概説 |
足のむずむず感をやわらげるお薬です。レストレスレッグス症候群の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- レストレスレッグス症候群は、一般でいう「むずむず脚症候群」のことです。足がむずむずし、動かしたいという強い欲求を生じる病気です。むずむず感のほか、熱感やかゆみ、痛みなどを伴うこともあります。夕刻以降の安静時に多発するので、不眠の原因にもなりかねません。詳しい原因はよく分かっていませんが、足が受ける刺激を抑制する神経の働きが弱っているのではと推測されています。
そのようなレストレスレッグス症候群に、以前から抗てんかん薬やパーキンソン病治療薬が有効なことが知られていました。このお薬は、既存の抗てんかん薬をもとにレストレスレッグス症候群治療薬として開発したものです。詳しい作用機序はわかっていませんが、興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することで、足の異常感覚をおさえるものと考えらます。適応となるのは、苦痛をともなう場合や、睡眠に支障をきたすようなやや重い症状に対してです。

- 【臨床試験】

- レストレスレッグス症候群の患者さんをクジ引きで分け、120人はこの薬を1日2錠、別の116人はプラセボ(にせ薬)を2錠服用し、その効果を比較する試験が行われています。本当にプラセボを上回る効果があるのかを確かめるのが目的です。
効果の判定は、足の不快感や動き回りたい欲求のレベル、発現頻度、睡眠の具合、昼間の眠気の程度などを10項目ごとに点数化し、その合計点(0〜40点)の変化量でおこないます。点数が低ければ軽症(10点以下)、中間が中等症(11〜20点)、高いほど重症(21点以上)を意味します。試験に参加した人の服用前の平均点数は23点でした。服薬期間は3ヶ月間です。
その結果、この薬を飲んでいた人達は平均11点低下(23点→12点)、プラセボの人達は9点低下(23点→14点)しました。期待ほどの差はでませんでしたが、この薬のほうが下げ幅が2点ほど大きく、プラセボよりも病状が軽くなる傾向が示されたわけです(統計学的な有意差は認めらませんでした)。なお、海外の臨床試験ではもう少しよい結果がでています。
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特徴 |
- GABA(γ-アミノ酪酸)誘導体のレストレスレッグス症候群治療薬です。作用機序からはカルシウムチャネルα2δ(アルファ2デルタ)リガンドと呼ばれる部類になります。標準的に用いられるドパミン作動薬のプラミペキソール(ビ・シフロール)とは効きかたが違います。このため、プラミペキソールが副作用で使用できないときや効果不十分な場合の新たな選択肢として期待されています。
- 既存の抗てんかん薬ガバペンチン(ガバペン)のプロドラッグです。ガバペンチンそのものよりも吸収効率に優れ、体内に吸収されてから直ちにガバペンチンに変換されます。また、効き目が長い徐放性製剤なので、夕食後の服用により症状のでやすい夜間に高い血中濃度が維持できます。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人、また妊娠中の人は医師に伝えてください。
- 市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- 腎臓の悪い人は薬の排泄が遅れがちです。このため、症状によっては使用を控えるようにします。
- 適さないケース..重い腎臓病。
- 注意が必要なケース..腎臓病、高齢の人など。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 鎮痛薬のモルヒネは、この薬の吸収を増加させ副作用を強めるおそれがあります。
- 飲酒は控えてください。アルコールとの同時服用により錠剤が急速に溶け出し、徐放性が失われるおそれがあるためです。
 【使用にあたり】
- 通常、1日1回夕食後に2錠(600mg)飲みます。腎臓の悪い人は、1錠にすることがあります。
- 体重増加が気になるとき、また目が霞むなど視覚異常があらわれた場合は医師に報告してください。
- 効果を実感できないときは、医師とよく相談してください。

- 【検査】

- 体重計測を行うことがあります。
 【食生活】
- 長く飲み続けていると、人によっては体重が増えてくることがあります。肥満の徴候があらわれた場合は、食べ過ぎに注意し、適度な運動を心がけましょう。
- 眠気がしたり、注意力や集中力・反射運動能力が低下することがあります。車の運転をふくめ危険な機械の操作は避けてください。
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効能 |
中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群) |
用法 |
通常、成人はガバペンチン エナカルビルとして1日1回600mgを夕食後に経口服用する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用で多いのは、めまいと眠気です。また、長期服用により、体重増加を来すことがあります。重い副作用はまずありませんが、なにか異常を感じたら早めに受診するようにしてください。
- 眠気、めまい、頭痛、だるい
- 吐き気、口内乾燥
- 霧視(ぼやけて見える)
- 体重増加
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