第18回 1991年5月12日
【文献紹介】Elizabeth Udall
(19xx) “Dimensions of Meaning in Intonation”
(イントネーションにおける意味の次元)
【発表者】大和 シゲミ
【要旨】同一言語共同体に属する人たちの間で、イントネーションの意味がどのように一致するかを調べ、イントネーションの感情面における意味の次元の抽出を試みている。
用意された陳述文・Yes-No疑問文・命令文(以上英文)・無意味文に、合成器を用い、いろいろなイントネーション(ピッチの幅・文末のピッチ・音調曲線全体の形・弱音節の扱いが異なる)をかぶせ、被験者(アメリカ英語の話者)に聞かせる。その後、楽しい―楽しくない・強い―弱い・権威的―従属的という次元で7段階評価をさせ、その結果を点数化し、3次元的にグラフ化している。
グラフから、それぞれの文章のもっとも中立的なイントネーションは、次のようである。
陳述文:文末上昇調かつ文末のピッチは「中」
Yes-No疑問文:文末上昇調かつ文末のピッチは「高」
疑問詞疑問文・命令文:文末上昇調かつ文末のピッチは「中」か「高」
また、特定の意味を表すイントネーションには、次のようなものがあった。
楽しい:文末上昇調かつ文末のピッチは「高」のもの。音調曲線全体の形に方向転換のあるもの
楽しくない:弱音節の上昇するもの
権威的:ピッチの幅が広いもの。音調曲線全体の形に方向転換のあるもの。文末上 昇調かつ文末のピッチは「中」のもの。弱音節が上昇あるいは下降するもの。
強い:ピッチの幅が広いもの。音調曲線全体の形に方向転換のあるもの。弱音節の下降するもの。
また、音調曲線にめりはりがないと意味の変異が多くなり、逆にめりはりがあると意味が安定する。