2000年11月21日
大阪市オリンピック招致局 御中
〒532-0004 大阪市淀川区西宮原1−5−14 週刊釣りサンデー内
大阪オリンピックいらない連
代表 小西和人大阪オリンピック環境計画(案)への意見書
計画案の構成にしたがって意見を書きます。9月に素案に対してお送りした意見が、あまり反映していると思えないのは残念です。今回は問題提起を真摯に受け止めて、環境のためには必要に応じて大幅に計画を変更する勇気を求めます。
1.環境アセスメントは法的にも必要である
「はじめに」■環境影響の予測評価等の実施を伴った環境計画の作成
前回の繰り返しになる点。「はとんどの施設が、我が国の法体系下では、いわいる環境アセスメントの対象外となる小規模なものです。」とあるが、舞洲についてはあてはまらない。オリンピックを前提としない計画で、舞洲全体に関して過去に環境アセスメントが終了していて、オリンピック施設建設はその前提を大きくくつがえすものである。現在、メインスタジアムと屋内プールを建設する予定の地点は、ゴルフ場建設を前提として環境アセスメントが終了している。ゴルフ場を中止するなら、アセスメントの前提とする計画が大幅にかわることになり、アセスメントのやり直しは当然である。それが「ほとんどの施設は」言えるような小さなものではない。意見への回答もこれに関しては、答えを用意していないのは、不誠実である。
2.高度な都市基盤の整備と環境保全は無関係である
1頁「1.大阪オリンピック環境計画の骨子」
これも前回のまま。「高度な都市基盤の整備と舞洲・夢洲の造成とまちづくり」とあるが、夢洲に造成する住宅に予定の6万人(その後4万5000人に下方修正)が定住する見込みは少ない。大阪市は、その入居予想の根拠を示していない。住宅需要のはっきりしないにもかかわらず、資源・エネルギーを投入して住宅開発することは、環境破壊以外の何物でもないことを認識するべきである。意見への回答がない。
3.新たな鉄道計画は環境を破壊する
40頁「交通輸送」
交通輸送に関して実施した環境影響評価によると、その影響は軽微でした。」とあるが、メインスタジアムなどのある舞洲、選手村のある夢洲を結ぶ地下鉄は、現在存在しないので、これから建設することになる。
大阪市は、上記の住宅開発で地下鉄が必要となると主張しているが、前述のようにその根拠は示していない。そうすると、地下鉄建設は、オリンピック開催のために行うことになり、その環境への影響は膨大なものになる。公共交通機関、特に鉄道が、輸送時に環境への影響が少ないことを根拠に環境への配慮をうたっているが、建設自体が疑問視されていることにふれないのは無責任である。
大阪市港湾局の行った地下鉄のアセスメントを見ると、1)地盤沈下対策が具体的に書いていない、2)土壌汚染調査が不十分、3)生物調査は過去のデータしか使わずしかもデータが古すぎる、などの不十分なものです。アセスメントの内容が適切かどうか、独自に検討する必要がある。港湾局まかせでは、招致局の主体性はなく環境オリンピックとは言えない。
4.開催時の環境負荷計測、代償措置をもりこむべき
25頁「環境保全の考え方」には影響の抑制はかかげているが、代償措置については述べていない。
オリンピック開催に伴う環境負荷の増加分を相殺するための措置を具体的かつ定量的に提示することが、良心的環境オリンピックの環境倫理に則した行動である。
たとえば、オリンピックの開催で選手、大会関係者、観客等延べ何十万人が大阪市内に一次的に滞在し様々な活動を展開することになるが、これらの人間が排出する二酸化炭素の総量を算出し、それを相殺するだけの二酸化炭素吸収量を提供する植物の植樹を行うようなことを具体的に提示しなければ、責任あるオリンピック環境計画とは到底標榜できるものではない。当然その植生は、潜在植生に近いものを選ばなければならない。街路樹のような見かけだけ緑を増やしても意味がない。
5.メインスタジアムと屋内プールは地盤沈下で建設が困難
私達の指摘を受けて、これらの施設の建設位置のだいたいの位置を表示したが、あまりにも大ざっぱである。これでは、環境への影響は評価できない。この2つの施設は、ダイオキシンの埋まっている舞洲の管理型処分場の上につくる予定であったが、大阪市環境局や市会議員、大阪オリンピックいらない連の指摘で位置の変更を決めている。しかし、どこに建設位置を変えるか決めていない。そのため、市役所1階ロビーに展示中のパネルには、いまだにダイオキシンの上に建設するイメージ図をかかがえている。
管理型処分場の上にかからないようにメインスタジアムを建設するのは狭くて無理であると、私たちは思っている。この図では、施設周辺のアプローチなどが全然ないがそのようなことで建設が可能なのか。
メインスタジアムの真下には、内護岸が埋まっている。内護岸がある部分と、そうでない部分は地盤沈下の速度に違いがあり、建物の変形崩壊の可能性がある。この位置では、建設は困難であり、対策をほどこせば建設・維持する費用も膨大になる。もっと、具体的に建設が可能かどうか検討するべき。
6.舞洲は厳重な環境管理をして来なかった
メインスタジアムの冒頭の解説に「舞洲は、・・・、これらの埋立は、周辺の環境監視を行いながら厳重な環境管理のもとに実施している。」とあるが、事実に反する。
1つめは、舞洲の管理型処分場に降った雨水を数年間、処理しないで放流していたために、ダイオキシンを含む汚水が垂れ流しになっていたことがある。
2つめは、舞洲の管理型処分場には、焼却残滓と不燃ごみしか入れないはずであったが、大量の可燃物が混入していたことは後の調査で明らかになっている。厳重な管理のもとで埋め立てたというにはほど遠い現状であった。
さらに、オリンピック招致局は、この管理型処分場にダイオキシンが入っていることを知らないばかりか、我々が指摘しても十分その問題性を認識できる知識をもたなかった。
これらの反省が見られない文章である。
7.舞洲の土壌汚染調査は不十分である
メインスタジアムの「■環境調査の結果 土壌」で「ダイオキシンは問題のない値である」などと問題がないと断言している。
しかし、スタジアム建設予定地にかかる地点は2カ所ほどしか調査をしていないので、それを整理しただけでは評価できない。追加調査が必要である。調査項目についても、環境ホルモンの疑いのある物質なども追加調査項目に盛り込むべきである。
8.夢洲の土壌汚染調査も不十分である
オリンピック選手村・メディア村でも、舞洲と同様、土壌汚染は問題ないという結論を出しているが、既存調査は不十分であり、追加調査が必要である。特に、夢洲には、ユニバーサルスタジオから一時的に舞洲に保管している土砂や、地下鉄建設で発生する土砂を持ち込む予定があり、モニタリングも必要となる。これも前回のまま。意見への回答がない。
9.高槻射撃場の影響調査計画は不十分
「■環境調査の結果」で周辺に豊な自然があることを述べているが、ではどうしてこのようなふさわしくない地点に射撃場を立地したのか理解できない。
特にオオタカなど音に敏感な生物に対して、射撃の音が大きな影響を与えると思えるが、「■調査の方法 騒音、生態系」にはその予定が載っていないのは、大きな欠陥である。さらに、このような調査の結果、射撃場を高槻に設けることができない場合も想定しているのかどうかも明確にするべきである。これも前回のまま。改善の後がほとんど見られない。
10.岬町マウンテンバイク会場は確保できる確証がない
関西空港の2期工事で土砂を搬出することで会場を確保する計画である。しかし、現行の1期の施設の地盤沈下対策と資金難から、関西空港の2期工事は凍結や延期になる可能性が高く、マウンテンバイク会場の確保自体が危ぶまれている。
環境計画の問題ではないが、その前提となる施設計画の実現性を確認の上、むだな調査はさけるべきである。また、代替地の検討が必要である。
11.琵琶湖レガッタコースは環境を破壊する
「■環境調査の結果 動植物・生態系、景観」で「自然環境・生物・景観の保全に十分な配慮が必要・・・」と述べている。素案にあった「大同川(と伊庭内湖)は自然環境が豊かで、琵琶湖の浄化に重要な役割を果たしている」と部分を削除したが、これも事実であるのに削除したのは意図的である。
このような環境にもかかわらず、この地点にレガッタコースをもうけることにしたことは、信じられないことである。
また、建設省のつけた呼び名としては「大同川」であるが実態は内湖であり、琵琶湖に残り少ない貴重な存在である。内湖は琵琶湖の浄化や古来の景観をのこしていて、自然とともに歴史的にも貴重である。
20頁に「琵琶湖レガッタコースは、かねてから要望のあった施設であり」とあるが、地元では自然破壊を危惧して反対運動があり、一方的に地元が望んでいることだけを書くのは公平に欠ける。大会後も活用するとあるが、それは景観破壊が続くということである。仮に建設を認めるとしても、開催後撤去をもりこむべきある。
素案への意見の多くもこの施設の環境破壊を心配する意見であるが、抽象的に配慮するという答えばかりで、具体性に欠ける。案の本文も努力するという記述はあるが、自然破壊をおこさないという裏付けになる記述はない。
以上