(雅) |
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■1ページ1コマ計7ページという大胆な構成(1話だけ例外がある) で、24話に渡って描かれる楳図かずお小ネタ集。 とはいえ、その発想と着眼点は相変わらず抜群で、テンポのいい展開と合わさってよく出来た落語のようにきれいなオチまで読者を運んでくれる。 ホラーのみならずSF的な発想も取り入れ、いかにスマートにショックを描くかに徹している実験作。 はっきりいって、これは面白い。(雅) |
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■一貫して「子供」を描き続けた楳図かずおの到達点。 尋常ではない密度で書き込まれた世界の中で描かれる少年と少女の出会いと別れ。 子供のまま結婚し、セックスせずに子供を産もうとした2人に起こる奇跡。 その奇跡が起こったことを、2人は決して知ることはない、、、 読者にだけ見る(知る)ことを許された、残酷なまでに美しい現代のお伽話。 異常な程描きこまれた素晴らしい絵で描かれる強い強い「思い」。 安易な激賞でしかこの史上空前のマンガの凄まじさを讚えることができないのだろうか。 いや、もっと素直に、感じたままにこう伝えればいい。 「ボクハイマモコノマンガヲアイシテイマス」(雅) |
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