おくすり110番
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成分(一般名) ベンラファキシン塩酸塩
製品例 イフェクサーSRカプセル37.5mg~75mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 神経系用剤(含む別用途)/抗うつ剤(SNRI)/セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 憂うつな気分をやわらげ、意欲を高めるお薬です。うつ病やうつ状態の治療に用います。
作用

【働き】

気分が晴れずに落ち込んだり、悲観的になったり、やる気がでない、集中できない、眠れない・・そんなこじれた心の症状を改善し、気持ちが前向きになるのを助けます。また、不安や緊張した気分をほぐして、気持ちを楽にします。うつ病のほか、いろいろな心の不具合に応用されることがあります。

【薬理】

脳内の2つの神経伝達物セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害します。これにより、脳内シナプス間隙におけるそれらの濃度が高まり、神経の伝達がよくなります。セロトニンの増加は不安をやわらげ「気分」を楽にし、ノルアドレナリンの増加は「意欲」を高めるといわれます。

セロトニントランスポーターとノルアドレナリントランスポーターだけに結合し、その他の受容体にはほとんど作用しないので、旧来の抗うつ薬にみられる不快な副作用が少ないです。このような作用機序から、「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(Serotonin-NorAdrenalin Reuptake Inhibitors)」と呼ばれ、SNRIと略称されることが多いです。

【臨床試験】

この薬の効果をプラセボ(にせ薬)と比較する試験がおこなわれています。参加したのは、うつ病の患者さん535人です。そして、3つのグループに分かれ、第1のグループはこの薬を低用量服用(75mg)、第2のグループは高用量服用(75~225mg)、第3のグループはプラセボを服用します。ここで大事なのは、グループ分けはくじ引きでおこない、薬の中身を患者さんにも医師にも伝えないことです(プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験)。

効果の判定は、抑うつ気分にくわえ、不安や焦燥、睡眠の状況、社会活動性、不安に伴う身体症状、食欲の程度など17項目ごとに医師が点数化(0〜4点)し、その合計点(0〜53点)でおこないます。点数が低ければ軽症(8〜13点)、高いほど重症(20点以上)です。試験に参加した患者さんの服薬前の合計点の平均は22点くらいでした。そして、服用2カ月後の各グループの平均合計点数の低下幅を比較するのです。

その結果、この薬を低用量飲んでいた人達は平均10.8点低下(22.6点→11.8点)、高用量の人達は10.3点低下(22.3点→12.0点)、プラセボの人達は9.2点低下(22.4点→13.2点)しました。大きな差はでませんでしたが、この薬のほうがプラセボより1.5点〜1.1点ほど下げ幅が大きく、プラセボをしのぐ一定の有効性が示されたわけです。なお、高用量で想定ほど点数が下がらず統計学的有意差が得られなかった原因として、増量にともなう不眠症状の発現が推察されています。
特徴
  • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)に分類される抗うつ薬です。セロトニン系とノルアドレナリン系の神経にだけ働くのが特徴です。この特性により、従来の抗うつ薬に多い口の乾きや便秘などの副作用が軽減されます。治療効果は他の抗うつ薬とそれほど変わりません。類似薬としてミルナシプラン(トレドミン)とデュロキセチン(サインバルタ)が発売済みです。
  • 同系としては、低用量でセロトニン系神経によく作用し、高用量でノルアドレナリン系神経への作用がより強まるデュアルアクションを特徴とします。また、徐放性カプセルなので1日1回の服用で済むのも利点です。今後、うつ病治療の第一選択薬として、あるいは他の抗うつ薬で効果不十分または副作用で使いにくい場合の第二選択薬として処方される機会が増えるでしょう。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。病気によっては症状を悪化させるおそれがあります。
  • 飲み合わせの悪い薬があります。2週間前から今現在までに飲んでいた薬を、医師に報告しておいてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人は医師に申し出てください。
  • 注意事項や副作用について、ご本人、できたらご家族も含め、よく説明を受けておきましょう。

【注意する人】

肝臓や腎臓が悪い場合は、少量で開始し慎重に増量するなど特段の配慮が必要です。また、前立腺肥大症などで尿の出にくい人、緑内障、てんかん、高血圧、心臓病のある人などは、病状の悪化に注意し慎重に用いるようにします。躁うつ病においては、逆効果になることがあるので、一般的なうつ病との見極めが重要です。

