脚本家 古谷壮志の
「わーるど・いず・のっといなふ」
「長ズボンと半ズボンの間」

知人のホームページを覗いてみたところ、「大人の基準って何だろう?」というような事が書かれていた。それで私も考えてみた。大人の基準ってなんだろう?

結論から言えばこれは人それぞれで、客観と主観という問題も絡んでくるのでこれが基準というものは存在しない。

でもそれだけではつまらないのでその他に、色々と考えてみた。そこで浮かんだのは何時からが大人なんだろう?という疑問である。法的には二十歳から成人という事になっている。だが、二十歳になったから自分はもう大人だという自覚を持つ人はあんまりいないだろう。

「老い」を感じることはあっても自分が大人だと自覚する機会というのは確かに少ない。自分に当てはめて考えてみた。私は自分を大人であると自覚したことはあるんだろうか?そう言われて見れば無い。

だが自分の気付かない所で(というか覚えていない所で)あったんじゃないだろうか?何時だろう?電車の料金が大人料金になった時だろうか?ジェットコースターに乗れるようになった時だろうか?

それは有るんだろうがそういう外的な原因じゃなくてもっと内面的な原因…そこで思いついたのはタイトルにもある「長ズボンと半ズボンの間」である。女の子の基準についてはよく解らないが、男の子に関して言えばこの半ズボンから長ズボンへと移行する時というのは自分が大人であるという自覚を持ったという最初の意志表示なんじゃないだろうか?

これの一番単純な理由として考えられるのは「寒いから」というのが適当だろう。でもそんなものは本当の理由(というより言い訳)ではない。小学校低学年では心身共にまだ子供で、怖い物知らずだから半ズボンもはいて居られるが、高学年になるにつれてそうでは無くなる。他人の目が気になりだすのだ。「半ズボンって恥ずかしい…」ってな具合にである。

高学年になったとはいえ所詮はまだ子供、格好付けようにもその方法も解らない(というか知らない)まさか金髪になったり入れ墨いれたりも出来ないし。

そんなとき一番手っ取り早くて尚かつ知識が無くても出来る簡単な行為だ。「長ズボンなんか履いて格好つけてんじゃねえ!」なんて突っ込まれたとしても。

「寒いから」という文句の付けようのない言い訳もある。中学生の変形ズボンなんてのもその延長なんじゃないかな?でもコレは万人に当てはまる事柄ではない。

私の場合はたまたまそうだっただけで、自分はもう子供ではないと自覚して(それが間違っていても)最初にとった行動がたまたま半ズボンを長ズボンに履き替えるという行為だっただけなのだ。

それに最近では小学生もお洒落になっているのか、小学校低学年でも長ズボンをはいている子供は多いし、茶髪の子だっている。

でも私と同世代の人間は理解できるはずである。長ズボンと半ズボンの違いを。これを読んだ貴方も思い返してみて欲しい。私の場合はズボンだったが貴方はどういったことだったかを。
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