レギウス(Mesotopus regius)   

       の累代飼育に挑戦

まだ飼育方法が確立しておらず試行錯誤の段階ですので、参考程度に留めておいて下さい。
タランドゥスは昨年成虫まですることが出来たので、その飼育方法を参考にしながら産卵・幼虫飼育に挑戦してます。

タランドゥスとレギウスの個体差

♂の個体差

大型個体であればタランドゥスとレギウスを見分けるのは簡単ですが、サイズが小さいと分かりにくいです。タランドゥスの大顎は湾曲していますが、レギウスはまっすぐ延びています。しかし、このサイズでも単独で見ると分かりづらいです。これ以上小さくなると区別がつきません。
左タランドゥス♂59mm右レギウス♂57mm

♀の個体差

タランドゥスとレギウスの♀の違いですが、ほとんど解りません。しいて言えば、レギウス♀の方が身体も顎も細いような気がします。個体差のレベルかもしれませんので何とも言えません。
左タランドゥス♀右レギウス♀

 

レギウスの♂の顎の個体変異

W78mm
W73mm
W57mm
W46mm

サイズが大きくなるにつれて、大顎がのびカッコ良く延びてきます。70mmを越えると迫力が出て来ます。最大個体は、90mmを越える大型個体になる虫です。

レギウスの産卵セット

タランドゥスの場合、乾燥気味の柔らかい砂埋め霊芝材がよいと言われていますが、タランドゥスのワイルド入荷量に比べると、市場に出回っている幼虫の絶対数が少ないように思います。
霊芝材では、確かに幼虫は採れますが、幼虫の数が少なすぎるような気がします。大型の♀になると50mmを軽く越えるので卵を50や100は産みそうな気がするのですが,そんなに爆産したと言う話はあまり聞きません。
どんな材がいいのか分かりませんので、定番の砂埋め霊芝材を中心に自己採種のエノキのカワラ材・砂埋め霊芝材・土埋め霊芝材・人工カワラ材を使い♀4匹で実験しました。

材をマットに全埋めにして水分乾燥を防ぐセットと材を全く埋めず乾燥気味のセットの2つの方法で作りました。
材の水分は、タランドゥス・レギウスは乾燥した材に産むと言われています。しかし、雨期と乾期のあるカメルーンでは雨期に産卵するのではないのではないかと思います。(私が思うだけでなんの根拠もありません)。
乾燥した霊芝材・水分多めの霊芝材・人工カワラ材・エノキのカワラ材などいろいろ実験しました。
天然エノキのカワラ材・人工カワラ材・砂埋め霊芝材・土埋め霊芝材・全ての材に穴を開けて産卵行動をとりました。

実験の結果、卵を産んでいたのは、砂埋め霊芝材・柔らかめの人工カワラ材でした。あとは材をボロボロにしましたが遊んでいる感じでした。材は、埋めても埋めなくても産卵を確認しました。水分量は、やはり定説通り乾燥気味が良いようですが、比較的、材が柔らかすぎるとかじるだけでボロボロにするだけです。固すぎると顎が欠ける場合があります。
微妙に柔らかすぎず・固すぎない柔らかめの芯の無い材がいいようです。
水分多めの霊芝材でも幼虫は採れました。
タランドゥスが全然産卵しない場合は、水分量を変えてみるのも1つの方法かもしれません。
雨期と乾期のある地域にいる虫は、急に水分量を多くすると産卵スイッチが入る場合があります。これは最後の手段ですが、今までまったく産まなかった虫がこの方法で爆産したことが何度かあります。

上・中:今回のセット 下:人工カワラ材

 

固い材の為に顎欠けになったタランドゥスF1♀



実験結果
ワイルド♀4匹
1.砂埋め霊芝材とエノキのカワラ材・・・40日後砂埋め霊芝材から幼虫3頭GET
                  その後♀死亡
2.砂埋め霊芝材と土埋め霊芝材・・・・・・・土埋め霊芝材は柔らか過ぎたのかボロボロ
                  にしただけで、砂埋め霊芝材に1匹だけ
                  義理で産んでくれました。その後♀死亡
3.砂埋め霊芝材・・・・幼虫4頭GET、2回目の産卵セット中
4.砂埋め霊芝材・・・・幼虫6頭GET、2回目の産卵セット中

 

材は、砂埋め霊芝材が有効なようです。水分量は、普通でした。乾燥ぎみでなくても大丈夫だと思います。4♀ならもっと幼虫が採れるかと思いましたが悲惨な結果に終わってしまいました。何かが間違っているのだとと思いますが、今はまだ解りません。今後、解明して1♀で30匹ぐらいは採れるようになりたいです。飼育温度ですが25℃前後がベストのような気がします。カメルーンの気温は1年中23℃ぐらいです。タランドゥスは意外と高温に強いようです。
夏場に30℃を越えても元気でした。しかし30℃を越えないほうが無難だと思います。

レギウスの卵です。緑色の神秘的な色をしています。材割りで、この緑色の卵を発見したときは感動ものでした!
幻の卵です。


やっと初令幼虫が採れました。これで第一関門突破です。ここからがまた難しいです。
昨年タランドゥスの幼虫を成虫までした経験を元に幼虫飼育に挑戦です。
マット飼育・材飼育・菌床飼育いろいろありますが、菌床飼育1本で挑戦します。菌床ですが、どんな菌床でも合うというわけではありません。菌の強い菌床に入れると初令で落ちて消えてなくなる場合があります。できるだけ菌の弱い菌床をおすすめします。レギウス用の菌床が売っていればそれを購入されればいいですがそのような菌床はまだ売ってないので、シカクワガタに合う弱めの菌床がいいでしょう。

 

私の菌床レシピ
タランドゥスの幼虫を菌床に入れた時菌が強いと死んでしまう場合がありますので弱めの菌床に入れました。
クヌギ30%ナラ70%のオオヒラタケ菌床に30%ぐらいカシの生おがこを入れた菌床を作りました。添加材は、トレハロースを1ブロックに大サジ2杯入れました。
理由はないのですが、ローゼンの幼虫は、マットに砂糖水を入れるのが有効だという話を聞いたことがあり、ローゼンと♀の形がそっくりなのでおまじないみたいに入れています。(それなりに大きくなりました)
同じメソトップ族なのでタランドゥスと多分同じではないかと勝手に思っています。

レギウス・タランドゥスのワイルドは最大90mmぐらいになるのでこの菌床では、未完成ですがとりあえず成虫までもっていけたのでこれを改良していきたいです。

レギウスの菌床飼育に挑戦

初令でいきなり自家製の菌床ビンに投入して何とか順調に育っています。
2令のレギウスの幼虫です。今のところ順調に育っていますが、3令になっても急に拒食症の用になって平気で落ちます。油断大敵です。
3令初期になって♀4血統のうち2血統は、自作の菌床にあわず拒食症気味になってしまいました。2血統は菌床の中で2ヶ月経っても全然大きくならないので菌床ビンをナラ100%の菌床に変更しました。
この菌床は、シカクワ用にいつも使っている菌床です。菌は弱いのでレギウスにはちょうどいいような気がします。
早い♀の幼虫が孵化後5ヶ月位で蛹になりました。小さな♀ですがワイルドの♂が生きていますのでワイルド♂と交尾出来ればいいのですが・・・
 
無事に羽化したF1♀35mm


今の時点でBESTだと思われる飼育方法
1) 材は、やはり砂埋めの霊芝材が有効なようです。ただし芯のない柔らかすぎない材が有効なようです。
2) 水分量は、乾燥気味でも普通でもいいようです。それなりに水分は必要ではないでしょうか?
3) 温度は25℃位がベストの様な気がします。
4) 菌床飼育は可能なようです。基本的にナラベースのオオヒラタケの菌床で大きくなりますが、カワラ茸の菌床でも大きくなると言う情報もあります。

次は、F1成虫ペアーを作って累代出来るようにしたいと思います。
レギウスとタランドゥスの幼虫が採れましたので、次は白カワラの菌床で実験します。
次代は大型個体をつくるのが目標です。
まだどの菌床がレギウスにあっているのか分かりませんのでいろいろと実験してみようと思います。

レギウスの累代飼育に挑戦してみたのですがとても成功したと言えない結果です。
今回はF1 の成虫にすることを主力に置きました。F2以降には大型個体を作ってみたいです。
あまりにも、情報不足で試行錯誤しながら飼育していたのですが、白カワラの菌床がレギウス・タランドゥスに合っていると言う情報を得ました。
何頭か白カワラの菌床に入れて実験したのですが非常にあっているような気がします。
幼虫が菌床の中で暴れず、安定してすくすく育っているような感じです。
印象では白カワラの方が、大きくなるかもしれません。まだ結果が出てないのですがその後の結果も報告したいと思います。
タランドゥス、レギウスに関して良い情報がありましたら提供して下さい。今後の参考にしたいと思います。
今後、F2以降の累代飼育に成功したらまたレポートを書いていきたいと思います。

このページはくわがたマガジン17号P50に掲載した原稿を元にしています。