おくすり110番
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成分(一般名) 塩酸セルトラリン
製品例 ジェイゾロフト錠25mg~50mg~100mg、ジェイゾロフトOD錠25mg~50mg~100mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 神経系用剤(含む別用途)/抗うつ剤(SSRI)/選択的セロトニン再取り込み阻害剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 憂うつな気分や不安感をやわらげ、意欲を高めるお薬です。うつ病や不安障害の治療に用います。
作用

【働き】

気分が晴れずに落ち込んだり、悲観的になったり、やる気がでない、集中できない、眠れない・・そんなこじれた心の症状を改善し、気持ちが前向きになるのを助けます。また、不安や緊張した気分をほぐして、気持ちを楽にします。うつ病のほか、パニック障害、外傷後ストレス障害(PTSD)などいろいろな心の不具合に応用されます。

【薬理】

セロトニンは、気分にかかわる神経伝達物質です。このお薬は、セロトニンを再取り込みするセロトニントランスポーターの働きを阻害します。これにより、脳内シナプス間隙のセロトニン濃度が高まり、神経の伝達がよくなります。結果として、うつ状態が改善され、気分が楽になると考えられます。セロトニントランスポーターにだけ結合し、その他の受容体にはほとんど作用しないので、抗うつ薬特有の副作用も少ないです。このような作用特性から、「選択的セロトニン再取込阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)」と呼ばれ、SSRIと略称されています。

【臨床試験-1】

うつ病に対する有効性を検証する試験がおこなわれています。ランダム化治療中止試験といって、服薬を続けた場合と、中止した場合の再燃率(再発率)を比較する試験です。参加したのは、この薬を服用し一定の治療効果(13点以下)が得られている患者さん235人です。そして117人はこの薬をそのまま続け、118人はプラセボ(にせ薬)に変更し事実上この薬を中止します。ここで大事なのは、グループ分けはくじ引きでおこない、薬の中身を患者さんにも医師にも伝えないことです(プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験)。

効果の判定は、うつ病評価尺度(HAM-D17)として、抑うつ気分、不安や焦燥、睡眠の状況、社会活動性、不安に伴う身体症状、食欲の程度など17項目ごとに医師が点数化(0〜4点)し、その合計点(0〜53点)でおこないます。点数が低ければ軽症(8〜13点)、高いほど重症(20点以上)です。服薬中の合計点が13点以下の患者さんが試験に参加し、再燃と判断されるのは18点以上に悪化し、服薬以前と病状が変わらなくなった場合です。

その結果、この薬を飲んでいた人達の再燃率は8.5%(10/117人)、プラセボの人達で19.5%(23/118 人)でした。この薬を飲んでいたほうが再燃率が明らかに低く、うつ病に有効なことが確認できたわけです。また、副次的な評価項目とされたうつ病評価尺度の点数の変化は、この薬の人達で平均8.3点から6.3点に低下したのに対し、プラセボでは8.1点から9.7点に上昇しました。さらに、全般改善度における改善率は、この薬の人達で84.6%(95/117人 81.2%→99/117人 84.6% )、プラセボで67.8%(103/118人 87.3%→80/118人 67.8%)となり、プラセボと有意な差が認められました。

【臨床試験-2】

従来の抗うつ薬と比較する試験が2つおこなわれています。1つは類似の作用をもつトラゾドン(レスリン)との比較試験です。196人が参加し、この薬を飲む人とトラゾドンを飲む人に分かれ、6週間後の改善率(中等度改善以上の割合)を調べます。その結果、この薬を飲んだ人達の改善率は45.5%(46/101人)、トラゾドンの人達は47.4%(45/95人)でした。もう1つの試験は、三環系抗うつ薬のアミトリプチリン(トリプタノール)との比較です。174人が参加し、この薬を飲む人とアミトリプチリンを飲む人に分かれ、6週間後の改善率を調べます。その結果、この薬を飲んだ人達の改善率は42.5%(37/87人)、アミトリプチリンの人達は51.7%(45/87人)でした。残念ながら、2つの試験とも従来の抗うつ薬の改善率を統計学的に上回ることはなく、両薬剤と同等、あるいはそれ以上の効果をもつことを検証できませんでした。理由として副作用で中止する人がこの薬で多かったこと、また従来の抗うつ薬のような沈静作用がほとんどないため不安や不眠にかかわる評価が低かったためではないかと推察されています。

