おくすり110番
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成分(一般名) クロザピン
製品例 クロザリル錠25mg~100mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 神経系用剤(含む別用途)/非定型抗精神病薬(その他)/治療抵抗性統合失調症治療薬

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 心の不具合を調整し、気持ちをおだやかにするお薬です。心の病気の治療に用います。
作用

【働き】

心の病気の一つ「統合失調症」は、脳の情報伝達系に不調を生じる病気です。現実を正しく認識できなくなったり、思考や感情のコントロールが上手にできなくなります。幻聴など幻覚、妄想を生じることも多いです。

統合失調症の多くは既存の薬物療法で十分改善しますが、なかには無効例もありますし、副作用のため治療が困難なケースもあります。このお薬は、そのような治療抵抗性統合失調症に対し最後の切り札として用います。適応となるのは、入院患者さんの9%くらいと考えられています。

【薬理】

脳内のドーパミン神経系を抑制することで、その機能亢進により生じる陽性症状(幻覚、妄想、興奮)をおさえます。また、セロトニン2(5-HT2)受容体を遮断することで、ドーパミン神経系の働きがよくなり、陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)が改善します。

なお、一般的な抗精神病薬がターゲットとするドパミン2(D2)受容体に対する親和性は弱く、別のサブタイプのドパミン4(D4)受容体に親和性が高いとされます。詳しい作用機序は解明されていませんが、ドパミン2受容体遮断作用に依存しない中脳辺縁系ドパミン神経系に対する選択的抑制が考えられています。
特徴
  • 従来の定型抗精神病薬とは効き方が違う非定型抗精神病薬です。開発は1960年代と比較的古く、セロトニン・ドーパミン拮抗薬(いわゆるSDA)開発のさきがけとなった薬剤です。
  • 発売後まもなく、無顆粒球症などの重篤な副作用が問題となり、世界的に製造・販売が一時停止され、日本での開発も進みませんでした。ところが、その後 既存薬の無効例に対する有用性が改めて見直され、アメリカやイギリスで再び使用されるようになるのです。そして日本でも、厳重な管理体制をとることを条件に承認される運びとなりました。
  • 従来の抗精神病薬はドーパミン受容体うちのドパミン2受容体を主に遮断しますが、この薬はそうではなく別の作用機序に基づいてドパミン神経系を抑制すると考えられます。このような作用特性から、既存の治療薬が無効な患者さんでも、60〜70%くらいの割合で有効です。副作用としては、錐体外路症状(ふるえ、こわばり)が少ない反面、重篤な血液障害や糖尿病をまねくことがあります。
  • 最大の問題は副作用です。命にかかわるような無顆粒球症や糖尿病、心筋炎などがを起こす危険性があるのです。そのため、最終選択肢として、既存の治療薬が効かない治療抵抗性統合失調症に限り適用となります。また、処方や調剤ができるのは一定の基準を満たす登録済みの医療機関や薬局に限られ、投薬にあたっては厳格な使用手引き「クロザリル患者モニタリングサービス」に基づかなければなりません。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 他の薬と相互作用を起こしやすい性質があります。別に薬を飲んでいる場合は、必ず医師に伝えておきましょう。
  • ご本人、できたらご家族も含め、有効性や副作用、注意事項について十分に説明を受けてください。この薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。

【注意する人】

事前の検査で、白血球数が規定より少ない場合は使用できません。この薬の副作用で白血球減少症や無顆粒球症を起こす危険性が高いためです。

糖尿病のある人には原則用いません。また糖尿病の家族歴あるいは肥満があるなど糖尿病予備軍にあたる人は、治療上の有益性を慎重に判断したうえで用いることになります。

寝たきり、または手術後などで長時間体を動かせない人、脱水状態の人、あるいは肥満のある人は血栓塞栓症の発現に念のため注意が必要です。

そのほか、てんかんや心臓病、腎臓病や肝臓病のある人など、その重症度により使用できないことがあります。骨髄抑制を起こす可能性のある免疫抑制薬や抗がん薬による治療を受けている人も控えるようにします。

  • 適さないケース..決められた飲み方を守れない人、事前の検査で白血球数または好中球数が規定値未満の人、無顆粒球症または重度の好中球減少症の既往歴のある人、骨髄機能障害、アルコールまたは薬物による急性中毒、昏睡状態、循環虚脱状態、中枢神経抑制状態、重いけいれん性疾患、管理不十分なてんかん、重い心臓病、重い腎臓病、重い肝臓病、麻痺性イレウスのある人など。
  • 注意が必要なケース..好中球減少症、てんかんなどのけいれん性疾患、心臓病、低血圧、腎臓病、肝臓病、前立腺肥大、閉塞隅角緑内障、糖尿病または予備軍(高血糖、肥満)、寝たきり、不動状態、肥満、脱水状態、認知症、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

抗がん薬や免疫抑制薬など骨髄抑制を起こす可能性のある薬剤とは併用できません。飲み合わせると無顆粒球症の発現リスクが増大し危険です。

安定剤など脳の神経をしずめる薬と併用すると、両方の副作用が強まるおそれがあります。原則として他の抗精神病薬とは併用せず、単独使用が望ましいです。持効性の抗精神病薬を注射したあとは、その成分が消失するまで、処方を控えるようにします。

ほかにも飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。マクロライド系抗生物質やアゾール系抗真菌薬は、この薬の血中濃度を上昇させ副作用を強めます。逆に、てんかんの薬や結核の薬のリファンピシンと併用すると、この薬の作用が弱くなってしまいます。服用中の薬は必ず医師に報告しておきましょう。

  • 飲み合わせの悪い薬..骨髄抑制を起こす可能性のある薬(抗がん薬、免疫抑制薬など)、抗精神病薬の持効性注射薬(ハロマンス、フルデカシン、リスパダールコンスタ)、アドレナリン(ボスミン)(アナフィラキシー救急治療は除く)、ノルアドリナリン
  • 飲み合わせに注意(作用・副作用増強)..他の安定剤、抗うつ薬、リチウム製剤(リーマス)、アルコール、カフェイン、抗コリン作用薬(鎮痙薬等)、降圧薬、マクロライド系抗生物質(エリスロシン、クラリス等)、アゾール系抗真菌(イトリゾール等)
  • 飲み合わせに注意(作用減弱)..抗てんかん薬(フェノバール、アレビアチン、テグレトール等)、リファンピシン(リファジン)、オメプラゾール(オメプラゾン、オメプラール)、ニコチン(喫煙)

【使用にあたり】
  • 安易に用いる薬ではありません。使用にさいしては「クロザリル患者モニタリングサービス」で決められている条件をすべて満たす必要があります。当初は入院し、厳重な管理のもと治療を開始します。治療に先立ち白血球数のチェックが必須です。
  • 初日の服用量はごく少量とします。そして、副作用に十分注意しながら徐々に増量していきます。最適な服用量が決まり、有効性と安全性が十分に確認された段階で、通院治療に変えることができます。退院後も、決められた用法用量、注意事項を厳守してください。
  • かぜを含め、いつもと違う症状があらわれたら、直ちに医師に連絡してください。口渇、多飲、多尿、頻尿、発熱、咽頭痛、動悸、息切れ、むくみ、などに注意しましょう。副作用の程度によっては、治療を中止しなければなりません。
  • 自分だけの判断で、急にやめたり、飲む量を変えてはいけません。突然中止すると、精神症状が再燃したり、発汗、頭痛、悪心、嘔吐、下痢などが発現するおそれがあります。

【検査】

副作用をチェックするため、頻回に検査を受けなければなりません。特に重要なのが、白血球数と血糖値です。

【食生活】
  • とくに飲みはじめに起立性低血圧(立ちくらみ)を起こしやすいです。急に立ち上がらないで、ゆっくり動作するようにしましょう。
  • 眠気がしたり、注意力や反射運動能力が低下することがあります。車の運転など危険を伴う機械の操作、高所での危険な作業は避けましょう。
  • 口が乾いて不快なときは、冷たい水で口をすすいだり、小さな氷を口に含むとよいでしょう。
  • 体重が増えてきたら、食生活を見直してください。食べすぎに注意し、適度な運動を心がけましょう。
効能 治療抵抗性統合失調症
用法 通常、成人はクロザピンとして初日は12.5mg(25mg錠の半分)、2日目は25mgを1日1回経口服用する。3日目以降は症状に応じて1日25mgずつ増量し、原則3週間かけて1日200mgまで増量するが、1日量が50mgを超える場合には2〜3回に分けて経口服用する。維持量は1日200〜400mgを2〜3回に分けて経口服用することとし、症状に応じて適宜増減する。ただし、1回の増量は4日以上の間隔をあけ、増量幅としては1日100mgを超えないこととし、最高用量は1日600mgまでとする。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 一般的な副作用で多いのは、眠気、吐き気、めまい、立ちくらみ、便秘、頻脈、ふるえ、体重増加などです。中止するほどではないと思いますが、つらいときは医師とよく相談してください。立ちくらみについては、とくに飲み始めに注意しましょう。重いものとしては、血液障害と糖尿病、腸閉塞の発現率が高く、さらに特異な副作用として心臓の異常やけいれん発作などもみられます。

重大な副作用として第一にあげられるのが「無顆粒球症」に代表される血球障害です。これが原因で、世界的に販売が一時中止となった経緯があります。無顆粒球症は血液の顆粒球(白血球の一種)が消失した状態で、重い感染症にかかりやすくなります。もし、発熱やのどの痛みなどカゼ症状がみられたら、ただちに医師に連絡してください。早期に対応すれば、大事にいたることはありません。

次に重要なのが糖尿病です。とくに、もともと血糖値が高めの人や太りぎみの人は要注意。そのまま放置すると、命にかかわる糖尿病性ケトアシドーシスや、糖尿病性昏睡にいたる危険性があります。のどが異常に渇き、水をガブ飲みしてしまうようなときは、すぐに受診してください。血糖値が上がっているかもしれません。

従来の定型抗精神病薬に比べ、錐体外路系の副作用(下記)はかなり少ないのですが、やはり、手のふるえ、こわばり、じっとできないといったパーキンソン病のような症状がでる可能性があります。長期服用時は「遅発性ジスキネジア」にも注意が必要です。

めったにありませんが、抗精神病薬には「悪性症候群」という注意を要する副作用があります。体が硬直して動かなくなり、高熱がでてきたら、すぐに医師に連絡してください。とくに、高齢の人、体の弱っている人、薬の量を増やしたときなどに出現しやすいものです。ご家族や周囲の方も注意してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
  • 心筋炎、心筋症、心膜炎、心嚢液貯留、胸膜炎..頻脈、動悸、胸が痛い、息切れ、息苦しい、疲れやすい、むくみ、体重増加、発熱。
  • 高血糖、糖尿病性昏睡..異常にのどが渇く、多飲、多尿、食欲亢進、多食、脱力感、もうろう、意識がうすれる。
  • 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
  • けいれん..めまい、頭痛、ふるえ、手足のしびれ感、筋肉のぴくつき、意識低下、全身けいれん。
  • 過度の血圧低下..めまい・ふらつき、立ちくらみ、冷感、吐き気、嘔吐、気を失う。
  • 静脈血栓症、肺塞栓症..手足(特にふくらはぎ)の痛み・はれ・むくみ・しびれ、爪の色が紫、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急な視力低下、視野が欠ける、目が痛む。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 遅発性ジスキネジア..頻回なまばたき、口の周辺がピクピクけいれん、口をすぼめる、口をモグモグさせる、舌のふるえ。
  • 麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。
  • 腸閉塞、麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。

【その他】
  • 錐体外路症状..指や手足のふるえ、体のこわばり・つっぱり、ひきつけ、体が勝手に動く、じっとできない、そわそわ感、動作がにぶい、無表情、よだれが多い、目の異常運動(正面を向かない、上転)、舌のもつれ、うまく歩けない。
  • 眠気、傾眠、頭痛、めまい
  • 吐き気、吐く
  • 口が渇く、便秘、尿が出にくい、尿がもれる、目のかすみ、鼻づまり
  • 低血圧、立ちくらみ、動悸、頻脈
  • 体重増加、疲労・けん怠感
  • 中止時の発汗、頭痛、悪心、嘔吐、下痢
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye