おくすり110番
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成分(一般名) ブレクスピプラゾール
製品例 レキサルティ錠1mg~2mg、レキサルティOD錠0.5mg~1mg~2mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 神経系用剤(含む別用途)/非定型抗精神病薬(SDAM)/抗精神病薬

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 心の不具合を調整し、気持ちをおだやかにするお薬です。統合失調症に用います。
作用

【働き-1】

気持ちの高ぶりや不安感をしずめるほか、停滞した心身の活動を改善する作用があります。そのような作用から、統合失調症にかぎらず、強い不安感や緊張感、抑うつ、そう状態などいろいろな精神症状に応用することがあります。

【働き-2】

心の病気の一つ「統合失調症」は、脳の情報伝達の不調から、思考や感情がまとまらなくなる病気です。陽性症状として幻聴や妄想を生じ、現実を正しく認識できなくなります。また、やる気がしない、感情がわかない、心的引きこもり など陰性症状もあらわれます。

このお薬は、そのような情報伝達の混乱を改善します。ドーパミン系とセロトニン系の2つの神経系を調節することにより、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、混乱)と陰性症状(意欲低下、無感情、自閉)の両方によい効果が期待できます。

統合失調症は それほどめずらしくなく、100人に1人くらいかかる一般的な病気です。特別視することはありません。この薬をはじめ、よい薬がいろいろとあります。薬物療法を中心に きちんと治療を続ければ、普通の社会生活が送れます。

【薬理】

ドパミン系とセロトニン系の神経受容体と強く結合し、神経の働きを調整します。ドパミンD2受容体とセロトニン5-HT1A受容体においては、アンタゴニストとして阻害作用を示す一方で、アゴニストとしての内活性作用を併せ持ちます(パーシャルアゴニスト:部分アゴニスト)。また、セロトニン5-HT2A受容体に対してはアンタゴニストとして阻害的に作用します。明確な機序は不明ですが、これらの薬理作用が臨床における有用性に寄与しているものと考えられています。セロトニン‐ドパミン アクティビティ モジュレーター(SDAM)と呼ばれています。

【臨床試験】

この薬の効果をプラセボ(にせ薬)と比較する試験が行われています。参加したのは統合失調症の急性再発のために入院している患者さん、または入院が必要とされる患者さん447人です。そして4つのグループに分かれ、第1のグループは低用量(1mg/日)を服用、第2のグループは中用量(2mg/日)を、第3のグループは高用量(4mg/日)を、第4のグループはプラセボを服用します。ここで大事なのは、グループ分けはくじ引きでおこない、薬の内容を患者さんにも医師にも伝えないことです(プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験)。

効果の判定は、統合失調症の病状を点数化して行ないます(PANSS)。具体的には、陽性症状7項目、陰性症状7項目、全般的精神症状16項目の合計30項目について各項目を7段階(1:なし〜7:最重度)で評価し、その合計点(30〜210)の変化量をもって比較するのです。ちなみに試験に参加した患者さんの服薬前の合計点の平均は97点くらいでした。

6週間服用した結果、この薬を低用量服用した人達は平均8.3点低下(99.3点→86.6点)、中用量の人達は15.0点低下(96.6点→77.4点)、高用量の人達は11.5点低下(96.4点→79.1点)、プラセボの人達は7.7点低下(97.2点→81.7点)しました。実薬のグループのうち、中用量(2mg/日)を使用した人達は、プラセボに比べ低下幅が明らかに大きく、統合失調症に対する有効性が示されました。一方、高用量(4mg/日)の人達ではプラセボとの間に統計学的な有意差が認められませんでした。高用量で効果不十分となった明確な理由は分かっていませんが、前治療薬として抗精神病薬の多剤大量療法を受けていた患者さんが多数みられ、その影響が残ったためではないかと推察されています。この結果から、維持用量および最高用量が1日2mgと設定されることになりました。
特徴
  • 新しいタイプの非定型抗精神病薬です。セロトニン‐ドパミン・アクティビティ モジュレーター(SDAM)と呼ばれるように、ドパミン系とセロトニン系の両神経を調整します。ドパミン系を主とするドパミン・システムスタビライザー(DSS)のアリピプラゾール(エビリファイ)と比べ、セロトニン系への作用が強力なこと、ドパミンD2受容体に対する刺激作用が弱く機能的アンタゴニストでもあること、すなわち固有活性が低い部分アゴニストという点で大きく異なります。
  • 国内外の臨床試験で、急性再発の統合失調症に対する有効性が示されています。陽性症状と陰性症状をふくめ、急性期から維持期にわたり広く適用可能です。抗精神病薬につきものの錐体外路症状(ふるえ、こわばり)、体重増加、高脂血症や高血糖などの副作用軽減も期待できそうです。糖尿病がある人も注意深く用いることができます。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えてください。
  • 副作用について、ご本人、できたらご家族も含め、よく説明を受けておきましょう。

【注意する人】
  • 糖尿病のある人は、血糖値の上昇に注意するなど、慎重に用いなければなりません。糖尿病の既往歴や家族歴、高血糖や肥満などで糖尿病発症リスクの高い人も要注意です。
  • 低血圧をふくめ心・血管系に病気のある人、てんかんなど痙れん性疾患のある人は、その病状悪化に注意が必要です。また、いのちを絶ちたいという強い思いがある人には慎重に用いられます。
  • 肝臓病や腎臓病があると、この薬の血中濃度が上昇しやすいです。病状によっては、減量または服薬間隔を延長します。
  • 寝たきり、または手術後などで長時間体を動かせない人、脱水状態の人、あるいは肥満のある人は血栓塞栓症の発現リスクが少し高まるかもしれません。
  • 高齢の人は副作用に注意するなど慎重に用います。また、類似薬において、認知症関連の精神症状に対する適応外使用例で死亡率が1.6〜1.7倍高かったという研究報告があります。認知症における安易な使用は控えるべきでしょう。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

いろいろな薬と相互作用を起こしやすいです。飲み合わせによっては、この薬の作用が増強し、副作用がでやすくなります。使用中の薬は必ず医師に報告しておきましょう。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。

  • アナフィラキシーの救急治療の場合を除き、昇圧薬のアドレナリン(ボスミン)とは併用できません。
  • 安定薬など神経をしずめる薬と併用すると、それぞれの作用が強まるかもしれません。一方、パーキンソン病の薬では、作用を弱めあうことがあります。降圧薬との併用では、めまいや立ちくらみを起こしやすいです。
  • この薬の血中濃度が上昇しやすい飲み合わせがあります。たとえば、抗うつ薬(SSRI )のパロキセチン(パキシル)やセルトラリン(ジェイゾロフト)、カルシウム受容体作動薬のシナカルセト(レグパラ)、抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、抗エイズウイルス薬のリトナビル(ノービア、カレトラ、ヴィキラックス)などです。併用のさいは、この薬の減量を考慮します。
  • 逆に、結核・抗酸菌症治療薬のリファンピシン(リファジン)は、この薬の血中濃度を低下させ、作用を弱める可能性があります。抗けいれん薬のフェノバルビタール(フェノバール)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、カルバマゼピン(テグレトール)、さらには健康食品やハーブティーとして販売されているセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)にも同様の性質があります。

【使用にあたり】
  • 用法・用量は医師の指示どおりにしてください。通常、少量(1mg)より開始し、4日以上の間隔をあけて増量し維持量(2mg)とします。服用回数は1日1回です。食事の影響はありません。
  • 重い腎臓病や肝臓病がある場合、減量または服用間隔を延長することがあります。
  • 飲み忘れた場合、気付いたときに飲んでください。ただし、翌日に気付き、次の時間が近ければ、忘れた分は抜かし、次の通常の時間に1回分服用してください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • すぐに効果がでなくても、決められた期間、きちんと続けることが大切です。急に中止すると反動で具合が悪くなることがあります。自分だけの判断で、急に中止したり、量を変えてはいけません。
  • のどが異常に渇き、水をガブ飲みしてしまうときは、すぐに受診してください。血糖値が高くなっているかもしれません。

【検査】

必要に応じ、血糖値の測定をおこないます。

【食生活】
  • 眠気がしたり、注意力や反射運動能力が低下することがあります。車の運転をふくめ危険を伴う機械の操作はしないでください。
  • とくに飲み始めに、めまいや立ちくらみが起きやすいです。高所での危険作業には十分注意してください。
  • アルコールは、眠気やふらつきなど いろいろな副作用を強めます。医師の指示しだいですが、飲酒はできるだけ控えてください。
  • 体重が増えてきたら、食生活を見直してください。食べすぎに注意し、適度な運動を心がけましょう。
効能 統合失調症
用法 通常、成人はブレクスピプラゾールとして1日1回1mgから服用を開始した後、4日以上の間隔をあけて増量し、1日1回2mgを経口服用する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的多いのは、体が勝手に動く、じっとできない、手足のふるえ、不眠または眠気、頭痛、めまい、吐き気、便秘、体重増加などです。軽いものがほとんどですが、体重増加は糖尿病と関係しているかもしれません。そのほか、女性ではプロラクチンというホルモン分泌が変調し、生理に影響することがあります。

重い副作用として、血糖値上昇による昏睡や意識障害の報告があります。高血糖のサインとしては、のどが異常に渇く、多飲、多尿、頻尿などがあげられます。そのような場合は、服用を一時中止し、すぐに受診してください。もともと血糖値が高めの人や太りぎみの人は、定期的に血糖値の検査を受けましょう。

めったにありませんが、抗精神病薬には「悪性症候群」という注意を要する副作用があります。体が硬直して動かなくなり、高熱がでてきたら、すぐに医師に連絡してください。とくに、高齢の人、体の弱っている人、薬の量を増やしたときなどに出現しやすいものです。ご家族や周囲の方も注意してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 高血糖、糖尿病性昏睡..異常にのどが渇く、多飲、多尿、食欲亢進、多食、脱力感、もうろう、意識がうすれる。
  • 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
  • 遅発性ジスキネジア..頻回なまばたき、口の周辺がピクピクけいれん、口をすぼめる、口をモグモグさせる、舌のふるえ。
  • 麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。
  • 横紋筋融解症..手足のしびれ・こわばり、脱力、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
  • けいれん..めまい、頭痛、ふるえ、手足のしびれ感、筋肉のぴくつき、意識低下、全身けいれん。
  • 無顆粒球症、白血球減少..発熱、のどの痛み、口内炎、咳、痰、だるい。
  • 静脈血栓症、肺塞栓症..手足(特にふくらはぎ)の痛み・はれ・むくみ・しびれ、爪の色が紫、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急な視力低下、視野が欠ける、目が痛む。

【その他】
  • 錐体外路症状..指や手足のふるえ、体のこわばり・つっぱり、ひきつけ、体が勝手に動く、じっとできない、そわそわ感、動作がにぶい、無表情、よだれが多い、目の異常運動(正面を向かない、上転)、舌のもつれ、うまく歩けない。
  • 不眠、眠気、傾眠、頭痛、めまい、立ちくらみ
  • 吐き気、嘔吐、食欲不振、食欲亢進、便秘
  • 体重増加、高プロラクチン血症、生理異変
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye