おくすり110番
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成分(一般名) エスシタロプラム シュウ酸塩
製品例 レクサプロ錠10mg~20mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 神経系用剤(含む別用途)/抗うつ剤(SSRI)/選択的セロトニン再取り込み阻害剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 憂うつな気分や不安感をやわらげ、意欲を高めるお薬です。うつ病や不安障害の治療に用います。
作用

【働き】

気分が晴れずに落ち込んだり、悲観的になったり、やる気がでない、集中できない、眠れない・・そんなこじれた心の症状を改善し、気持ちが前向きになるのを助けます。また、不安や緊張した気分をほぐして、気持ちを楽にします。うつ病のほか、社会不安障害(社交不安障害)などいろいろな心の不具合に応用されます。

【薬理】

セロトニンは、気分にかかわる神経伝達物質です。このお薬は、セロトニンを再取り込みするセロトニントランスポーターの働きを阻害します。これにより、脳内シナプス間隙のセロトニン濃度が高まり、神経の伝達がよくなります。結果として、うつ状態が改善され、気分が楽になると考えられます。セロトニントランスポーターにだけ結合し、その他の受容体にはほとんど作用しないので、抗うつ薬特有の副作用も少ないです。このような作用特性から、「選択的セロトニン再取込阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)」と呼ばれ、SSRIと略称されています。

【臨床試験-1】

うつ病の患者さん484人を3つのグループに分け、この薬と、類似薬のパロキセチン(パキシル)、それとプラセボ(にせ薬)の効果を比較する臨床試験が行われています。プラセボと比べ有効なのか、またパロキセチンに劣らない効果があるかを調べるのが目的です。効果の判定は、悲しみの程度にくわえ、緊張感、睡眠、食欲、集中力など10項目ごとに点数化し、その合計点でおこないます。点数が低ければ軽症(20点以下)、高いほど重症(30点以上)を意味します。

2ヶ月後の試験結果は、この薬を飲んでいた人達の平均点数が約16点(服用前30点、下げ幅14点)、プラセボを飲んでいた人達が約18点(服用前29点、下げ幅11点)でした。この薬のほうが下げ幅が3点ほど大きく、プラセボよりも病状が軽くなることが確かめられたわけです。また、パロキセチンを飲んでいた人達も同じく16点(服用前30点、下げ幅14点)で、この薬の効果がパロキセチンに劣らないことがことが証明されました。副作用については、消化器症状がパロキセチンに比べやや多くみられましたが、全般的には大差がありませんでした。

【臨床試験-2】

社会不安障害に対する有効性を調べる試験もおこなわれています。参加したのは、社会不安障害の患者さん約600人です。3つのグループに分かれ、第1のグループはこの薬を低用量服用(10mg)、第2のグループは高用量服用(20mg)、第3のグループはプラセボ(にせ薬)を服用します。ここで大事なのは、グループ分けはくじ引きでおこない、薬の中身を患者さんにも医師にも伝えないことです(プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験)。

効果の判定は、日々ありがちな24の行為や社会状況における‘恐怖感・不安感’それと‘回避’の程度を各項目ごとに点数化(0〜4点)し、その合計点(0〜144点)でおこないます。たとえば「人前で電話をかける」「グループ活動に参加する」「権威ある人と話す」といった行為や状況に対し、恐怖感や不安感を全く感じなければ0点、非常に強く感じるのであれば3点、またその行為を全く回避しなければ0点、2/3以上の確率で回避するのであれば3点になります。合計点が中くらいなら中等度(50〜70点)、高いほど重度(80〜90点以上)です。患者さんの服薬前の合計点の平均は95点くらいでした。そして、服薬3カ月後の各グループの平均合計点数の低下幅を比較するのです。

その結果、この薬を低用量飲んでいた人達は平均26.9点低下(94.5点→67.6点)、高用量の人達は32.6点低下(93.4点→60.7点)、プラセボの人達は23.1点低下(95.3点→72.2点)しました。大きな差はでませんでしたが、この薬のほうがプラセボより4点〜10点ほど下げ幅が大きく、プラセボをしのぐ一定の有効性が示されたわけです。なお、低用量で統計学的有意差が得られなかった理由として、重度(100点以上)の場合、または同類薬による治療歴がある場合、あるいは別の精神疾患を合併している場合は低用量における有効性が小さくなる可能性があり、そのぶん点数があまり下がらなかったのではと推察されています。
特徴
  • 国内4番目の選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)です。セロトニン系の神経にだけ選択的に働くのが特徴です。この特性により、従来の抗うつ薬に多い口の乾きや便秘、心毒性などの副作用が軽減されています。従来品とは違う新しいタイプなので、第2世代もしくは第3世代の抗うつ薬とされます。うつ病やうつ状態に適用するほか、社会不安障害に対する効能も取得しています。
  • 既存のSSRIのなかでセロトニン取り込み阻害作用の選択性が最も高く、ノルアドレナリンやドパミンの取り込み阻害作用が相対的に弱いものと考えらます。このことから、同系で見られる副作用のうち、ノルアドレナリンの再取り込み阻害にもとづく低血圧や頻脈、ドパミン再取り込み阻害にもとづく鎮静、悪心、低血圧などが軽減できるのではないかと期待されています。ただ、実際の国内臨床試験においては、吐き気など胃腸症状がやや目立ち、眠気の副作用もそれなりにあります。必ずしも理屈どおりにならないものです。
  • 血中濃度半減期が長く、1日1回の服用で済むので飲むのが楽です。また、初期用量から有効性が期待できるうえ、他のSSRIに比べ薬物相互作用を起こしにくく、中止後症状のリスクも低いとされます。
  • SSRI全般に言えることですが、まれな例として、人によっては精神的変調をきたすとの報告があります。衝動的になったり攻撃性があらわれ、かえって悪い結果をまねくおそれがあるのです。また、退薬症状(離脱症状)を起こすことがあるので、中止のさいは徐々に減量するなど注意が必要です。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。病気によっては症状を悪化させるおそれがあります。
  • 飲み合わせの悪い薬があります。2週間前から今現在までに飲んでいた薬を、医師に報告しておいてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人は、医師に申し出てください。
  • 服用後の注意事項や副作用について、ご本人、できたらご家族も含め、よく説明を受けておきましょう。

【注意する人】

不整脈、心臓病、肝臓病、てんかん、躁うつ病、躁病の既往歴のある人などは、病状の悪化に注意するなど慎重に用いるようにします。とくに、ある種の不整脈(QT延長)がある場合、使用できないことがあります。また、肝臓の悪い人は安易に増量しないようにします。躁うつ病においては、逆効果になることがありますので、一般的なうつ病との見極めが重要です。

子供での有効性は未確認なうえ、有益性を否定する報告もあります。子供への処方は最後の選択肢とし、優先すべきは心理社会的支援や環境調整です。また、若い人に用いる場合は、治療上の不利益について考慮する必要があります。症状によっては処方を控えなければなりません。複数の抗うつ薬の臨床試験を分析したところ、24歳以下では かえって悪い衝動を引き起こし危険な行為に及ぶおそれがあるとの報告があるためです。

高齢の人ではそのような行為にいたるリスクが少ない反面、薬の代謝が遅れ血中濃度が上がりがちです。必要最小限となるよう服用量に留意するとともに、傾眠、めまい、低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、不整脈、出血などの副作用に十分注意する必要があります。

  • 適さないケース..先天性QT延長症候群などQT延長のある人。
  • 注意が必要なケース..徐脈、不整脈、心臓病、低カリウム血症、閉塞隅角緑内障、重い腎臓病、肝臓病、躁うつ病のある人、躁病の既往歴、脳の器質的障害、統合失調症の素因、衝動性が高い精神症状をともなう人、てんかん、出血性疾患、妊娠中、子供、24歳以下、高齢、いのちを絶ちたいという思いのある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • パーキンソン病治療薬のセレギリン(エフピー)、ラサギリン(アジレクト)およびサフィナミド(エクフィナ)との併用は禁止されており、一定期間の間隔をあける必要があります。両方の作用がだぶり「セロトニン症候群」という重い副作用を起こすおそれがあるためです。また、安定剤のピモジド(オーラップ)といっしょに飲むと、危険な不整脈を誘発するおそれがあるので、こちらも禁止になります。
  • セロトニン症候群のリスクを高める薬剤として、トリプタン系頭痛薬(イミグラン等)、L-トリプトファン含有製剤(アミノ酸製剤、経腸成分栄養剤等)、トラマドール(トラマール)、リネゾリド(ザイボックス)、炭酸リチウム(リーマス)、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品などがあります。これらと併用するさいは、セロトニン症候群の発現に十分注意しましょう。
  • 併用薬の血中濃度が上昇するおそれのある飲み合わせとして、三環系抗うつ薬(トリプタノール等)、抗精神病薬(リスパダール、セレネース等)、抗不整脈(タンボコール、プロノン等)、β遮断薬(セロケン等)などがあげられます。併用する場合は、これら併用薬の減量を考慮するようにします。
  • この薬の血中濃度を上昇させる薬剤に、胃薬のシメチジン(タガメット)、オメプラゾール(オメプラール、オメプラゾン)、ランソプラゾール(タケプロン)、チクロピジン(パナルジン)などがあります。併用する場合は、この薬の減量を考慮します。
  • 出血傾向をもたらす薬剤として、ワルファリン(ワーファリン)など抗血栓薬、鎮痛薬(NSAIDs)、三環系抗うつ薬、抗精神病薬などがあげられます。ほかにも、飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。今現在、および最近まで飲んでいた薬を必ず医師に伝えてください。

【使用にあたり】
  • 通常は、1日1回夕食後に1錠だけ飲みます。症状によっては2錠まで増量可能です。肝臓の悪い人や高齢の人は1錠までにしたほうが無難でしょう。よく効いてくるまでに2〜3週間かかるかもしれません。
  • 飲み始めに吐き気がしても、2週間くらいで軽くなることが多いです。吐き気止めや胃薬で対処できますので、心配でしたら医師と相談してください。
  • 飲み始めや増量時に、かえって気分が不安定になるときは、医師と連絡をとってください。できましたら、ご家族など付き添いの方も、行動の変化や不穏な行為に注意するなど、服用後の様子を注意深く見守りましょう。因果関係ははっきりしませんが、敵意や攻撃性、衝動性にもとづく事故や犯罪事例も報告されているようです。
  • 自分だけの判断でやめてはいけません。急に飲むのを中止すると反動で症状が悪化したり、体の具合が悪くなることがあります。中止する際は、医師の判断で徐々に減量しなければなりません。飲み忘れにも注意しましょう。
  • うつ病では、症状がよくなってからも、しばらく少量を続けることが多いです。いわゆる「揺りもどし」による再発を防ぐためです。症状や環境にもよりますが、半年〜2年くらいは続けることになると思います。再発を繰り返しているときは、更に長期の服用となります。指示された期間、続けるようにしてください。

【妊娠・授乳】

妊娠中は、治療上の有益性を十分考慮するなど、慎重に適用しなければなりません。もし、服用中に妊娠した場合には、継続の可否について医師とよく相談してください。自分だけの判断で急に止めてはいけません。

【食生活】
  • アルコールといっしょに飲むと、いろいろな副作用がでやすくなります。飲酒はできるだけ控えましょう。
  • 健康食品やハーブティーとして販売されているセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)の飲食は避けたほうが無難です。併用により副作用が増強するおそれがあります。
  • 眠気やめまいを起こすことがあります。車の運転をふくめ危険を伴う機械の操作や作業には十分注意してください。
  • うつ病は、ストレスなど脳の疲れのサイン。まずは、がんばらないでゆっくり休養することが第一です。脳の疲れがとれてくれば、少しずつ良くなってきます。すぐに治らないからと悲観することはないでしょう。長引くことがあっても、いつかきっと時間が解決してくれると思います。
  • 抗うつ薬は、症状の回復を早めますが、うつ病の原因そのものは治せません。落ち着いてきたら、生活や職場の環境調整、さらに認知療法などを合わせておこなうとよいでしょう。今はつらいかもしれませんが、あせらずに、ゆっくりと治療なさってください。
効能
【適用】
  • うつ病・うつ状態
  • 社会不安障害(社交不安障害)

【応用】

摂食障害、過食嘔吐、月経前不快気分障害、強迫性障害パニック障害、外傷後ストレス障害など、いろいろな心の不具合に応用されることがあります
用法 通常、成人はエスシタロプラムとして10mgを1日1回夕食後に経口服用する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行い、1日最高用量は20mgを超えないこととする。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的安全性の高い抗うつ薬です。従来の薬に多くみられる口の乾きや便秘などの不快な副作用も少なくなっています。飲み始めの胃腸症状に対しては、吐き気止めや胃薬で対処可能ですから 医師と相談してください。その後の副作用はわりと少なく、長期の維持療法にも適します。

多くはありませんが、人によってはかえって神経過敏になり、不安感を生じたりイライラ・そわそわ落ち着かない気分になることがあります。さらに衝動的な行動につながるおそれもあるようです。このような精神的変調も服用開始時に多くみられる症状ですので、あまり心配せず医師とよく相談してください。

重い副作用は頻度的にほとんどありませんが、この系統(SSRI)の特異な副作用として「セロトニン症候群」があります。万一のことですが、念のため頭に入れておいたほうがよいでしょう。飲み始めや増量時に、急に落ち着きがなくなり、不安や混乱、体の震えやぴくつき、発汗、頻脈、発熱といった症状があらわれます。なにか普段と違う「おかしいな」と感じたら、すぐに医師に連絡してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • セロトニン症候群..落ち着かない、不安、興奮・混乱、不眠、体の震え・ぴくつき、めまい、発熱、発汗、頻脈、下痢、血圧上昇。
  • けいれん、昏睡..筋肉のぴくつき、筋肉の硬直、手足けいれん、全身けいれん(ふるえ、白目、硬直)、混乱・もうろう状態、意識がなくなる。
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)..だるい、のどが渇く、頭痛、吐き気、けいれん、意識もうろう、気を失う。
  • 不整脈(QT延長、心室頻拍)..動悸、脈が遅い、脈が速い、脈の乱れ、胸の痛みや違和感、めまい、立ちくらみ、失神。

【その他】
  • 吐き気、食欲不振、口の渇き、下痢、腹痛、嘔吐
  • 眠気、めまい、頭痛、だるい
  • 不安感、イライラ感、不眠
  • 動悸、不整脈
  • 尿が出にくい、性機能異常
  • 発疹、出血傾向
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye