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YOSHITOMO YOSHIMOTO |
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よしもとよしとも |
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■時代、なんて一口で言ってみても、リアルタイムに生活してる中では、なかなかつかみ取れないもの。 新しかったものは古くなり、アナクロなものが脚光を浴びる。 説明しようと思えばできるけども、そんなに単純なもんじゃない。 よしもとよしともが、そんな時代の明確な移り変わりの瞬間(昭和→平成)に描いたのが、このばかばかしい傑作。 かっこ悪いことはなんてかっこいいんだろう、といわんばかりの「野蛮人のタテノリ」がイカス!! 個人の趣味まるだしのむき出しぶりがなんとも痛快!! 現在本単行本は品切れ(事実上絶版)状態だが、この魅力の集約された第1部「東京ゴースト」が、「GreatestHits+3」(双葉社)に再録されているので、興味もたれた方は是非!! 時代の先取りなんて野暮はぬき!これがロックだ!(雅)
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「吠えろフェンダー」 ■才能のない人間は仕方ない、と自分に言い聞かせて、今の日々に生活を見いだそうとする主人公の日常。 例えば子供の頃から「サラリーマンになりたい」と思ってる人間はまずいないはずだし、「こんなもんだ」と言い聞かせて、そこから何かを見つけていかざるを得なくなってしまうのが普通なのだろう。(日本人の大半はサラリーマンなのだから)しかし沸き上がる思いもまた誰もが持っているはずで、押し殺そうとしても、それは決して死ぬことなく、どこかで出現する。 要するにそれが「吠えろフェンダー」ということなのだが、とにかく、才能あるなしになんか関らず吠えていくことには大賛成だ。それも遠吠えじゃなく、目の前で、吠えてやるんだ。 よしもとよしともの、このような思いつくままにやってる感じを俺は支持する。 (雅)
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「ライディーン」 ■過去と現在を行きつ戻りつ、「なんともやりきれねえ気持ち」を抱えた男を描いていく短編。 その「気持ち」を抱く原因は過去と現在で当然違っており、抱いてしまった「気持ち」への対処の仕方もまた違っている。 そしてそれがコントラストとなって、読むものに刺さってくる。それはおそらく高校生の頃のよしもとよしともと、三十路を迎えたよしもとよしともの内面的変化と重なるはず。 自分の抱えた気持ちについて、オトシマエをつけていくこのやり方が、結果的に生活の中の空気感の再現につながっており、それは、やはり思いつくまま、思ったままに吐き出していく行為の賜物なのだろう。 そのまんま、だからこその強さ、とでも言えばいいのか。 どちらがいい、ではなく、そこで生きていかねばならない重さがある。 どんなに語り口は軽くとも。 この次、が非常に気になるのだが、30代の男の生き様はどう描かれていくのだろう?(雅)
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