1999年10月4日

「大阪オリンピック環境ガイドライン」への声明


大阪オリンピックいらない連
〒532-0004 大阪市淀川区西宮原1丁目5−14
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代表 小西和人(週刊釣りサンデー会長)
   木村達也(弁護士)       
   松浦米子(市役所見張り番)   


 このほど大阪市が、「大阪オリンピック環境ガイドライン」を公表しました。しかし、その内容には問題がたくさんあります。さらに、前提となるガイドラインの位置付けにも大きな疑問があります。私達の提出した意見を一定取り入れながらも、不十分さが目立ちます。
 以下、その前提となる4つの問題と、ガイドライン各論への批判を指摘します。なお、この声明の内容は、「最終答申案」を元にしているので完成稿には対応していない可能もあります。


1.環境対策はオリンピックのテーマとはならない
 IOCは、オリンピックのテーマ(目的?)の中に環境問題への貢献をあげていますが、本来スポーツの振興のために行うオリンピックに環境を目的とする理由は見当たりません。たしかに、オリンピック大会の開催に伴って、環境への影響を最小限にする努力は必要ですが、それがオリンピックの目的であるというのは、単なるイメージアップをねらった宣伝材料にすぎません。
 オリンピックの付加価値を高めて、高く売り込もうという「もうかるオリンピック」の幻想です。


2.オリンピックの前提となる大阪市のまちづくり計画が非現実的
 大阪オリンピックが前提としている大阪市の長期計画に、「国際集客都市」構想と「テクノポート大阪」計画があります。
 「国際集客都市」構想とは、テーマパークや大きな会議場をつくって多くの人を呼び寄せようという構想ですが、それには大規模な開発計画が必要で、環境への影響も無視できません。これから情報通信が発達して行けば、このように人間を1カ所に集める発想自体が古き20世紀の常識として否定されるでしょう。
 「テクノポート大阪」計画は、大阪港の大規模な埋立地の利用計画で、まさにオリンピック会場の舞洲、夢洲を含む大規模開発計画です。オリンピックが環境に貢献しても、前提となる計画で環境破壊が進めば、意味がありません。その上、テクノポート計画は、衛星通信のためには巨大なパラボラアンテナが必要だった時代に情報通信の基地を作ることが目的でした。しかし、直径1メートルのアンテナでも衛星通信ができるようになり、何の意味もなくなってしまいました。それで、この計画の想定したオフィスビルや住宅、地下鉄建設なども根拠を失っています。
 このように、2つの構想・計画が環境問題の点でも破綻している以上、その上にのっている大阪オリンピックがいくら努力しても、環境に貢献どころが大きな環境破壊に加担することは明らかです。むしろ、凍結状態の大規模開発計画をよみがえらせて、環境破壊を招く呼び水の働きを大阪オリンピックは担っています。ガイドラインでは、この点に関してふれていません。


3.大阪市の環境行政の後ろ盾がない
 ガイドラインでは、ごみ減量化などをうたっていて、そのことは否定できないのですが、現在大阪市の行っている廃棄物行政は、それにみあった内容でしょうか。ごみの分別も始まったばかり、広大な埋立地をいいことにごみ減量を怠ってきました。オリンピック会場を予定している舞洲、夢洲はごみの埋立地です。また、これらの埋立地の沖合に次の人工島「新島(しんとう)」を計画していて、そこにごみを埋めることになっています。名古屋市も、藤前干潟の埋立を中止して初めてごみの減量に真剣に取り組むようになりました。埋立自体も環境の破壊です。
 また、大阪市以外の施設に対してこの内容を協議していませんから、実現性の裏付けはありません。他府県にもこの内容を後から押し付けるのでしょうか。


4.立候補までに環境アセスメントを生かすことはできない
 大阪市は、このガイドラインを担保するために環境アセスメントを行うとしています。ところが、2000年1月末までに、IOCに立候補届けを出さないといけません。これでは、アセスメントの結果、環境に配慮したオリンピックにするために計画を変更することになれば、立候補の書類に載せた内容が無意味になります。委員会では、アセスメントによって計画内容の見直しもある先進的なものにする合意がありますから、約束は守ってほしいと思います。
 例えば、ダイオキシン埋立地をさけてメインスタジアムをつくるといいますが、変更した位置でも、土壌汚染や内護岸撤去の問題から建設ができないかもしれません。そうすると、舞洲には建設が不可能になり、メインスタジアムの位置が定まらないままになります。
 それとも、後からいくらでも修正がきく程度の内容の計画で立候補できるのでしょうか。そんないい加減なことでは、「環境はオリンピックのテーマだ」というのは形だけになります。


5.ガイドライン各論への批判
(1)「都市環境の保全への取り組み」では、ダイオキシン対策への対応の遅れを反省する事なく、これからの課題という言い方でごまかしています。「今日さらに・・・」以下の文章は、現在までやるべきだったのに、できていないことの一覧表であって、大阪の環境行政の遅れをよく表しています。


(2)「都市基盤の整備と今後のまちづくり」では、「既存施設を最大限生かし・・・」とありますが、地下鉄や選手村となる住宅地はこれから開発するのであって、既存ではありません。その証拠に、この同じページで、「現在、USJをはじめとするさらなる集客施設の整備、・・・」とこれから開発すると明記しているのです。しかも、このUSJ予定地からは重金属汚染物質がみつかり、十分な対策もないままその敷地の一角に処分しています。これでは環境対策の模範にはなりません。


(3)「舞洲、夢洲における先導的なまちづくり」では、「負の財産を将来のまちづくりに活かすユニークなまちづくりの成果であり、・・・開発途上国など国際社会にも役立てつものと考えている」としていますが、このような環境政策の失敗を率直に認めないばかりか、宣伝の材料にするのは、正にプロパガンダ的なレトリックにすぎません。


(4)「人にやさしく環境に配慮した交通輸送」では、公共交通重視を打ち出していますが、オリンピックのために、地下鉄を建設することになることは無視しています。地下鉄建設で、膨大な資源とエネルギーを消費し、温暖化ガスを発生させることになります。


(5)「環境への影響を最小限に抑えたオリンピックの開催」では、「舞洲・夢洲における埋立土壌の管理」とありますが、夢洲PCBの処分の検討会は、3回2カ月で終わり市民の意見を反映する場面もなくすべて大阪市のお膳立てで終わっています。特に第2回の検討会では、大阪市港湾局が用意した資料の中で、勝手に安全に処分できるという評価までを書き込んでいて、委員から「委員のやるべきことを勝手に港湾局が書いてしまうのは、委員会の存在意義を損なうものだ」という指摘を受ける状態でした。このような日頃から、市民の参加を確保せず、専門家の意見に率直に耳を傾けない姿勢を取りながら、オリンピックだけが例外であり得るとは思えません。


(6)上記と同じ項目で「アジアの風土に適したビオトープ」という表現がありますが、広いアジアのどこの風土に適するのか意味がわかりません。アジアということばをいれれば先進的という先入観に訴えても、中身がありません。


(7)「循環型・環境共生型のまちづくりと地球環境保全への貢献」では、「生息地としての連続性を確保した」という表現がありますが、緑地のほとんどない大阪市内の施設で連続性を確保するのは無理です。ましてや、人工島までどうやって連続させるのでしょうか。実現性のないことを書いて、イメージアップを図るのは、やめてください。


(8)「代表的取り組み」で、「透水性舗装がヒートアイランド現象の緩和を図る」とありますが、透水性舗装は水を速やかに排除するのが目的ですから、水分を保持することはできません。


以上