概説 |
脊髄小脳変性症における運動失調を改善するお薬です。歩行や体の動きをよくし、病状の悪化を遅らせます。 |
作用 |
- 【働き】
- 脊髄小脳変性症は、運動にかかわる小脳に異常を生じ、歩行や動作が不自由になる病気です。推定患者数は1〜2万人といわれています。このお薬は、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン誘導体(TRH誘導体)で、神経の働きを円滑にし体の動きをよくする働きがあります。
【薬理】
- 脳内の神経系に分布するTRH受容体に特異的に作用し、アセチルコリン、ドパミン、ノルアドレナリン、セロトニン神経系を活性化させます。
- 脊髄反射増強作用、神経栄養因子様作用、局所グルコース代謝促進作用などにより、運動失調を改善します。
- 【臨床試験】
- 脊髄小脳変性症427例を対象にした二重盲検比較試験がおこなわれています。投与28週後において、個々の運動失調検査では明確な差はありませんでしたが、全般改善度ではプラセボ(にせ薬)投与群に比べ優れていることが示されています。また、累積悪化率が27.7%であったのに対し、プラセボ投与群では41.7%と有意差が認められています。しかし、1年後までの全般改善度(悪化率)では、プラセボと差はありませんでした。
|
特徴 |
- 世界初のTRH誘導体の経口製剤。
- オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)。
|
注意 |
持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。高齢の人、腎臓病の人は、薬の排泄が遅れることがあるので慎重に使用する必要があります。 |
効能 |
脊髄小脳変性症における運動失調の改善。 |
用法 |
通常、成人にはタルチレリン水和物として1回5mgを1日2回(朝、夕)食後に服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
|
副作用 |
おもな副作用は、吐き気、食欲不振、下痢、ふらつきなどです。重い副作用はまれですが、けいれんや悪性症候群(1%未満)の報告がありますので、念のため注意してください。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- けいれん
- 悪性症候群(Syndrome malin)..動かず黙り込む、体の硬直、飲み込めない、急激な体温上昇、発汗、頻脈、ふるえ、精神変調、意識障害。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
【その他】
- 血圧の変動、動悸。
- 吐き気、食欲不振、下痢。
- 頭痛、めまい、ふらつき。
- 発疹、かゆみ
|