子供での有効性は未確認なうえ、有益性を否定する報告もあります。子供への処方は最後の選択肢とし、優先すべきは心理社会的支援や環境調整です。また、若い人に用いる場合は、治療上の不利益について考慮する必要があります。症状によっては処方を控えなければなりません。複数の抗うつ薬の臨床試験を分析したところ、24歳以下では かえって悪い衝動を引き起こし危険な行為に及ぶおそれがあるとの報告があるためです。

高齢の人ではそのような行為にいたるリスクが少ない反面、薬の代謝が遅れ血中濃度が上がりがちです。必要最小限となるよう服用量に留意するとともに、傾眠、めまい、排尿障害、低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群などの副作用に十分注意する必要があります。

  • 適さないケース..重い肝臓病、重い腎臓病
  • 注意が必要なケース..肝臓病、腎臓病、尿の出にくい人(前立腺肥大症)、緑内障、高血圧、心臓病、てんかん、出血性疾患、躁うつ病、脳の器質的障害、統合失調症の素因、衝動性が高い精神症状をともなう人、高齢、24歳以下、いのちを絶ちたいという思いのある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • パーキンソン病治療薬のセレギリン(エフピー)との併用は禁止されており、服用のさいは一定期間の間隔をあける必要があります。両方の作用がだぶりセロトニン症候群という重い副作用を起こすおそれがあるためです。
  • 禁止ではありませんが、ほかにもセロトニン症候群のリスクを高める薬剤があります。各種の抗うつ薬をはじめ、気分安定薬の炭酸リチウム(リーマス)、トリプタン系頭痛薬(イミグラン等)、鎮痛薬のトラマドール(トラマール、ワントラム、トラムセット)、L-トリプトファン含有製剤(アミノ酸製剤、経腸成分栄養剤等)、健康食品のセイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)などです。
  • 出血傾向を強める薬剤として、アスピリン(バイアスピリン)、クロピドグレル(プラビックス)、ワルファリン(ワーファリン)や(プラザキサ)などの抗血栓薬、ロキソプロフェン(ロキソニン)やジクロフェナク(ボルタレン)に代表される解熱・鎮痛薬(NSAIDs)などがあげられます。
  • そのほか、安定薬のハロペリドール(セレネース)やリスペリドン(リスパダール)、胃薬のシメチジン(タガメット)、マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、抗エイズウイルス薬のプロテアーゼ阻害薬(ノービア、カレトラ、レイアタッツ、プリジスタ、レクシヴァ、スタリビルド)などにも注意が必要です。市販薬をふくめ今現在、および最近まで飲んでいた薬を必ず医師に伝えてください。

【使用にあたり】
  • 有効量は個人差が大きいです。通常、副作用がでないように、少量より開始し、よい効果のでる必要最小量まで段階的に増量します。一般的には、低用量カプセル37.5mg1カプセルを1日1回から始め、1週後より75mgに倍増し維持量とします。症状によっては、さらに漸増することも可能です。よく効いてくるまでに、2〜3週間以上かかることがあります。
  • 肝機能障害がある場合は、必要に応じて減量または投与間隔の延長を考慮します。腎臓が悪い人、若い人、高齢の人も増量は慎重におこなうようにします。
  • 特殊な徐放性製剤ですから、カプセルの内容物を砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのまま噛まずに飲んでください。
  • 飲み忘れた場合は、気付いた時にすぐ飲んでください。ただし、翌日になり次に飲む時間が近い場合は、1回分は抜かし次の通常の時間に1回分を服用してください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • 飲み始めに吐き気がしても、2週間くらいで軽くなることが多いです。吐き気止めや胃薬で対処できますので、心配でしたら医師と相談してください。
  • 飲み始めや増量時に、かえって気分が不安定になるときは、医師と連絡をとってください。できましたら、ご家族など付き添いの方も、行動の変化や不穏な行為に注意するなど、服用後の様子を注意深く見守りましょう。因果関係ははっきりしませんが、敵意や攻撃性、衝動性にもとづく事故や犯罪事例も報告されているようです。
  • 自分だけの判断でやめてはいけません。急に飲むのを中止すると反動で症状が悪化したり、体の具合が悪くなることがあります。中止する際は、医師の判断で徐々に減量しなければなりません。飲み忘れにも注意しましょう。
  • うつ病では、症状がよくなってからも、しばらく少量を続けることが多いです。いわゆる「揺りもどし」による再発を防ぐためです。症状や環境にもよりますが、半年〜2年くらいは続けることになると思います。再発を繰り返しているときは、更に長期の服用となります。指示された期間、続けるようにしてください。

【検査】

もともと高血圧や心臓病のある人は、血圧や脈拍数に異常がないか定期的に調べるようにします。

【食生活】
  • アルコールといっしょに飲むと、いろいろな副作用がでやすくなります。飲酒はできるだけ控えましょう。
  • 健康食品やハーブティーとして販売されているセイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)の飲食は避けたほうが無難です。併用により副作用が増強したり、逆に効果が減弱する可能性もあります。
  • 眠気やめまいを起こすことがあります。車の運転をふくめ危険を伴う機械の操作や作業は行なわないでください。
  • うつ病は、ストレスなどによる脳の疲れのサイン。まずは、がんばらないでゆっくり休養することが第一です。脳の疲れがとれてくれば、自然に回復してきます。少し長引くことがあっても、いつかきっと時間が解決してくれることでしょう。
  • 抗うつ薬は、症状の回復を早めますが、うつ病の原因そのものは治せません。落ち着いてきたら、生活や職場の環境調整、さらに認知療法などを合わせておこなうとよいでしょう。今はつらいかもしれませんが、あせらずに、ゆっくりと治療なさってください。
効能 うつ病・うつ状態
用法 通常、成人はベンラファキシンとして1日37.5mgを初期用量とし、1週後より1日75mgを1日1回食後に経口服用する。なお、年齢、症状に応じ1日225mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として75mgずつ行うこと。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 従来の三環系抗うつ薬に比べ、副作用は軽減されています。それでも、吐き気や便秘など胃腸症状、めまい、頭痛、眠気あるいは不眠などがそれなりの頻度であらわれます。飲み始めの胃腸症状に対しては、吐き気止めや胃薬で対処可能ですから 医師と相談してください。不眠はとくに高用量で出やすいです。

人によっては、尿の出が悪くなるかもしれません。とくに、高齢の人や前立腺肥大症のある人は要注意です。頻脈や血圧上昇も この薬にみられる特有な副作用です。尿がまったく出なくなったり、強い動悸を感じるとき、自己血圧測定で血圧上昇が著しいときは、すぐに受診してください。これらの症状は服用量が多いときにあらわれやすいです。

もし、普通でない不安や焦燥感、イライラ落ち着かない感じ、気持ちの高ぶり、悪い衝動にかられるなど、精神的な変調が気になるときは、医師と連絡をとり指示をあおいでください。このような気分障害は、とくに飲み始めや薬の量を増やしたときに現れやすいものです。

そのほか、重い副作用として、セロトニン症候群、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、不整脈、けいれん、間質性肺疾患などを起こす可能性があります。これらの発現頻度はまれですが、下記のような初期症状をふまえ、なにか普段と違う「おかしいな」と感じたら、すぐ医師に連絡してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • セロトニン症候群..落ち着かない、不安、興奮・混乱、不眠、体の震え・ぴくつき、めまい、発熱、発汗、頻脈、下痢、血圧上昇。
  • 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)..だるい、のどが渇く、頭痛、吐き気、けいれん、意識もうろう、気を失う。
  • 重い不整脈..動悸、頻脈(120/分以上)、徐脈(50/分以下)、胸の痛みや違和感、胸苦しい、だるい、めまい、立ちくらみ、気が遠くなる、失神。
  • けいれん..筋肉のぴくつき、ふるえ、白目、硬直、全身けいれん、意識低下・消失。
  • アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 横紋筋融解症..手足のしびれ・けいれん、力が入らない、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
  • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
  • 間質性肺疾患..から咳、息苦しさ、息切れ、息が荒い、呼吸困難、血痰、発熱。
  • 高血圧クリーゼ..急激な血圧上昇、著しい高血圧、心拍数増加、激しい頭痛、吐き気、動悸。
  • 尿閉..尿が出にくい、まったく出ない。

【その他】
  • 吐き気、吐く、食欲不振、便秘、下痢、口の渇き
  • 眠気、不眠、頭痛、めまい
  • イライラ感、怒りっぽい、落ち着かい、気分変調
  • 目のまぶしさ・かすみ、発汗、味覚異常、ふるえ
  • 頻脈、動悸、血圧上昇
  • 尿が出にくい、頻尿
  • 肝機能値の異常、体重減少または増加
  • 異常出血
  • 発疹、かゆみ
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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