概説 |
熱を下げたり、痛みをやわらげるお薬です。 |
作用 | 作用のおだやかな解熱鎮痛薬です。皮膚の血管を広げて熱を放散させる作用や、脳の痛みの感受性を低下させる作用があります。ただし、対症療法薬ですので、熱や痛みの原因そのものを治すことはできません。
発熱時のほか、頭痛や歯痛、生理痛などに広く適用します。腰痛や関節症にはやや多めの量が用いられます。また坐薬は、子供や赤ちゃんの解熱によく処方されています。炎症(腫れ)をとる作用は弱いので、リウマチなど強い炎症をともなう痛みには向きません。 |
特徴 |
- 実績のある安全性の高い解熱鎮痛薬です。アニリン系薬剤であり、NSAIDsと呼ばれる一般的な鎮痛薬とは作用機序が違います。NSAIDsに比べ、効果はゆるやかですが、副作用が少なく長期の使用も比較的安全です。このため、WHO方式3段階疼痛治療法の第1段階に位置づけられ、海外では各種疼痛の基本薬として広く用いられています。炎症をともなう激しい痛みには不向きかもしれませんが、軽度から中等度の広範な痛みに適用可能です。開発が古く、安価なのも利点です。
- 日本の病院では解熱薬として用いることが多いです。熱や頭痛をともなうカゼやインフルエンザに処方されるほか、薬剤性の発熱にも適します。2010年に“変形性関節症”の効能が追加され、1回1000mg、1日総量4000mgを限度とする用量拡大についても承認されました。国内では比較的少量を用いることが多かったのですが、多めに用いることで鎮痛効果の増強が見込めるのです。今後、整形外科領域をふくめ、鎮痛薬として処方される機会も増えることでしょう。
|
注意 |
 【診察で】
- 喘息やアレルギーのある人は医師に報告しておいてください。
- 胃腸の悪い人、腎臓や肝臓の悪い人など持病のある人も医師に伝えておきましょう。病気によっては症状を悪化させるおそれがあります。
- 市販薬も含め、使用中の薬を医師に教えてください。
 【注意する人】
- アスピリン喘息(鎮痛薬や解熱薬で喘息発作を誘発)の人は、使用できないことになっています(少量であれば危険性は低いと考えられています)。
- 胃潰瘍、血液の病気、肝臓病、腎臓病、心臓病、喘息などの人は病状により使用できないことがあります。
- 栄養状態の悪い人や、飲酒量の多い人は肝臓の副作用に注意が必要です。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 市販のカゼ薬や解熱鎮痛薬の多くにアセトアミノフェンが配合されています。この薬と重複することになりますので、これらとの併用は避けてください。
- 血栓の薬のワルファリン(ワーファリン)の作用を増強するおそれがあります。ほかにも、併用に注意する薬がいくつかあります。使用中の薬がある場合は、必ず医師に伝えておきましょう。
- 飲酒はできるだけ控えてください。多量のアルコールは、胃腸や肝臓の副作用をでやすくします。
 【使用にあたり】
- 病状や治療目的により飲みかたが違います。決められた用法用量の範囲で正しく使用してください。
- 多めの水で飲むとよいでしょう。胃の刺激が少なくなります。
- カゼの発熱時に頓服する場合、一般的には38.5度以上を目安にします。熱が上昇しているときではなく、上がりきったときに使用するほうが効果的です。

- 【検査】

- 変形性関節症など慢性疾患の治療のため、1500mg/日を超えるような高用量を長期服用する場合は、定期的に肝機能検査をおこなうようにします。
 【備考】
- インフルエンザにおいては、他の解熱鎮痛薬よりも、この薬のほうが安全です。とくに子供の解熱には、この薬(アセトアミノフェン)を用いるようにします。
- カゼなど感染症による発熱やノドの腫れは、ばい菌を殺菌駆除するための自然な防御システムです。これを薬で無理に抑えれば、かえって病気そのものの治りを遅らせてしまうことさえあります。とくにインフルエンザなどウイルス性の病気では、むやみに熱を下げればよいというものではありません。
|
効能 |

- 【効能A】

- 下記の疾患並びに症状の鎮痛
- 頭痛、耳痛、症候性神経痛、腰痛症、筋肉痛、打撲痛、捻挫痛、月経痛、分娩後痛、がんによる疼痛、歯痛、歯科治療後の疼痛、変形性関節症

- 【効能B】

- 下記疾患の解熱・鎮痛
- 急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

- 【効能C】

- 小児科領域における解熱・鎮痛
|
用法 |

- 【効能A】

- 通常、成人はアセトアミノフェンとして、1回300〜1000mgを経口服用し、服用間隔は4〜6時間以上とする。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日総量として4000mgを限度とする。また、空腹時の服用は避けさせることが望ましい。

- 【効能B】

- 通常、成人はアセトアミノフェンとして、1回300〜500mgを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大1500mgを限度とする。また、空腹時の服用は避けさせることが望ましい。

- 【効能C】

- 通常、幼児及び小児はアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10〜15mgを経口服用する。服用間隔は4〜6時間以上とし、1日総量として60mg/kgを限度とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、成人の用量を超えない。また、空腹時の服用は避けさせることが望ましい。1回服用量の目安は下記のとおり。
- 体重5kg..1回 50〜75mg
- 体重10kg..1回 100〜150mg
- 体重20kg..1回 200〜300mg
- 体重30kg..1回 300〜450mg
補足:「小児科領域における解熱・鎮痛」の効能又は効果に対する1回あたりの最大用量はアセトアミノフェンとして500mg、1日あたりの最大用量はアセトアミノフェンとして1500mgである。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
|
副作用 |
副作用の少ない安全性の高いお薬です。アレルギーを起こすことも少なく、重い副作用はほとんどありません。ただし、必要以上に飲みすぎると、腹痛や下痢を起こしたり、肝臓の調子が悪くなることがあります。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 喘息発作の誘発..咳き込む、ぜいぜい息をする、息をするときヒューヒュー音がする、息切れ、呼吸しにくい。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
- 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
 【その他】
- 吐き気、吐く、食欲不振、腹痛、下痢。
- 発疹、じんま疹。
|