【臨床試験-3】

パニック障害に対する効果をプラセボ(にせ薬)と比較する試験がおこなわれています。参加したのは、パニック障害の患者さん124人です。そして、3つのグループに分かれ、第1のグループはこの薬を低用量服用(25~75mg)、第2のグループは高用量服用(50~150mg)、第3のグループはプラセボを服用し、3カ月後の改善率(中等度以上の割合)を調べます。なお、どの人も、パニック発作時に限り、抗不安薬のロラゼパム(ワイパックス)の頓服が可能です。その結果、この薬を低用量飲んでいた人達の改善率は62.5%(25/40人)、高用量の人達は55.3%(21/38人)、プラセボの人達は47.8%(22/46人)でした。

もう1つ国内でおこなわれたのは、ランダム化治療中止試験です。服薬を続けた場合と、中止した場合の再燃率(不変)を比較する試験です。参加したのは、この薬を服用し一定の治療効果(中等度改善〜)が得られているパニック障害の患者さん240人です。そして119人はこの薬をそのまま続け、別の121人はプラセボ(にせ薬)に変更し事実上この薬を中止します。その結果、再燃率は、この薬を飲んでいた人達では10.1%(12/119人)、プラセボの人達で13.2%(16/121人)でした。

残念ながら、2つの試験とも、主要評価項目においてプラセボとの間に明らかな差が認められず、パニック障害に対する有効性を証明することはできませんでした。その主な要因として、抗不安薬のロラゼパムの頓服が想定以上に症状の改善に寄与し、予め設定していた評価項目の定義では、この薬の有効性を十分に捕らえることができなかったのではと推察されています。なお、パニック発作回数など別の評価項目においてプラセボとの有意差が示されていること、また海外でのいくつかの臨床試験で有効性が検証されていることから有効性はあるものと判断され、正式な効能としてパニック障害が認められました。

【臨床試験-4】

外傷後ストレス障害に対する効果も海外で調べられています。約200人の患者さんを対象に、この薬を飲む人と、プラセボ(にせ薬)を飲む人に分かれ、それぞれの効果を比較する試験です。効果の判定は、決められた診断基準のもと症状の頻度と程度を評価し、その合計点の変化量でおこないます。点数が高いほど重度であり、低くなれば改善したことを意味します。ちなみに、服薬前の患者さんの平均点数は74点くらいです。3ヶ月後の試験結果は、この薬を飲んでいた人達の平均点数は約33点低下、プラセボを飲んでいた人達は約26点低下しました。この薬のほうがプラセボよりも下げ幅が大きく、外傷後ストレス障害に有効なことが確かめられたわけです。
特徴
  • 国内3番目の選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)です。セロトニン系の神経にだけ選択的に働くのが特徴です。この特性により、従来の抗うつ薬に多い口の乾きや便秘、心毒性などの副作用が軽減されています。従来品とは違う新しいタイプなので、第3世代の抗うつ薬とされます。うつ病の主要薬として広く処方されるようになりました。
  • セロトニン再取り込み阻害作用は、他の同類薬より強力です。抗うつ作用と抗不安作用をあわせ持つので、うつ病にくわえパニック障害と外傷後ストレス障害(PTSD)にも適応します。また、血中濃度半減期(約23〜24 時間)が長いので、1日1回服用なのも利点です。飲み合わせに関係する性質として、他のSSRIが関与する肝薬物代謝酵素CYP2D6に対する阻害作用が弱いとされます。
  • まれな例ですが、人によっては精神的変調をきたすとの報告があります。衝動的になったり攻撃性があらわれ、かえって悪い結果をまねくおそれがあるのです。また、退薬症状(離脱症状)を起こすことがあるので、中止のさいは徐々に減量するなど注意が必要です。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。病気によっては症状を悪化させるおそれがあります。
  • 飲み合わせの悪い薬があります。2週間前から今現在までに飲んでいた薬を、医師に報告しておいてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人は、医師に申し出てください。
  • 服用後の注意事項や副作用について、ご本人、できたらご家族も含め、よく説明を受けておきましょう。

【注意する人】

肝臓の悪い人、てんかん、緑内障、躁うつ病、躁病の既往歴のある人などは、病状の悪化に注意するなど慎重に用いるようにします。とくに躁うつ病においては、逆効果になることがありますので、一般的なうつ病との見極めが重要です。

子供での有効性は未確認なうえ、有益性を否定する報告もあります。子供への処方は最後の選択肢とし、優先すべきは心理社会的支援や環境調整です。また、若い人に用いる場合は、治療上の不利益について考慮する必要があります。症状によっては処方を控えなければなりません。複数の抗うつ薬の臨床試験を分析したところ、24歳以下では かえって悪い衝動を引き起こし危険な行為に及ぶおそれがあるとの報告があるためです。

高齢の人ではそのような行為にいたるリスクが少ない反面、薬の代謝が遅れ血中濃度が上がりがちです。必要最小限となるよう服用量に留意するとともに、傾眠、めまい、低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、出血などの副作用に十分注意する必要があります。

  • 注意が必要なケース..肝臓病、躁うつ病、躁病の既往歴、脳の器質的障害、統合失調症の素因、衝動性が高い精神症状をともなう人、てんかん、不整脈(QT延長)、出血性疾患、緑内障などのある人、妊娠中、子供、24歳以下、高齢、いのちを絶ちたいという思いのある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

パーキンソン病の治療に用いるセレギリン(エフピー)との併用は禁止されており、一定期間の間隔をあける必要があります。両方の作用がだぶり「セロトニン症候群」という重い副作用を起こすおそれがあるためです。また、安定剤のピモジド(オーラップ)との併用により、重い不整脈を起こす危険性があります。ほかにも飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。今現在、および最近まで飲んでいた薬を必ず医師に伝えてください。

  • 飲み合わせの悪い薬..セレギリン(エフピー)、ピモジド(オーラップ)。
  • 飲み合わせに注意..リネゾリド(ザイボックス)、炭酸リチウム(リーマス)、トリプタン系片頭痛治療薬(イミグラン等)、トラマドール(トラマール)、メサドン(メサペイン)、ペンタゾシン(ソセゴン)、L-トリプトファン含有製剤(アミノ酸製剤、経腸成分栄養剤等)、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、三環系抗うつ剤(トリプタノール等)、ワルファリン(ワーファリン)、出血傾向が増強する薬剤、セイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品など。

【使用にあたり】
  • 有効量は個人差が大きいです。通常、副作用がでないように、少量より開始し、よい効果のでる必要最小量まで段階的に増量します。とくに、肝臓の悪い人、若い人、高齢の人は慎重に増量します。なお、よく効いてくるまでに、2〜3週間以上かかることがあります。
  • 飲み始めに吐き気がしても、2週間くらいで軽くなることが多いです。吐き気止めや胃薬で対処できますので、心配でしたら医師と相談してください。
  • 飲み始めや増量時に、かえって気分が不安定になるときは、医師と連絡をとってください。できましたら、ご家族など付き添いの方も、行動の変化や不穏な行為に注意するなど、服用後の様子を注意深く見守りましょう。因果関係ははっきりしませんが、敵意や攻撃性、衝動性にもとづく事故や犯罪事例も報告されているようです。
  • 自分だけの判断でやめてはいけません。急に飲むのを中止すると反動で症状が悪化したり、体の具合が悪くなることがあります。中止する際は、医師の判断で徐々に減量しなければなりません。飲み忘れにも注意しましょう。
  • うつ病では、症状がよくなってからも、しばらく少量を続けることが多いです。いわゆる「揺りもどし」による再発を防ぐためです。症状や環境にもよりますが、半年〜2年くらいは続けることになると思います。再発を繰り返しているときは、更に長期の服用となります。指示された期間、続けるようにしてください。

