クワガタ飼育講座

1. 人工蛹室の作り方
2. 幼虫の♂♀判別法
3. 強制交尾の仕方
4. 菌床の詰め方
5. 材リサイクル法
6. 羽化不全の修理
7. アゴずれの緊急手術

1.人工蛹室の作り方

●準備するもの
・ミニケース
・オアシス
・霧吹き
・スプーン

クワガタの蛹室がビンの底にあったり、ビンが小さすぎて羽化不全になりそうな場合にのみ人工蛹室をお勧めします。
幼虫が作った蛹室が1番なので無理に何でも人工蛹室に入れるのはお勧めしません。

●オアシスの削り方
今ある蛹室のサイズを測りそれより少し大きめのサイズにします。
幅は、余り大きくないほうがいいでしょう。
スプーンでオアシスに卵型の人工蛹室を作るのですが、少し斜めに作ってください。
理由は、後で説明します。
ミニケースの中に入れ霧吹きで水分を持たせてください。。後は、蛹を入れて水分が蒸発しないようにふたをしてください、これで完成です。

ONE POINT
なぜ人工蛹室を斜めに作るのか?
蛹は蛹室内でじっとしていませんがどのようにして回転するのかご存じですか?
体をくるくると動かすだけでは回転は出来ません。
蛹のお尻の先にある突起(なんというのか知りませんが)を引っかけて回転するのです。
よくティシュで人工蛹室を作る人がいますが、これでは突起にからまってしまうことがあります。 蛹室が水平だと腹を回転させても突起に力が伝わりにくく回転しにくくなります。
特に大型個体は、回転できなければ致命的です。
斜めに人工蛹室を作ることによって突起が壁に当たり力が伝わりやすくなるのです。

水分は、大切です!
羽化するときに、水分が不足すると羽根にしわがよって、ディンプルの原因になることがあります。 羽化したてで、羽根がまだ白い間なら霧吹きをして水分を持たせれば羽根がきれいにのびます。ケースに水分を持たせるのも大切ですが水分過多はいけません。この辺が微妙ですね・・・

 

 
●頭を上にする。
部分は壁を丸く作り上部にはかえしをつけておく。
 羽化するとき、ここに頭を押し付けて脱皮します。
 頭を押し付けやすいようにするためは、かえしが必要です。

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2.幼虫の♂♀判別法

幼虫の♂♀の見分け方は、普通、卵巣のあるなしで見分けられます。
たまに、卵巣が見えにくかったり種類によっては♂にも卵巣のような物が見える場合があります。
より確実なのがお尻で見分ける方法です。♂のお尻には、一本スジが見えます。言葉で言いにくいので写 真を見てください。

♂には、スジがあります。
小さい幼虫では、点に見えることがあります
♀には、スジはありません

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3.強制交尾の仕方

強制交尾には、人それぞれいろんなやり方があります。
ミニケースに、♂♀を入れて強制交尾するやり方、バケツのような丸いケースに♂♀を入れて強制交尾をするやり方が普通 です。
四角いケースは♀が角のところに逃げ込んで交尾がしにくいので、角のあるケースより丸いケースのほうがいいでしょう。
我が家では、直径15cmぐらいの透明の器でふたをします。 これならテレビを見ながらでも出来ます。

注意
ヒラタ、シェンクなど♂が凶暴すぎてメスをかみ殺す危険性がある場合は、グルーガンで顎を固定してください。安心して、ケースの中に入れることが出来ます。交尾が終わればグルーガンでつけたところは簡単にはずれます。一度試してください


グルーガンは手芸洋品店やホームセンターで1000円ぐらいで売っています。

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4.菌床の詰め方

菌床を詰めるのは、大変だという話を良く聞きます。
ブロックをつぶすだけで疲れる・・・時間がかかると雑菌が入る・・
でも、この方法なら体力も時間もあまり必要ありません。 ぜひ一度おためし下さい。

準備する物
 
・菌床ブロック
・ビン
・ビニール手袋
・菌床詰め棒(木製ハンドプレス)
・フィルター
・穴あけ棒
・アルコールスプレー
・100均で売っているカゴ
・大ケース
・衣装ケース(我が家ではいらなくなったベビーバスを使っています)

最初に手袋をした手・ビン・ふた・大ケース・カゴにアルコールをスプレーして消毒してください。
アルコールは揮発性ですので、拭かなくても良いです。
次に菌床ブロックを崩しますが、普通は袋から出して手で壊していきます。
これが結構手間ですね。だんだん握力が無くなるし外皮をむくのも大変です。
でも菌床ブロックはビニール袋ごと足で踏んで崩すと簡単に崩れます。

 
 
家では、子供が遊びながら菌床を崩してくれます。
あとは手で細かくします。2〜3分で簡単に崩すことができます。


写真のように、袋から菌床を出し、崩しながら100均のカゴでこしていきます。

(少しずつ出した方が楽です)
100均のカゴと大ケースはあつらえたようにピッタリ合います



カゴの中に菌床の皮などが残り大ケースの中にはサラサラの菌床が出来ます。
 

ここまでくれば、あとは簡単です。 ビンに菌床マットを入れて詰めてください。
菌床がサラサラですので、一度にたくさんビンの中に入れてもすき間が空かずに詰めることが出来ます。

詰め終わったら棒で、中央に穴を開けフィルターをはさんでふたをすれば終わりです。


 
だいたい6ブロック1時間ぐらいで完成します。
今まで苦労して詰めていた方ぜひお試し下さい。

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5.材リサイクル法

霊芝材やエノキカワラ材などの高価な材や卵を沢山産んだ材を幼虫を捕りだしてバラバラにした後、捨てていませんか?
虫の好む同じ条件の材は、なかなか見つかりませんね。 この材をもう一度リサイクルする方法です。
(エノキカワラ材や霊芝材など高価な材を何本も買えない人も一度試してください。)

●必要なもの
・ミキサー
・ボイド(タンボールで出来た円筒形の筒)
 
ホームセンターで売っています。4メートル×125mm径で¥1300位 です。
・マットを詰める棒(木製ハンドプレス)

●作り方
ボイドを20pぐらいに切ります。クワガタが気に入った材や高価な霊芝材など、材割りした後のバラバラになった材をミキサーにかけてマットにします。菌を回しやすくするために水分を多めに入れてよくかき混ぜます。ボイドの中にマットをできるだけ堅く詰めます。木口をラップで覆って菌を回します。すぐでも使用可能です。
1ヶ月後
リサイクル材から幼虫を取り出す時はカッターで段ボールを切れば、たいてい ボイドの裏面に卵を産んでいますので
中身のマットを崩しながら幼虫を取り出すことが出来ます。
幼虫を取り終えた後は再度、新しいボイドの中にマットを詰めればまた使えます。
一度おためし下さい。(ただし、幼虫は確実に全て取り出してください!)

◎応用編
アンテ用の高価なマットをケース全体に詰めるのはコストがかかりますね。 ボイドの中に、Zマットなどの高価なマットを堅詰めにし、残りの場所は普通の未発酵マットにします。
雌は、ボイドの中にのみ卵を産みます。幼虫を回収しやすいし、またリサイクル出来ます。

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6.羽化不全の修理

期待の大型個体ほど羽化不全になることがあります。泣くに泣けません。このままあきらめてしまいますか?何とか、修復出来るものならしてみたいですね。羽化不全の成虫が出てしまったら、羽根が赤い内なら程度によりますが修復可能です。

用意するもの
絆創膏、はさみ


このような羽根バカになってしまったら、
普通はあきらめるしかないですね!
これを何とか元通りに修復したいです。

絆創膏のテープの部分を細長く切って、開いた羽を閉じて固定してください。


 
完全に閉じなくても良いですから羽根を仮止めをして、内バネを体の中に収めるのを待ちます。

 

内バネがきれいに収まったら、テープを羽根の一方に付けて引っ張りながら羽根を閉じます。羽根の付け根の方から付けていきます。 この状態で腹部が引っ込み羽根が固まれば、きれいな個体が出来上がります。

いろんな種類のテープを使いましたが他のテープでは、すぐはがれてしまいます。
絆創膏が一番よかったです。
一度試してください!

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7.アゴずれの緊急手術

蛹の時点でアゴずれした個体を見つけることがあります。このまま羽化してもB品の 成虫しかでません。
しかし、早く気づけば助けることができます。

蛹のアゴが出きる前(まだ蛹が白いとき) ならば何とか修復する事ができます。
少しの勇気と経験があれば、B品個体もA品 個体になるはずです!?
成功率は85%くらいです。(低すぎる?)
 
蛹の中身が出来る前なら(白く顎が形成 される前)こんな感じで治す事が出来ます。
寝返りが打てる程度の大きさでスポンジ より硬くて弾力のあるものを使用してく ださい。
100円均一で売っている洗剤の いらないスポンジです。 (激落ちくん)
硬さと粒子の細かさがちょうど良いです。
 
こんな感じになります!! 色がつき始めたら、はずしてあげて下さい。 何とかこれでA品になると思います。

この『アゴずれの緊急手術』は、「職人」さんから教えていただきました。
ありがとうございました。

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