1999年8月25日

運輸省近畿運輸局長

運輸省港湾局長

大蔵省主計局長

自治省財政局長


大阪オリンピックいらない連

 532-0004 大阪市淀川区西宮原1丁目5−14  

週刊釣りサンデー内  06-395-8144 FAX06-395-8232

http://www.interq.or.jp/osaka/xgorin/

代表 小西和人(週刊釣りサンデー会長)

   木村達也(弁護士)         |

   松浦米子(市役所見張り番)   |


要望書

大阪市北港テクノポート線建設を認めないようお願いします


 大阪オリンピックいらない連とは、大阪市が2008年の開催の夏季オリンピック大会に立候補することに大きな問題があることから、大阪オリンピック開催に反対している市民団体です。

 大阪オリンピックには、財政、環境、市民合意について大きな問題があることに加え、IOC疑惑が発覚し今一度考え直す次期を迎えています。大阪オリンピックいらない連では、これらの中で財政問題がもっとも重要だと考えています。地下鉄建設は、財政負担の大きさでは最大であり、オリンピック開催後に有効に活用される見込みのない、優先度のもっとも低い公共事業です。

 貴省庁におきましては、大阪北港テクノポート線建設を認めないよう以下のことを要望します。


要望事項

1 運輸省港湾局には、この夏の概算要求項目に大阪北港テクノポート線建設への補助金を含まないように要望します。

2 運輸省近畿運輸局には、大阪北港テクノポート線建設認可を行わないよう要望します。

3 大蔵省主計局には、大阪北港テクノポート線建設補助金にかかわる予算要求を認めないように要望します。

4 自治省財政局には、大阪北港テクノポート線建設にかかわる起債を大阪市に認めないように要望します。また、第3セクターである(株)大阪港トランスポートシステム(OTS)が、リスクの大きい投資(地下鉄新線建設)を行わないよう指導することを要望します。

 大阪北港テクノポート線建設に反対する理由は以下のとおりです。


全体の要約

 経済的な面では、北港テクノポート線と桜島との連絡線をあわせた建設費が膨大です。乗客が確保できる見込みがなく、収入見込みは十分ではありません。一方、援助する大阪市の財政が現在でも大変厳しく、将来このような膨大な負担に耐えられません。大阪市と運輸省が行った事業化検証調査を前提としても、巨額の援助を大阪市と国が行うことになっており、市政や国政の足かせになります。

 技術的な面では、夢洲は埋立が完了するのが2003年で、沈下が安定する前に工事を始めれば、将来にわたって修復工事が必要となります。また、浚渫土砂で埋めた夢洲、舞洲は、有害物質汚染の疑いがあり、建設工事が困難になる可能性があります。

 オリンピック開催との関連では、オリンピックに会わせて建設を最大5年間前倒しにするにも、かかわらず、2008年に間に合わせることは困難です。また、2001年に大阪市がオリンピックの候補都市にならなければ、無理をして前倒しに着工した意味がなくなり、公共機関がこのような不確実な予想を前提にすることはとても許されません。さらに、前倒しにしたために増える利子負担も無視できない額になります。


1 建設費が巨額である

 北港テクノポート線建設費は、3800億円にものぼると予想され、とてもその効用に見合ったものではありません。その多くを大阪市や国が負担するにしても、そのリスクは図りしれません。一方、その多くを大阪市や国が負担することは、財政難の折りに許されません。

 大阪市と運輸省が行った事業化検証調査によると、北港テクノポート線の建設費は1870億円と試算されていますが、これまでの地下鉄の建設実績と、桜島との連絡線建設による追加、巨大化が予想される舞洲駅(仮)建設を考えあわせると、3800億円程度になると考えられます。


◆海底トンネル部分以外 3キロ 600億円

 かなり安く単価を設定して、200億円/キロとしました。トンネル以外の埋立地を通る部分です。土壌汚染している場合の費用は含めていません。


◆海底トンネル部分3カ所 5キロ 1536億円

 南港テクノポート線建設費の実績などから、各々計算しました。


 ●咲洲−夢洲 2キロ 360億円(地下鉄道路共用トンネルの鉄道部分)

 「大阪港咲洲トンネル工事誌」1998大阪市港湾局発行によると、鉄道部分は2.4キロで310億円(道路との分担で総額の23.3%想定)となっていますが、これは地下鉄建設費を安く見せるように割合を低くしています。沈埋函の幅の外側の壁を共用しているとして分母から2.4メートルを差し引いて計算すると、地下鉄の分担費は28.0%になります。

 地下鉄の幅9.2メートル ÷ (沈埋函の幅35.2メートル − 外側の両壁2.4メートル)= 0.280

これによって、咲洲トンネルの建設費1330億円の28%は436億円、キロ当たり181億円となります。従って、2キロでインフラ部分で約360億円が地下鉄の分担になります。

 インフラ外は、南港テクノポート線建設費の実績2.4キロで330億円ですから、キロ当たり138億円。2キロで276億円。

 インフラ、インフラ外を合計して、636億円


●夢洲−舞洲 1.5キロ 450億円

●舞洲−桜島 1.5キロ 450億円

 両方のトンネルとも、シールド工法を想定していますが、海水の漏水対策などで追加負担があると想定して、キロ単価は都市部の平均値300億円としました。この部分に大阪市港湾局は、南港テクノポート線の単価を使っていますが、南港テクノポート線の道路との共用部分をここではすべて鉄道の費用としなければいけないのをごまかしているので、不当に安く見積もる結果になっています。各トンネルとも長さは1.5キロと想定したので900億円


◆桜島連絡線 計1キロ 300億円

 桜島側でJRと連絡するためにさらに建設費がかかります。1キロで300億円と予想。JRはパンタグラフ式なので、トンネル断面が大きくなり、建設単価を都市部なみに想定しました。


◆舞洲駅の巨大化 100億円

 追加費用は100億円としました。オリンピック開催のための駅巨大化(開会式の来訪者を帰路が最大)と、駅の位置にある埋立地の内護岸撤去費用が追加され、通常の建設費に100億円程度追加されると予想しました。


◆JR線との巨大乗換駅 200億円

 単に1キロの区間をつなぐだけでなく、線路の幅、集電方式が異なるため大規模乗り換え駅が必要。200億円の追加投資が必要。コスモスクエア駅は130億円でしたが、地下鉄との乗換相手がJRになると、駅の大型化は避けられないので、この程度としました。


★合計 約3800億円

 単純に合計すると2736億円ですが、これは1994年完成の平均単価です。営団地下鉄の建設費用一覧から最小二乗法で、完成予定年2007年の単価を計算するとキロ単価398億円。1994年(営団地下鉄南北線)は289億円ですので、37.7%の価格上昇が見込まれます。よって、2736億円の37.7%上昇で3767億円

営団地下鉄路線名完成平均年建設費(億円/km)
丸ノ内線195818
日比谷線196332
東西線196741
千代田線197470
有楽町線1981189
半蔵門線1984237
南北線1994289
北港テクノポート線
(推定:最小二乗法)
2007398
グラフ参照
参考
大阪市営堺筋線延長部
(実績)
過去日本で2番目
398
横浜市営3号線
(実績)
過去日本一高い
414


2 費用援助する大阪市の財政が非常に悪い

 国や大阪市の補助金や援助による負担が膨大になります。OTSの株を51%保有している大阪市はすでに累積債務が膨大で、将来的な財政破綻を地下鉄建設事業が後押しします。


◆国や大阪市による負担の予測

 南港テクノポート線建設の事例にならえば、建設費のうちOTSが負担する部分は22%にすぎず、国が26%、大阪市が51%を負担することになります。北港テクノポート線の建設が市の財政破綻に直結する可能性があります。大阪市は、インフラ建設費とはべつに、インフラ外に補助を140億円負担しているため、このような半額を越える負担となっている。


◆大阪市の財政難

 大阪市は、公営交通(8000億円の債務、2400億円累積赤字)などの特別会計を含めると、平成10年度末で4兆6000億円の累積債務があります。短期的には資金が回っているので、大阪府(同じく累積債務3兆5000億円)のように財政難が表面化していません。しかし、人口で3分の1以下の大阪市が絶対額で大阪府を越える債務のあることは、長期的に財政危機が潜航していることを示しています。


◆テクノポート線により市は税収を失っている

 南港テクノポート線のインフラ部分は市が国の補助を受けて建設し、市が保有したままOTSが上部を利用しています。インフラ部分はOTSの保有資産ではないので、市には固定資産税が入りません。インフラ外の部分には、大阪市が140億円の援助をし、かつ直ちに資産圧縮をしているので、この部分の資産課税できません。

 また、OTSは従来はトラックターミナルなどの経営をしていた会社で黒字経営でした。しかし、鉄道事業を開始した1997年度に、鉄道事業の赤字により一気に累積黒字を食いつぶし、赤字に転落しました。鉄道事業以外は現在でも黒字なので、経営主体が異なれば当然その分の法人税(所得割)が入っているはずです。


3 ランニングコストが膨大で債務は膨らみ続ける

 建設費がいかに安くできても、運賃収入が少なくては、経営は安定しません。現に、南港テクノポート線は、減価償却費を除いてもなお赤字があり、債務は膨らみ続けています。


◆北港テクノポート線の経営見通しは、以下のとおりです。

1)償却対象の資産(インフラ外)に係る減価償却費については現在と比例して大きくなる

2)距離に比例した運賃をとることは困難(費用は距離に比例する部分が多い)

3)夢洲の住宅が順調に売却できなければ常住人口=乗客が極端に少なくなる(最悪ゼロに近い)

 先に述べたように、現在の路線についてOTSは建設費880億円のうち22%(190億円)しか自社負担していません。減価償却、固定資産税の支払いについても、自社資産部分120億円について行えばいいだけです。市や国の大きな財政支援を受け、さらに高額の運賃をとっても赤字が出るという状況では、経営を建て直す手段がありません。OTSの破産回避のために、市がイベントの開催や新規の開発などさらなる追加の財政支出を強いられるようでは本末転倒です。

 以上のことから毎年の赤字額は、距離に比例する程度としても100億円以上に上ると懸念されます。そうなると数年でOTSの経営が破綻します。


◆現在運行している南港テクノポート線の経営状況

 南港テクノポート線は毎年赤字を生み、市の財政的支援がなければ、OTSは北港テクノポート線ができる前の今から数年以内に破産します。現在の路線は、地下鉄2.4km、新交通システム1.3kmのあわせて3.7kmですが、1998年度の収支は、

 収入   18億6945万円

 費用   37億8465万円(うち減価償却費は約12億5000万円)

 差し引き 19億1520万円の赤字

費用のうち減価償却費の約12億5000万円を除いても赤字です。つまり、運賃収入で人件費や電気代などの運転費(ランニングコスト)もまかなえないほど悪い経営状態と言えます。(次頁表参照)


◆すでに高額な運賃設定

 南港テクノポート線は、運賃が非常に高額(地下鉄とは別に追加210円)であり、延長される北港テクノポート線についてはそれ以上の額になるでしょう。初期投資に関して市や国から大きな財政支援を受けた上、このような高額運賃をとっても赤字経営というのでは、経営の建て直し方法がなくなります。

 現在の路線を大阪市地下鉄(高速鉄道)事業として行わなかった理由の一つは、別会社にしないと採算がとれないためである。現在、運賃は1区間230円(地下鉄との乗り継ぎでも210円追加)で民鉄等と比べて格段に高い設定です。梅田からコスモスクエアまで480円もかかり、私鉄で京都へ行くより高いという異常さです。


4 急いで建設しても2008年のオリンピックには間に合わない。

 上記の想定では、地下鉄の着工が2000年で、完成が2007年となっていますが、到底このような期間で完成するとは思えません。南港テクノポート線の咲洲トンネルは、2.4キロに過ぎないにもかかわらず8年かかっています。


5 夢洲は埋め立て完了が2003年で、地盤が安定しないうちに建設することになる。

 夢洲の埋立完了は当初より2年遅れの2003年に延長となりました。大阪市港湾局は、地下鉄の部分だけ細長く先に土砂を埋めると主張していますが、そのようなことでは地盤が安定をすこし速めるだけです。さらに、このような不均等な埋立は、地盤の不等沈下を招き土地が使い物にならなくなる原因になります。



6 建設予定地、舞洲、夢洲は、浚渫土砂が汚染している。

 舞洲、夢洲は、地下鉄を建設する部分に、港や河川からの浚渫土砂を投入して来ました。しかし、これらは濃度は低いながらも、様々な有害物質(ダイオキシン、PCB、有機スズ、重金属、・・・)に汚染されています。今年春に発覚した木津川のPCB汚染土砂の問題も記憶に新しいところです。仮に、PCB汚染を拡散せずに処理できたとしても、市民に長年処理方法を隠しつづけてきた大阪市港湾局の姿勢は、今後発生する可能性のある汚染問題への対処に不安を与えています。

 また、桜島の地下鉄延長部分は、隣接するUSJの敷地は有害物質が保管されている区画があり、汚染の可能性があります。


7 建設の公共性が低い。

 港湾局の説明によると、南港テクノポート線を交通局が経営していないのは、テクノポート線は開発型路線であり、優先順位が低いからだということです。そうしておきながら、こうした事業に国や市が大幅な財政的支援を行うことは理解できません。

 現在の南港テクノポート線(大阪港−中埠頭間)を大阪市地下鉄(高速鉄道)事業として行わなかった理由の1つを、港湾局から「この路線は『開発型』であり、内陸部の地下鉄8号線と比べて優先度が低かったため交通局では着工できなかったからだ」と聞いています。このことは、テクノポート線が地域住民の利便性などの「公共性」を優先したものでないことを示しています。今後、建設する北港テクノポート線は、すでに定住人口のある咲洲に比べても、さらに開発型の性格が強く住宅開発の不確実性を考慮すると投機的な性格があり、公共性は非常に低いと思います。


以上