【妊娠・授乳】

妊娠中は、治療上の有益性を十分考慮するなど、慎重に適用しなければなりません。もし、服用中に妊娠した場合には、継続の可否について医師とよく相談してください。自分だけの判断で急に止めてはいけません。

【食生活】
  • アルコールといっしょに飲むと、いろいろな副作用がでやすくなります。飲酒はできるだけ控えましょう。
  • 健康食品やハーブティーとして販売されているセイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)の飲食は避けたほうが無難です。併用により副作用が増強するおそれがあります。
  • 眠気やめまいを起こすことがあります。車の運転をふくめ危険を伴う機械の操作や作業には十分注意してください。
  • うつ病は、ストレスなど脳の疲れのサイン。まずは、がんばらないでゆっくり休養することが第一です。脳の疲れがとれてくれば、少しずつ良くなってきます。すぐに治らないからと悲観することはないでしょう。長引くことがあっても、いつかきっと時間が解決してくれると思います。
  • 抗うつ薬は、症状の回復を早めますが、うつ病の原因そのものは治せません。落ち着いてきたら、生活や職場の環境調整、さらに認知療法などを合わせておこなうとよいでしょう。今はつらいかもしれませんが、あせらずに、ゆっくりと治療なさってください。
効能

【適用】

うつ病・うつ状態、パニック障害、外傷後ストレス障害

【応用】

摂食障害、過食嘔吐、月経前不快気分障害、強迫性障害、社会不安障害(社交不安障害)など、いろいろな心の不具合に応用されることがあります。
用法 通常、成人はセルトラリンとして1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日1回経口服用する。なお、年齢、症状により1日100mgを超えない範囲で適宜増減する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的安全性の高い抗うつ薬です。従来の薬に多くみられる口の乾きや便秘などの不快な副作用も少なくなっています。飲み始めの胃腸症状に対しては、吐き気止めや胃薬で対処可能ですから 医師と相談してください。その後の副作用はわりと少なく、長期の維持療法にも適します。

多くはありませんが、人によってはかえって神経過敏になり、不安感を生じたりイライラ・そわそわ落ち着かない気分になることがあります。さらに衝動的な行動につながるおそれもあるようです。このような精神的変調も服用開始時に多くみられる症状ですので、あまり心配せず医師とよく相談してください。

重い副作用は頻度的にほとんどありませんが、この系統(SSRI)の特異な副作用として「セロトニン症候群」があります。万一のことですが、念のため頭に入れておいたほうがよいでしょう。混乱状態、発汗、体のぴくつき、ふるえ、けいれん、発熱といった症状があらわれます。なにか普段と違う「おかしいな」と感じたら、すぐに医師に連絡してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • セロトニン症候群..落ち着かない、不安、興奮・混乱、不眠、体の震え・ぴくつき、めまい、発熱、発汗、頻脈、下痢、血圧上昇。
  • 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込みにくい、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
  • けいれん、昏睡..筋肉のぴくつき、筋肉の硬直、手足けいれん、全身けいれん(ふるえ、白目、硬直)、混乱・もうろう状態、意識がなくなる。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)..だるい、のどが渇く、頭痛、吐き気、けいれん、意識もうろう、気を失う。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • アナフィラキシー様症状..じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい。

【その他】
  • 吐き気、食欲不振、口の渇き、便秘、下痢
  • 眠気、めまい、頭痛、だるい、ふるえ
  • 不安感、イライラ感、混乱、不眠
  • 尿が出にくい、動悸、目がかすむ・まぶしい
  • 発疹、性機能異常、出血傾向
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye