概説 |
腫れや痛みをやわらげ、熱を下げるお薬です。 |
作用 | 
- 【働き-1(坐剤・注腸軟膏)】

- 炎症をしずめて、腫れや発赤、痛みなどの症状をおさえます。熱を下げる作用もあります。ただし、対症療法薬ですので、熱や痛みの原因そのものを治すことはできません。変形性関節症や腰痛症などに対し、整形外科領域で用いられることが多いです。坐剤が一般的ですが、注腸軟膏もあります。

- 【働き-2(テープ剤)】

- ジクトルテープは、がんの痛みのほか、腰痛症や肩関節周囲炎(いわゆる五十肩等)に適応する特殊なテープ剤です。有効成分が皮膚から直接全身の血液中に移行し、24時間安定した血中薬物濃度を維持することで効果の持続が期待できます。

- 【薬理】

- 炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質の生合成を抑制します。プロスタグランジン(PG)の合成酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することによります。
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特徴 |
- この薬の仲間は「非ステロイド抗炎症薬(NSAID)」と呼ばれ、いろいろな痛みに広く用いられています。熱やノドの痛みをともなうカゼにも使います。
- 化学構造的には、アリール酢酸系(フェニル酢酸系)に分類されます。この系統は効果が強い反面、副作用にも注意が必要です。
- 坐剤は肛門から挿入する坐薬です。直腸粘膜から吸収され、全身循環血を介して鎮痛効果を発揮します。すぐに強い効果がえられます。
- ジクトルテープはがん疼痛治療薬として新たに開発されました。TDDS(Transdermal Drug Delivery System:経皮薬物送達システム)技術を用いた全身作用型の経皮吸収型製剤です。有効成分が皮膚から吸収され、全身循環血を介して鎮痛効果を発揮するわけです。がん疼痛患者を対象とした臨床試験において、有効性および安全性が確認されました。悪心・嘔吐、嚥下困難、消化管閉塞などで経口摂取が困難な患者さんにも使用可能です。また、服薬状況が目視で確認できるのもメリットです。
- ジクトルテープは、その後、腰痛症など整形外科領域の疼痛に対する適応拡大が承認されました。空腹時や下痢時にも使用可能な全身性鎮痛薬として治療の選択肢を広がると期待されます。
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注意 |
 【診察で】
- 胃腸の悪い人、腎臓や肝臓の悪い人など持病のある人は医師に伝えておきましょう。病気によっては症状を悪化させるおそれがあります。
- 喘息やアレルギーのある人も医師に報告しておいてください。
- 妊娠中の人は、医師にお伝えください。

- 【注意する人】

- 鎮痛薬や解熱薬で喘息を起こしたことのある人は使用してはいけません(アスピリン喘息の人)。子供のインフルエンザには原則的に用いません。胃潰瘍など消化性潰瘍のある人も避けます(特別な胃薬と併用して用いることがあります)。また、血小板減少などで出血が心配な場合も控えるようにします。そのほか、肝臓病、腎臓病、高血圧、心臓病、喘息、痔、大腸炎、クローン病、インフルエンザなどにおいても病状により使用できない場合があります。副作用のでやすい子供や高齢の人も慎重に用います。
- 適さないケース..アスピリン喘息、子供のインフルエンザ(インフルエンザ脳症との関連性が示唆される)、消化性潰瘍のある人、血小板減少症など重い血液の病気、重い肝臓病、重い腎臓病、重い心臓病(心不全)、重い高血圧症、直腸炎・直腸出血・痔のある人(坐剤・注腸軟膏)、妊娠中の人など。
- 注意が必要なケース..喘息、消化性潰瘍の既往歴のある人、血小板減少など血液に異常のある人、肝臓病、腎臓病、高血圧症、心臓病などのある人またはそれらの既往歴のある人、潰瘍性大腸炎やクローン病のある人、インフルエンザやデング熱などウイルス性感染症または細菌性感染症を合併している人、消化管手術後、妊娠中、高齢の人など。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 市販薬も含め、他の薬との飲み合わせに注意が必要です。とくに利尿薬のトリアムテレン(トリテレン)とは併用が禁止されています。ほかにも、抗真菌薬のボリコナゾール(ブイフェンド)、ワルファリン(ワーファリン)やクロピドグレル(プラビックス)など血栓の薬、気分安定薬のリチウム(リーマス)、キノロン系抗菌薬、抗うつ薬(SSRI)、抗リウマチ薬のメトトレキサート(リウマトレックス)、さらに利尿薬や降圧薬、強心薬、免疫抑制薬など多くの薬と相互作用を起こす可能性があります。服用中の薬は忘れずに医師に報告しておきましょう。
- 飲酒は控えめにしてください。多量のアルコールは、胃や肝臓の副作用をでやすくします。
 【使用にあたり-1(坐剤・注腸軟膏)】
- 坐剤は肛門から直腸内に挿入してください。入れにくいときは、先端に少量の水をつけると滑りがよくなります。通常1日1〜2回使用します。
- 注腸軟膏は肛門から直腸内に薬剤を注入してください。容器先端に付着している潤滑剤をのばしてから挿入し、スティックを押し込むことで薬剤が注入できます。
- できるだけ排便後に使用するとよいでしょう。便がたまっている状態で使用すると、便意を催してしまうことがあります。
- もし、肩こりや腰痛、外傷などで使用している場合、漫然と続けず、痛みの程度により、減量や中止を考慮する必要があります。症状がよくなったら、継続の可否についても医師とよく相談してみてください。リウマチなど慢性的な炎症疾患は別として、鎮痛薬の安易な長期使用は好ましくありません。
- 関節リウマチでは、よい効果がでるまでに2〜4週間くらいかかることがあります。指示された期間続けてください。
 【使用にあたり-2(テープ剤】
- テープ剤は、腰痛など整形外科領域の痛みのほか、がん性疼痛にも用います。1日1回約24時間毎に貼り替えてください。部位は胸部、腹部、上腕部、背部、腰部または大腿部などです。
- 痛みが残るようでしたら、遠慮なく医師に申し出てください。
 【妊娠授乳】
- 妊娠中は使用できないことになっています。ただ、症状によっては、医師の責任において頓用ないしごく短期間だけ使用することがあるかもしれません。
- 使用中は授乳(母乳)を止めることになっています。けれど、母乳への移行はごく微量です。医師の判断で授乳が許可されるかもしれません。
 【その他】
- 胃の副作用を予防するのに、胃腸薬が処方されることがあります。
- 他の人、とくに子供には代用しないでください。
- カゼなど感染症による発熱やノドの腫れは、ばい菌を殺菌駆除するための自然な防御システムです。これを薬で無理に抑えれば、かえって病気そのものの治りを遅らせてしまうことさえあります。とくにインフルエンザなどウイルス性の病気では、むやみに熱を下げればよいというものではありません。この薬とインフルエンザ脳症との関連性も指摘されています。
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効能 |
 【効能:坐剤・注腸軟膏】
- 次の疾患並びに症状の鎮痛・消炎//関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、後陣痛
- 手術後の鎮痛・消炎
- 他の解熱剤では効果が期待できないか、あるいは、他の解熱剤の投与が不可能な場合の急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の緊急解熱
 【効能:テープ剤(ジクトル)】- <効能A>

