脚本家 古谷壮志の
「わーるど・いず・のっといなふ」
「小さな疑問」

真面目なコラムも少々疲れてきたので今回は一寸手を抜いて、日頃私が抱いている疑問を書いてみる事にする。

藤子不二雄作品について

疑問その1「ブタゴリラ」

私が常々抱いている疑問にブタゴリラというのがある。ブタゴリラというのはご存じの方も多いと思うが「キテレツ大百科」に登場するキャラクターの一人である。

彼は何故ブタゴリラなんていうあだ名なんだろう?ブタゴリラというのはニックネームなんていう可愛げのあるものではない。明らかに侮蔑の意味をこめた「あだ名」である。

にも関わらず当のブタゴリラ(本名 熊田薫)はその名前を受け入れている。何故なんだ?普通友人にブタゴリラなんていう名前を付けられたら誰でも怒る筈なんだが、彼は誰にブタゴリラと呼ばれても当たり前の様に対応していた。

ヒロインのみよちゃんもシリーズ開始当初はちゃんと「熊田くん」と呼んでいたのに後半では「ブタゴリラくん」と呼んでいた。一体何があったんだ?それに関係あるかどうかは解らないがクラスの担任の教師だけが一貫して「熊田」と呼んでいた。

推理すると、恐らく担任教師が知らない何かがあったのだ。熊田薫がブタゴリラと呼ばれる事を許容せざる終えず、尚かつ友人達が彼をあだ名で呼んでも許される何かが。シリーズ開始当初は確かブタゴリラと呼ばれると怒っていた筈なんだが後半はそうではなかった。

一体何があったのか?作者だけが知っている謎なんだろうか?是非その理由を知りたいものである。

疑問その2「ドラえもん」

ドラえもんには多くの疑問があるのだが、その内のいくつかを書くことにする。

ドラえもんの映画「のび太の日本誕生」だったと思うが確か原始時代の日本にドラえもん達が遊びに行った際、同じくタイムマシンでやってきた未来人と遭遇し未来を変えようとたくらんでいる事を知ってそれを阻止するのである。

ピンチに陥ってどうしようもなくなったドラえもんは最終的にはタイムパトロールに通報して難を逃れる。しかしここで大きな疑問が生まれる。どうしてタイムパトロールはドラえもんの存在を無視するんだろうか?彼自体が違法な存在じゃないんだろうか?

彼はのび太をしずかちゃんと結婚させる為に未来からやってきた筈だ。ジャイ子(クリスチーネ剛田)との結婚が不幸をもたらすというのがその理由なのだが。

実に身勝手な理由で未来を変えようとしている事に変わりはない。これを違法行為と言わずしてなんというんだろうか?なのにドラえもんはタイムパトロールに感謝こそされ逮捕されることはない。実に不思議だ。

この疑問を上田君にぶつけたところ、彼曰くその事については、未来からドラえもんを送り込んだのび太の子孫であるセワシ君自身が説明しているという。

それによると、「東京大阪間を新幹線で行こうが飛行機で行こうが結局は目的地にたどり着くんだからその道程は関係ない。なら幸せな選択をして目的地に着いた方が良いじゃないか」ということらしい。滅茶苦茶な理屈である。到達する場所が同じなら、詰まるところのび太がジャイ子と結婚しようが静ちゃんと結婚しようがセワシ君は生まれるわけで、自分が生まれないかも知れない危機を回避しているわけでもない。

要はジャイ子が自分の祖先であることが気にくわないだけなんじゃないだろうか?この疑問がいずれ作品のなかで解き明かされる事を願っているが、作者が亡くなってしまった今となっては無理な話なんだろうか?
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