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AKIMI YOSHIDA |
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吉田秋生 |
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■女性作家と思えぬ骨太な描線で描かれた、ハードボイルド・ロマンの超大作。トム・クランシー系陰謀ものスリラー真っ青の、スケールのでかい設定と、類い稀な強さと、繊細な弱さを合わせ持った、悲劇のヒーロー、「アッシュ・リンクス」の造形。性別を超えた愛情レベルまでいっちゃった絆の美しさ。複雑に絡み合う、感情の糸の表 現。どれをとっても超一級の出来栄。しかも、ケレンがない為、非常に読みやすく、まさに、「読み出したら止まらない」見本のような長編。 また、手に汗握る、白熱のドラマのみならず、要所要所に配置された、心の交流の描写がなんとも涙を誘い、感動的。特に、前半の最大の山場を終えたあとの、アッシュと、その親友英二の会話や、やりとりは、本当に泣ける。そのへんは、さすがに女性作家。 吉田秋生は、男性作家的な魅力も女性作家的な魅力も、同時に表現することができる、希有な漫画家だと実感。 なお、本編の「ANOTHER STORY」という、番外篇の別冊もあり、それに収録された「光の庭」という後日談が、またいい。静かに、涙できる。 そういえば、この作品を映画化するなら、主演はリバー・フェニックスをおいて、他にないという話があったそうだけど、彼も、悲劇のスターになってしまったことも、不思議な因縁のように思えてくる。(雅)
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