- 各種がんにおける鎮痛
- <効能B>

- 腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎
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用法 |

- 【坐剤(成人)】

- ジクロフェナクナトリウムとして通常1回25〜50mgを1日1〜2回、直腸内に挿入するが、年齢、症状に応じ低用量投与が望ましい。低体温によるショックを起こすことがあるので、高齢者に投与する場合には少量から投与を開始すること。

- 【坐剤(小児)】

- ジクロフェナクナトリウムとして1回の投与に体重1kgあたり0.5〜1.0mgを1日1〜2回、直腸内に挿入する。なお、年齢、症状に応じ低用量投与が望ましい。低体温によるショックを起こすことがあるので、少量から投与を開始すること。年齢別投与量の目安は1回量として下記のとおりである。
- 1歳以上3歳未満..6.25mg
- 3歳以上6歳未満..6.25mg〜12.5mg
- 6歳以上9歳未満..12.5mg
- 9歳以上12歳未満..12.5mg〜25mg
 【注腸軟膏剤】
- 成人には、ジクロフェナクナトリウムとして通常1回25〜50mgを1日1〜2回、直腸内に注入するが、年齢、症状に応じ低用量投与が望ましい。低体温によるショックを起こすことがあるので、高齢者に投与する場合には少量から投与を開始すること。
- 小児等には、剤形上用量調節が困難なため、投与しないこと。
 【テープ剤(ジクトル)】- <効能A(各種がん〜)>

- 通常、成人に対し、1日1回、2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替える。なお、症状や状態により1日3枚(ジクロフェナクナトリウムとして225mg)に増量できる。
- <効能B(腰痛症〜)>

- 通常、成人に対し、1日1回、1枚(ジクロフェナクナトリウムとして75mg)又は2枚(ジクロフェナクナトリウムとして150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部に貼付し、1日(約24時間)毎に貼り替える。
[注意(効能A・B)]本剤投与時は他の全身作用を期待する消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けることとし、やむを得ず併用する場合には、必要最小限の使用にとどめ、患者の状態に十分注意すること。
[注意(効能A)]本剤3枚貼付時の全身曝露量がジクロフェナクナトリウム経口剤の通常用量投与時と同程度に達することから、1日貼付枚数は3枚を超えないこと。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
坐薬は速効的に強力に作用するので、体温の下がりすぎや、ショック症状に注意が必要です。また、人によっては発疹ができたり、喘息発作を起こすおそれもあります。アレルギー体質の人や喘息の人、子供や高齢の人はとくに注意してください。
間接的に胃をあらすこともあります。重症化することはまれですが、胃潰瘍など消化性潰瘍にも念のため注意が必要です。とくに高齢の人、また長期使用時には気をつけてください。
そのほか、腎臓や肝臓の働きが悪くなったり、血液に異常があらわれることがあります。リウマチなどで長期に使用する場合は、定期的に肝機能や腎臓の検査、また胃の検診を受けるとよいでしょう。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔のむくみ・腫れ、咳、のどが腫れゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
- 消化管潰瘍による穿孔・狭窄・閉塞・出血..胃痛、激しい腹痛、持続する腹痛、吐き気、嘔吐、お腹が張る、便秘、吐血(コーヒー色のものを吐く)、下血(血液便、黒いタール状の便)。
- 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
- 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 喘息発作の誘発..咳込む、ぜいぜいする、息をするときヒューヒュー音がする、息切れ、呼吸しにくい。
- 心不全、心筋梗塞..息苦しい、動悸、むくみ、締め付けられるような胸の痛み、冷汗。
- 急性脳症..意味不明な言動、激しい嘔吐、意識の乱れ、けいれん
 【その他】
- 胃痛・腹痛、吐き気、吐く、食欲不振、口内炎
- 発疹、じんま疹、適用部位の発赤・かゆみ(テープ剤)
- むくみ、肝臓や腎臓の働きが落ちる
- 体温の下がり過ぎ
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