大  監  第 1 4 号

                                      平成12年4月20日
 
大阪オリンピックいらない連 様
 
                           大阪市監査委員   改 発  康 秀
 
                           同           川 口     優
 
                           同           塚 谷  敏  夫
 
                           同           大 宅  美代子
 

 

               住民監査請求の却下について(通知)

 

 平成12年3 月13日付けであなたから提出のありました、地方自治法(昭和22年法律
 
第67号。以下「法」という。)第242条第1項の規定に基づく住民監査請求につきまし
 
ては、請求の内容を審査しました結果、次の理由により住民監査請求の対象となりま
 
せんので通知します。

                         記

  本件請求の要旨は、大阪市長が五輪大会開催を理由に2007年までに北港テクノ
 
 ポート線を完成させるため近く着工せんとしているが、市の事業は、市本来の目
 
 的のために真に必要不可欠なもので、市民の公平平等な福祉向上が得られ、他の
 
 行政目的を圧迫したり均衡を欠くものでないなどの条件を欠くことは法的に許さ
 
 れないにも拘らず、北港テクノポート線は、居住者が無く、五輪大会に間に合わ
 
 ず、環境対策は不十分で、莫大な費用をかけ市民の税を浪費するなど法第1条、
 
 第2条12項・13項及び地方財政法第4条に違反するとして建設の取り止め等の措
 
 置を求めているものである。
 
  法第242条に定める住民監査請求は、普通地方公共団体の執行機関又は職員に
 
 ついて、違法又は不当な財務会計上の行為があると認められるとき、当該行為の
 
 防止又は是正を図ることを目的とするものであり、その対象となる行為は、当該
 
 普通地方公共団体の財務会計上の行為に限られる。
 
  しかし、財務会計上の行為とその原因となる行為との間に密接かつ一体的な関
 
 係がある場合には、原因となる行為の重大かつ明白な違法性を主張することによ
 
 って、財務会計行為の防止又は是正を求めることができると考えられる。
 
  この場合においても、住民監査請求が適法なものとして受理されるためには、
 
 重大かつ明白な違法性が具体的に主張されていることが必要である。
 
  本件請求において、請求人が違法と主張している内容は、住民監査請求の対象
 
 とする財務会計上の行為ではなく、財務会計上の行為の原因となる行為について、
 
 法第1条、第2条第12項、第13項及び地方財政法第4条に違反するというもので
 
 ある。
 
  しかし、請求人が違法であると主張している内容は、地下鉄はいらない、五輪
 
 開催に役立たない、環境対策が不十分である、莫大な費用をかける、採算性のな
 
 い赤字新線であるなど、客観的な事実に基づくものではなく、また、重大かつ明
 
 白な違法性を裏付ける具体的な事実も摘示されておらず、住民監査請求が適法な
 
 ものとして受理されるための重大かつ明白な違法性が具体的に主張されていると
 
 はいえない。