おくすり110番
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成分(一般名) ミルナシプラン塩酸塩
製品例 トレドミン錠12.5mg~15mg~25mg~50mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 神経系用剤(含む別用途)/抗うつ剤(SNRI)/セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 憂うつな気分をやわらげ、意欲を高めるお薬です。うつ病やうつ状態の治療に用います。
作用

【働き】

気分が晴れずに落ち込んだり、悲観的になったり、やる気がでない、集中できない、眠れない・・そんなこじれた心の症状を改善し、気持ちが前向きになるのを助けます。また、不安や緊張した気分をほぐして、気持ちを楽にします。うつ病のほか、不安障害などいろいろな心の不具合に応用されます。

【薬理】

脳内の2つの神経伝達物セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害します。これにより、脳内シナプス間隙におけるそれらの濃度が高まり、神経の伝達がよくなります。セロトニンの増加は不安をやわらげ「気分」を楽にし、ノルアドレナリンの増加は「意欲」を高めるといわれます。

セロトニントランスポーターとノルアドレナリントランスポーターだけに結合し、その他の受容体にはほとんど作用しないので、旧来の抗うつ薬にみられる不快な副作用が少ないです。このような作用機序から、「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(Serotonin-NorAdrenalin Reuptake Inhibitors)」と呼ばれ、SNRIと略称されることが多いです。

【臨床試験-1】

従来の抗うつ薬と比較する試験が2つおこなわれています。1つは四環系抗うつ薬のミアンセリン(テトラミド)との比較試験です。うつ病の患者さん178人を対象とし、この薬を飲む人とミアンセリンを飲む人に分かれ、それぞれの改善率(中等度改善以上の割合)を調べます。その結果、この薬の人達は48%(40/83人)、ミアンセリンの人達で39%(37/95人)となり、同等以上の改善率が確かめられました。もう1つの試験は、三環系抗うつ薬のイミプラミン(トフラニール)との比較試験です。こちらの結果は、この薬を飲んだ人達の改善率は58%(36/62人)、イミプラミンの人達は56%(36/64人)でした。差はほとんどありませんでしたが、事前に規定した同等性の基準を満たさず、イミプラミンとの同等性は検証できませんでした。副作用は、口渇など抗コリン作用によるものは少ない傾向である一方、悪心や嘔吐など胃腸障害がより多くみられました。

【臨床試験-2】

この薬の効果を、別系統のパロキセチン(パキシル)と比べる試験がおこなわれています。パロキセチンは選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)と呼ばれる代表的な抗うつ薬です。参加したのは約500人のうつ病の患者さんで、この薬を飲む人とパロキセチンを飲む人に分かれ、服薬9週後の効果を比較します。効果の判定は、抑うつ気分にくわえ、不安や焦燥、睡眠の状況、社会活動性、不安に伴う身体症状、食欲の程度など17項目ごとに医師が点数化(0〜4点)し、その合計点(0〜53点)の変化量でおこないます。点数が低ければ軽症(8〜13点)、高いほど重症(20点以上)です。ちなみに、患者さんの服薬前の合計点の平均は22点くらいでした。試験の結果、この薬を飲んでいた人達は平均12.9点低下(22.1点→9.2点)、パロキセチンの人達は13.1点低下(22.1点→9.0点)しました。変化量に差はなく、パロキセチンに劣らない同等の有効性が確認できたわけです。
特徴
  • 国内初のセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)。セロトニン系とノルアドレナリン系の神経にだけ選択的に働くのが特徴です。この特性により、従来の三環系抗うつ薬に多い口の乾きや便秘などの副作用が軽減されます。類似薬としてデュロキセチン(サインバルタ)とベンラファキシン(イフェクサー)が発売されています。
  • 効果はマイルドなほうで強力とはいえませんが、比較的効き方が速く早期の治療効果が期待できます。うつ病治療の第一選択薬として、あるいは他の抗うつ薬で効果不十分または副作用で使いにくい場合の第二選択薬として処方される機会が増えてきました。また、慢性疼痛に有効との報告があり、こちらの分野で応用されることがあります。特異な副作用として、尿が出にくくなるなど排尿障害を起こすことがあります。
  • 腎排泄型です。肝臓で代謝を受けないので、他の薬との悪い飲み合わせが少ないです(主にグルクロン酸抱合により代謝)。
注意
【診察で】
  • 前立腺の病気で、尿の出にくい人は医師に伝えておきましょう。
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。病気によっては症状を悪化させるおそれがあります。
  • 飲み合わせの悪い薬があります。2週間前から今現在までに飲んでいた薬を、医師に報告しておいてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人は、医師に申し出てください。
  • 服用後の注意事項や副作用について、ご本人、できたらご家族も含め、よく説明を受けておきましょう。

【注意する人】

前立腺疾患などで尿の出にくい人は、使用できないことがあります。この薬の影響で症状が悪化するおそれがあるためです。そのほか、肝臓や腎臓の悪い人、緑内障、前立腺肥大症、躁うつ病、てんかん、高血圧、心臓病のある人なども、病状の悪化に注意するなど慎重に用いるようにします。とくに躁うつ病においては、逆効果になることがありますので、一般的なうつ病との見極めが重要です。

子供での有効性は未確認なうえ、有益性を否定する報告もあります。子供への処方は最後の選択肢とし、優先すべきは心理社会的支援や環境調整です。また、若い人に用いる場合は、治療上の不利益について考慮する必要があります。症状によっては処方を控えなければなりません。複数の抗うつ薬の臨床試験を分析したところ、24歳以下では かえって悪い衝動を引き起こし危険な行為に及ぶおそれがあるとの報告があるためです。

高齢の人ではそのような行為にいたるリスクが少ない反面、薬の代謝が遅れ血中濃度が上がりがちです。必要最小限となるよう服用量に留意するとともに、傾眠、めまい、排尿障害、低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群などの副作用に十分注意する必要があります。

  • 適さないケース..尿閉のある人。
  • 注意が必要なケース..尿の出にくい人(前立腺肥大症)、緑内障、高血圧、心臓病、てんかん、肝臓病、腎臓病、躁うつ病、躁病の既往歴、脳の器質的障害、統合失調症の素因、衝動性が高い精神症状をともなう人、子供、24歳以下、高齢、いのちを絶ちたいという思いのある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

パーキンソン病治療薬のセレギリン(エフピー)との併用は禁止されており、一定期間の間隔をあける必要があります。両方の作用がだぶり「セロトニン症候群」という重い副作用を起こすおそれがあるためです。ほかにも併用に注意が必要な薬がいくつかあります。今現在、および最近まで飲んでいた薬を必ず医師に伝えてください。

【使用にあたり】
  • 有効量は個人差が大きいです。通常、副作用がでないように、少量より開始し、よい効果のでる必要最小量まで段階的に増量します。とくに、腎臓の悪い人、若い人、高齢の人は慎重に増量します。なお、よく効いてくるまでに、2〜3週間以上かかることがあります。
  • 空腹時に飲むと、強い吐き気を催すかもしれません。食後に飲むようにしましょう。飲み始めの吐き気は2週間くらいで軽くなることが多いです。吐き気止めや胃薬で対処できますので、心配でしたら医師と相談してください。
  • 飲み始めや増量時に、かえって気分が不安定になるときは、医師と連絡をとってください。できましたら、ご家族など付き添いの方も、行動の変化や不穏な行為に注意するなど、服用後の様子を注意深く見守りましょう。因果関係ははっきりしませんが、敵意や攻撃性、衝動性にもとづく事故や犯罪事例も報告されているようです。
  • 自分だけの判断でやめてはいけません。急に飲むのを中止すると反動で症状が悪化したり、体の具合が悪くなることがあります。中止する際は、医師の判断で徐々に減量しなければなりません。飲み忘れにも注意しましょう。
  • うつ病では、症状がよくなってからも、しばらく少量を続けることが多いです。いわゆる「揺りもどし」による再発を防ぐためです。症状や環境にもよりますが、半年〜2年くらいは続けることになると思います。再発を繰り返しているときは、更に長期の服用となります。指示された期間、続けるようにしてください。

【検査】

もともと高血圧や心臓病のある人は、血圧や脈拍数に異常がないか定期的に調べるようにします。

【食生活】
  • アルコールといっしょに飲むと、いろいろな副作用がでやすくなります。飲酒はできるだけ控えましょう。
  • 健康食品やハーブティーとして販売されているセイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)の飲食は避けたほうが無難です。併用により副作用が増強するおそれがあります。
  • 眠気やめまいを起こすことがあります。車の運転をふくめ危険を伴う機械の操作には十分注意してください。症状を自覚したら、そのようなことに従事しないでください。
  • うつ病は、ストレスなどによる脳の疲れのサイン。まずは、がんばらないでゆっくり休養することが第一です。脳の疲れがとれてくれば、自然に回復してきます。少し長引くことがあっても、いつかきっと時間が解決してくれることでしょう。
  • 抗うつ薬は、症状の回復を早めますが、うつ病の原因そのものは治せません。落ち着いてきたら、生活や職場の環境調整、さらに認知療法などを合わせておこなうとよいでしょう。今はつらいかもしれませんが、あせらずに、ゆっくりと治療なさってください。
効能

【適用】

うつ病、うつ状態

【応用】

不安障害、慢性疼痛における鎮痛補助
用法
  • 通常、成人は、ミルナシプラン塩酸塩として1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日2〜3回に分けて食後に経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
  • ただし、高齢者は、1日25mgを初期用量とし、1日60mgまで漸増し、1日2〜3回に分けて食後に経口服用する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的安全性の高い抗うつ薬です。おもな副作用は、口の渇き、吐き気、便秘、眠気などですが、従来の抗うつ薬に比べかなり軽減されています。飲み始めの吐き気や嘔吐もそれほど多くないです。

人によっては、尿の出が悪くなるかもしれません。とくに、高齢の人や前立腺肥大症のある人は要注意。そのほか、頻脈や血圧上昇も この薬にみられる特有な副作用です。脈拍が速くなったり、動悸を感じるときは早めに受診しましょう。

もし、普通でない不安感や焦燥感、イライラ落ち着かない、気持ちの高ぶり、悪い衝動にかられるなど、精神的な変調が気になるときは、医師と連絡をとり指示をあおいでください。このような気分障害は、とくに飲み始めや薬の量を増やしたときに現れやすいものです。

重い副作用はまずありませんが、悪性症候群やセロトニン症候群の報告があります。念のため注意してください。いつもと違う、「おかしいな」と感じたら早めに受診するようにしましょう。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
  • セロトニン症候群..落ち着かない、不安、興奮・混乱、不眠、体の震え・ぴくつき、めまい、発熱、発汗、頻脈、下痢、血圧上昇。
  • 幻覚、せん妄、錯乱、けいれん..本当ではない声や音が聞こえる、実際にいない虫や動物・人が見える、非現実な体験、もうろう状態、混乱・興奮、取り乱す、けいれん
  • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)..だるい、のどが渇く、頭痛、吐き気、けいれん、意識もうろう、気を失う。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 高血圧クリーゼ..急激な血圧上昇、著しい高血圧、心拍数増加、激しい頭痛、吐き気、動悸。

【その他】
  • 尿が出にくい
  • 口の渇き、吐き気、吐く、便秘、味覚異常
  • 眠気、不安感、頭痛、目のまぶしさ・かすみ
  • 立ちくらみ、めまい、ふらつき
  • 頻脈、動悸、発汗、血圧上昇
  • 手のふるえ、動作がにぶる、口周囲の異常な動き
  • 性機能異常(勃起障害、射精障害)
  • 発疹、かゆみ
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye