概説 |
腫れや痛みをやわらげ、熱を下げる坐薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 炎症をしずめて、腫れや発赤、痛みなどの症状をおさえます。熱を下げる作用もあります。ただし、対症療法薬ですので、熱や痛みの原因そのものを治すことはできません。

- 【薬理】

- 炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質の生合成を抑制します。プロスタグランジン(PG)の合成酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することによります。
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特徴 |
- この薬の仲間は「非ステロイド抗炎症薬(NSAID)」と呼ばれ、いろいろな痛みに広く用いられています。熱やノドの痛みをともなうカゼにも使います。
- 化学構造的には、サリチル酸の系統に分類されます。
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注意 |
 【診察で】
- 胃腸の悪い人、腎臓や肝臓の悪い人など持病のある人は医師に伝えておきましょう。病気によっては症状を悪化させるおそれがあります。
- 喘息やアレルギーのある人も医師に報告しておいてください。
- 妊娠中の人は、医師にお伝えください。

- 【注意する人】

- 鎮痛薬や解熱薬で喘息を起こしたことのある人は使用できません(アスピリン喘息の人)。子供のインフルエンザには原則的に用いません。胃潰瘍など消化性潰瘍のある人も基本的には避けます(特別な胃薬と併用して用いることがあります)。また、血小板減少などで出血が心配される場合も控えるようにします。そのほか、肝臓病、腎臓病、心臓病、喘息などの人も病状により使用できない場合があります。副作用のでやすい高齢の人も慎重に用います。
- 適さないケース..アスピリン喘息、子供の水痘およびインフルエンザ(インフルエンザ脳症との関連性が示唆される)、消化性潰瘍のある人、血小板減少症など重い血液の病気、重い肝臓病、重い腎臓病、重い心臓病(心不全)、妊娠末期の人など。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 市販薬も含め、他の薬との飲み合わせに注意が必要です。抗凝血薬のワルファリン、抗リウマチ薬のメトトレキサート(リウマトレックス)、気分安定薬のリチウム(リーマス)、さらに糖尿病の薬や利尿薬、抗てんん薬など多くの薬と相互作用を起こす可能性があります。服用中の薬は忘れずに医師に報告しておきましょう。
- 飲酒は控えめにしてください。多量のアルコールは、胃や肝臓の副作用をでやすくします。
 【使用にあたり】
- できるだけ排便後に使用するとよいでしょう。便がたまっている状態で使用すると、便意を催してしまうことがあります。
- 入れにくいときは、坐薬の先端に少量の水をつけると滑りがよくなります。
- カゼや頭痛では頓用が原則です。頓用の指示がある場合は、症状のひどいときだけ使用してください。よくなってきたら、早めに中止したほがよいでしょう。
- 肩こりや腰痛、外傷などで使用している場合、漫然と続けず、痛みの程度により、減量や中止を考慮する必要があります。症状がよくなったら、継続の可否についても医師とよく相談してみてください。リウマチなど慢性的な炎症疾患は別として、鎮痛薬の安易な長期服用は好ましくありません。
- 関節リウマチでは、よい効果がでるまでに2〜4週間くらいかかることがあります。指示された期間続けるようにしてください。

- 【妊娠授乳】

- 妊娠中はできるだけ控えます。どうしても必要な場合は、必要最小限の範囲で用います。妊娠末期の長期連用は避けなければなりません。
 【その他】
- 他の人、とくに子供には代用しないでください。
- 手術や抜歯の予定のある人は、この薬を使用していることを事前に医師に伝えておいてください。
- カゼなど感染症による発熱やノドの腫れは、ばい菌を殺菌駆除するための自然な防御システムです。これを薬で無理に抑えれば、かえって病気そのものの治りを遅らせてしまうことさえあります。とくにインフルエンザなどウイルス性の病気では、むやみに熱を下げればよいというものではありません。
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効能 |

- 【効能A】

- 歯痛、関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、強直性脊椎炎、関節周囲炎、術後疼痛、症候性神経痛、関節痛、腰痛症、筋肉痛、捻挫痛、打撲痛、痛風による痛み、頭痛、月経痛。

- 【効能B】

- 次の疾患の解熱・鎮痛//急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)。
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用法 |

- 【効能A】

- アスピリンとして、通常幼児1日0.1〜1.0g、成人1日1.0〜1.5gを1〜3回に分け直腸内に挿入する。なお、年齢・疾患・症状により適宜増減する。ただし、上記の最高量までとする。

- 【効能B】

- アスピリンとして、通常幼児1回0.1〜0.3g、成人1回0.3〜0.75gを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大幼児1.0g、成人1.5gを限度とする。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
坐薬は速効的に強力に作用するので、体温の下がりすぎや、ショック症状に注意が必要です。また、人によっては発疹ができたり、喘息発作を起こすおそれがあります。アレルギー体質の人や、もともと喘息のある人は注意してください。
間接的に胃をあらすこともあります。重症化することはまれですが、胃潰瘍など消化性潰瘍にも念のため注意が必要です。とくに高齢の人、また長期使用時には気をつけてください。
そのほか、腎臓や肝臓の働きが悪くなってくることがあります。リウマチなどで長期に使用する場合は、定期的に肝機能や腎臓の検査、また胃の検診を受けるとよいでしょう。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック、アナフィラキシー様症状..気持ちが悪い、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
- 消化管潰瘍..胃痛、腹痛、下血(黒いタール状の血液便)、吐血(コーヒー色のものを吐く)。
- 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 喘息発作の誘発..咳き込む、ぜいぜい息をする、息をするときヒューヒュー音がする、息切れ、呼吸しにくい。
 【その他】
- 胃痛・腹痛、吐き気、吐く、食欲不振、口内炎。
- 発疹、じんま疹。
- むくみ、肝臓や腎臓の働きが落ちる。
- 体温の下がり過ぎ。
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