概説 |
憂うつな気分をやわらげ、意欲を高めるお薬です。うつ病やうつ状態の治療に用います。また、子供の夜尿症の治療にも用います。 |
作用 |  【働き】
- 気分が晴れずに落ち込んだり、悲観的になったり、やる気がでない、集中できない、眠れない・・そんなこじれた心の症状を改善し、気持ちが前向きになるのを助けます。また、不安や緊張した気分をほぐして、気持ちを楽にします。
- うつ病のほか、パニック障害、過食症などいろいろな心の不具合に応用されます。夜尿症、片頭痛、神経痛の治療に使われることもあります。

- 【薬理】

- 脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンやセロトニンの量を増やし、神経の働きをよくします。ノルアドレナリンの増加は「意欲」を高め、セロトニンの増加は不安感をやわらげ「気分」を楽にするといわれます。
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特徴 |
- 古くからある第一世代の三環系抗うつ薬です。作用が強く、よい効果が期待できますが、副作用がでやすのが欠点です。また、効いてくるまで少し時間がかかります。
- アミトリプチリンは、頭痛や神経痛など他の病気に応用されることがよくあります。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。病気によっては症状を悪化させるおそれがあります。
- 飲み合わせの悪い薬があります。2週間前から今現在までに飲んでいた薬を、医師に報告しておいてください。

- 【注意する人】

- 緑内障のある人は禁止されています。眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがあるためです。前立腺肥大症や心臓の悪い人も病状を悪化させるおそれがあります。また、高齢の人は副作用がでやすいので、服用量などに十分注意します。
- 適さないケース..緑内障、心筋梗塞の回復初期、尿閉のある人。
- 注意が必要なケース..尿の出にくい人(前立腺肥大症)、心臓病、てんかん、低血圧、腸に閉塞や通過障害のある人、ひどい便秘、躁うつ病、統合失調症、高齢の人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- パーキンソン病治療薬のセレギリン(エフピー)との併用は禁止されており、一定期間の間隔をあける必要があります。両方の作用がだぶり「セロトニン症候群」という重い副作用を起こすおそれがあるためです。ほかにも、飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。今現在、および最近まで飲んでいた薬を必ず医師に伝えてください。
- 飲み合わせの悪い薬..セレギリン(エフピー)。
- 飲酒は控えてください。めまいや眠気などの副作用がでやすくなります。
 【使用にあたり】
- 服用量は個人差が大きいです。ふつう、少量より開始し、よい効果のでる量まで徐々に増やしていきます。決められた飲み方を守りましょう。
- よく効いてくるのに、2〜3週間かかることがあります。
- 急に飲むのを中止すると反動で症状が悪化したり、体の具合が悪くなることがあります。中止する際は、医師の判断で徐々に減量しなければなりません。
- うつ病では、症状がよくなってからも、しばらく少量を続けることが多いです。いわゆる「揺りもどし」による再発を防ぐためです。症状や環境にもよりますが、半年〜2年くらいは続けることになると思います。再発を繰り返しているときは、更に長期の服用となります。指示された期間、続けるようにしてください。
 【食生活】
- 眠気やめまいを起こすことがあります。車の運転、危険な仕事、高所での作業には十分注意してください。
- 急に立ち上がると、強い立ちくらみを起こすかもしれません。急な動きはしないで、ゆっくり動作するようにしましょう。とくに飲み始めに注意してください。
- 口が乾いて不快なときは、冷たい水で口をすすいだり、小さな氷を口に含むとよいでしょう。
- まずは、がんばらないで休養することが第一です。脳の疲れがとれてくれば、自然に治ってきます。
- 抗うつ薬は、症状の回復を早めますが、うつ病の原因そのものは治せません。落ち着いてきたら、生活や職場の環境調整、さらに認知療法などを合わせておこなうとよいでしょう。今はつらいかもしれませんが、あせらずに、ゆっくりと治療なさってください。
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効能 |
 【適用】
 【応用】
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用法 |
- 塩酸アミトリプチリンとして、通常、成人1日30〜75mgを初期用量とし、1日150mgまで漸増し、分割経口服用する。まれに300mgまで増量することもある。なお、年齢、症状により適宜減量する。
- 夜尿症には1日10〜30mgを就寝前に経口服用する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
おもな副作用は、口の渇き、眠気、便秘、めまい、尿がスムーズに出ない、物がかすんで見える、動悸などです。ひどいときは早めに受診してください。
重い副作用は頻度的にほとんどありませんが、悪性症候群、けいれん、不整脈などに念のため注意が必要です。なにか普段と違う、「おかしいな」と感じたら、すぐに医師に連絡してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
- けいれん発作。
- 重い不整脈..動悸、頻脈(120/分以上)、徐脈(50/分以下)、胸の痛みや違和感、胸苦しい、だるい、めまい、立ちくらみ、気が遠くなる、失神。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)..だるい、のどが渇く、頭痛、吐き気、けいれん、意識もうろう、気を失う。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- せん妄、幻覚など..もうろう状態、取り乱す、非現実な体験、本当ではない声や音が聞こえる、実際にいない虫や動物・人が見える。
 【その他】
- めまい、立ちくらみ、ふるえ。
- 吐き気、食欲不振、口の渇き、便秘。
- 目のまぶしさ・かすみ、尿が出にくい。
- 眠気、だるさ。
- 発疹、かゆみ。
- 低血圧、動悸。
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