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らせん編その10 「トンネルを抜けるとそこは雪国であった」これは川端康成。私の場合は、「電話線をたどってみると、そこには冷蔵庫があった」 アホみたいな表現ではあるが、これは適切な表現である。私と教授が電話線をたどって庭を掘ってみると、そこには冷蔵庫が埋まっていたのだ。 冷蔵庫の閉ざされた扉の隙間からは黒い電話線が伸びている。ベルは相変わらず鳴り続けていた。教授はおもむろに冷蔵庫の扉を開くと、そこには黒い電話が入っていた。 黒い電話、今は余り見かけなくなった文字通りの黒い電話である。教授はやや今の電話よりは重いその電話の受話器を手にした。そしてそれを耳に当てると、当然の事ながらこう言った。 教授はというと、電話の向こう側の相手に対してやや拍子抜けしたような感じで、しばらく話すと受話器を置いた。 |
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