概説 |
筋肉の収縮を助けるお薬です。重症筋無力症の治療に用います。 |
作用 | 重症筋無力症は、筋肉の力が弱くなる病気です。まぶたが垂れ下がったり、飲み込みにくくなったり、手足に力が入らなくなってきます。このような症状が起こるのは、筋肉の神経の受容体が自己免疫により障害を受けるためです。
このお薬は、筋肉を収縮させるアセチルコリンという神経伝達物質を増やします。そうすることで、筋肉の神経の働きをよくし、筋力を回復させます。ただし、対症療法薬ですので、病気そのものの原因を治すことはできません。 |
特徴 |
- 作用持続時間が比較的長く、ほぼ8時間持続します。
- 他の同類薬と比較して、気管支内異常分泌や唾液過多(よだれ)の副作用が少ないです。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 別に薬を飲んでいる場合は、医師に伝えておきましょう。
- この薬の副作用や注意事項について説明を受けておいてください。

- 【注意する人】

- 尿路が閉塞している場合や、腸に通過障害のある病気では使用できません。喘息や甲状腺機能亢進症、心臓病、胃潰瘍、てんかん、パーキンソン症状、糖尿病の人なども慎重に用います。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 一部の胃腸薬など抗コリン作用のある薬は、この薬の作用を弱めます。逆に、コリン作用を強めるアルツハイマー病治療薬のドネペジル(アリセプト)や、コリン作動薬のベタネコール(ベサコリン)などは、お互いの作用を強めるおそれがあります。
 【使用にあたり】
- 決められた服用量を厳守してください。多く飲みすぎると中毒を起こしますし、少ないと病状が悪化します。ふつう、少量から開始し、医師が効果や副作用をチェックしながら増量していきます。
- 飲み忘れにも注意してください。万一飲み忘れた場合、2回分を同時に飲んではいけません。

- 【備考】

- この薬は対症療法薬です。根治療法として、胸腺の摘出手術もおこなわれます。
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効能 |
重症筋無力症。 |
用法 |
アンベノニウム塩化物として、通常成人1日15mgを3回に分割経口服用する。なお、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用でわりと多いのは、腹痛や下痢、発汗、頭痛などです。症状のひどいときは、すぐに医師に連絡してください。用量を調節する必要があるかもしれません。量が多すぎると、下記のような「コリン作動性クリーゼ」という重い急性中毒を起こす危険性があります。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- コリン作動性クリーゼ(急性中毒)..吐き気、吐く、腹痛、下痢、汗、唾液や痰が増える、目が暗い、徐脈、全身脱力、唾液排出困難、呼吸困難。
 【副作用】
- 腹痛、下痢、吐き気、嘔吐
- 発汗、唾液過多、涙
- めまい、頭痛、動悸、筋肉のけいれん
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