概説 |
鼻の炎症をとる噴霧薬です。アレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎に用います。 |
作用 | アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜でアレルギーが起こり、炎症を生じる病気です。季節性と通年性の2つタイプに分かれ、前者の多くはスギやヒノキなどの花粉が抗原となり、後者はダニやカビ、ほこりなどが原因となります。おもな症状は、くしゃみと鼻水、鼻づまりです。
このお薬の有効成分はステロイド(副腎皮質ホルモン)の一種です。ステロイドにはアレルギーや炎症をおさえる強い作用があり、不快な鼻炎症状を改善します。一般的な抗アレルギー薬が効きにくい“鼻づまり”に対しても効果が高いです。比較的速効性で、1〜3日でよい効果がでてきます。 |
特徴 |
- 古くからある標準的な吸入ステロイド薬です。鼻粘膜に直接作用しますので、全身性の副作用はほとんどありません。
- 症状がやや重いときに処方されることが多いです。とくに鼻づまりのひどい鼻閉型に好んで用いられます。
|
注意 |
【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておいてください。
- 正しい噴霧方法の説明を受けておきましょう。
【注意する人】
- 結核を含め細菌や真菌による重い感染症にかかっている人、また血圧の高い人や糖尿病のある人は慎重に用いるようにします。病状によっては、使用できないことがあります。
- 傷の治りを遅らせる作用があるので、鼻の手術後や外傷、あるいは鼻中隔潰瘍のある人は慎重に用います。また、鼻血が出やすい人も注意が必要です。
- 緑内障のある人は、眼圧の上昇に注意します。
- 重い喘息発作時、あるいは喘息の急激な悪化状態においては使用を控えます。
【使用にあたり】
- 医師の指示通りに使用してください。十分な効果がでるまで数日かかることがあります。自分だけの判断でやめないで、決められた期間続けましょう。
- 正しい方法で噴霧することが大切です。製品により使い方が違いますので、具体的な使用方法は説明書に従ってください。一般的な手順は以下です。
- 鼻水があるようでしたら、鼻をかんでおきます。片方の鼻を指で抑えてふさぎ、他方の鼻に容器の先を入れ、息を軽く吸いながら噴霧します。このとき、できるだけ容器の先端が鼻に触れないようにしてください。
- 鼻の上部に向けて噴霧します。鼻中隔の方向に噴霧を続けると、その部位の粘膜が荒れて鼻血がでたりします。
- 噴霧後は、鼻の奥まで届くように、頭を後ろに傾けた状態で数秒間鼻で静かに呼吸してください。
- 使用後は容器の先端をきれいにふき、キャップをしてください。
【備考】
- 毎年、重い花粉症で悩まされる人は、早めに受診するとよいでしよう。早期の初期治療により、重症化することなくシーズン中の症状が軽くてすみます。
- 重い鼻閉型では、まず血管収縮性点鼻薬で鼻の通りをよくし、そのあとにステロイド点鼻薬を使うよう指示されることがあります。順番を間違えないようにしましょう。
- 通年性のアレルギー性鼻炎でも、症状がよくなったら医師の判断で減量につとめるようにします。漫然と続けず、そのときどきの症状に応じ、きめ細かな指導を受けるようにしてください。
- 鼻のアレルギーの原因物質(抗原)には、スギやヒノキなどの花粉、ダニやカビ、ほこり、化学物質などがあります。人により異なりますが、原因がはっきりしたら、その原因物質をできるだけ避け、また取り除くようにします。
|
効能 |
アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎 |
用法 |
- 【点鼻液】
- こう鼻後十分の呼吸を行わせ、吸気の際に本剤を1側鼻孔より1回噴霧し、この際他側の鼻孔は指で閉鎖する。次いで他側鼻孔に同様の操作を行う。
- 成人は、通常1回上記1操作の吸入(ベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして100μg)を、1日4回鼻腔内に噴霧吸入する。
- 小児は、通常1回上記1操作の吸入(ベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして100μg)を、1日2回鼻腔内に噴霧吸入する。
- なお、年令・体重・症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は、成人では16吸入、小児では8吸入を限度とする。また、症状の緩解がみられた場合は、その後の経過を観察しながら減量する。
- 【鼻用パウダー】
- 通常、各鼻腔内に1日2回(1回噴霧あたりベクロメタゾンプロピオン酸エステルとして25μg)、朝、夜(起床時、就寝時)に噴霧吸入する。なお、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
|
副作用 |
局所的な副作用としては、鼻の刺激感や乾燥感、カユミなどがみられます。これらは、それほど心配いりませんので、たいてい継続可能です。
横向きに噴霧を続けると、鼻中隔などその部位の粘膜が弱り鼻血がでやすくなります。上に向けて正しく噴霧することが大切です。なお、通常の使用範囲でしたら、飲み薬のステロイドにみられる全身性の副作用はまずありません。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 眼圧上昇、緑内障(長期大量使用時)..見えにくい、目の痛み、かすんで見える(光の回りに虹の輪)、頭痛、吐き気。
【その他】
- 鼻の刺激感、乾燥感、かゆみ、くしゃみ
- 鼻血、鼻中隔穿孔(鼻中隔の方向に噴霧しないこと)
- 感染症(黄色い鼻汁)
|