概説 |
脈のリズムを整えるお薬です。不整脈の治療に用います。 |
作用 | 不整脈は、脈拍をコントロールする刺激伝導系の不調から心臓の鼓動のリズムが乱れる病気です。脈拍が多すぎたり、逆に少なかったり、不規則になったりします。
このお薬は抗不整脈薬です。心臓の刺激伝導系の異常な電気の流れをしずめる働きをします。期外収縮や頻脈性の不整脈の治療に用います。 |
特徴 | 旧来のVaughan Williams分類の「1a群」に属します。 |
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 使用中の薬を医師に教えてください。飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。

- 【注意する人】

- 脈拍の少ない徐脈タイプの不整脈や、心臓の働きが著しく弱っている人には向きません。かえって病状を悪化させるおそれがあります。高齢の人も心不全などの副作用がでやすいので、少量より開始するなど慎重に用います。
- 適さないケース..心臓の刺激伝導障害、重い心不全のある人など。
- 注意が必要なケース..心不全、基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)、腎臓や肝臓の悪い人、高齢の人など。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 相互作用を起こしやすい性質があります。とくに、以下の薬剤とは併用禁止です。併用により、新たな不整脈など副作用がでやすくなるためです。たとえば、エイズの薬のリトナビル(ノービア)やネルフィナビル(ビラセプト)、サキナビル(インビラーゼ)、抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)やミコナゾール(フロリード)、フルコナゾール(ジフルカン)、ホスフルコナゾール(プロジフ)、ボリコナゾール(ブイフェンド)、乳がんの薬のトレミフェン(フェアストン)、抗生物質のキヌプリスチン・ダルホプリスチン(シナシッド)、勃起不全治療薬のバルデナフィル(レビトラ)、抗菌薬のモキシフロキサシン(アベロックス)、抗マラリア薬のメフロキン(メファキン)・・などが禁止されています。
- セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品は控えてください。この薬の作用を弱めるおそれがあります。
 【使用にあたり】
- 決められた飲み方、服用量を厳守してください。自分だけの判断で、量を減らしたり、急に飲むのをやめてはいけません。
- 大量服用を要する場合、原則として入院のうえで用います。

- 【検査】

- 心電図検査や血液検査を定期的に受ける必要があります。
 【食生活】
- 不整脈には、とくべつ治療を必要としないものから、命にもかかわる重い不整脈まで、いろいろなタイプがあります。ごく軽い期外収縮は、3人に1人の割合でみられるといわれ、その多くは薬による治療の対象となりません。喫煙や飲酒を控え、規則正しい生活をおくることが大切です。
 【備考】
- 不整脈の薬は、必ずしも予後の改善(長生き)につながらないので、安易に使用されることはありません。必要となるのは、生命に危険を及ぼすおそれのある不整脈、めまいや動悸など自覚症状が強く生活に支障があるとき、放置すると他の病気に影響する場合などです。薬による不整脈の治療は、必要最小限にするという考え方になっています。
- 薬以外の治療も盛んにおこなわれています。発作性頻拍の根治療法ともいえる「カテーテルアブレーション」、失神をともなうような高度な徐脈には「ペースメーカー」の埋め込み、突然死につながる危険な不整脈には「植え込み型除細動器」も実用化されています。
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効能 |
- 期外収縮(上室性、心室性)。
- 発作性頻拍(上室性、心室性)。
- 新鮮心房細動、発作性心房細動の予防、陳旧性心房細動。
- 心房粗動。
- 電気ショック療法との併用及びその後の洞調律の維持。
- 急性心筋梗塞時における心室性不整脈の予防。
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用法 |
経口的に服用するが、著明な副作用を有するので、原則として入院させて用いる。本剤の服用法は心房細動の除去を目的とする場合を標準とし、漸増法と大量服用法に大別できる。その他の不整脈に対しては、原則として少量維持服用でよく、この場合には外来にて服用してもよい。
- 試験投与..治療に先だち1回量0.1〜0.2g(1錠〜2錠)を経口服用し、副作用があらわれた時は、服用を中止する。副作用を調べる際には血圧測定と心電図記録を行う必要がある。
- 漸増法..成人における慢性心房細動に対しては、例えばキニジン硫酸塩水和物として、1回量0.2g(2錠)を最初1日3回(6〜8時間おき)に服用し、効果がない場合は、2日目ごとに1回量を0.4g、0.6g(4錠、6錠)のごとく増すか、服用回数を1〜2日目ごとに4、5、6回のごとく増す。不整脈除去効果が得られたら、そこで維持量服用に切りかえ、あるいは服用を中止する。6日間服用して効果がない場合、途中で副作用があらわれた場合には服用を中止すること。本剤は昼間のみ与えるのが原則である。
- 大量服投与..はじめから大量を与え、服用期間の短縮をはかるもので、成人における慢性心房細動に対しては、例えばキニジン硫酸塩水和物として、1回量0.4g(4錠)を1日5回、3日間与え効果がない場合には服用を中止する。効果が得られた場合の維持服用は漸増法と同様である。わが国では漸増法でよいとする報告が多い。
- 維持量投与..キニジン硫酸塩水和物として通常成人、1日量0.2〜0.6g(2錠〜6錠)を1〜3回に分割経口服用するが、個人差が大きい。電気ショック療法との併用及びその後の洞調律の維持に対する用量もこれに準ずる。なお、年齢、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
かえって脈が異常になることがあります。重い不整脈や心不全を起こす危険性もありますので、定期的に心電図検査を受けるようにしてください。
その他の重い副作用は少ないですが、SLE様症状の報告があります。筋肉や関節が痛くなったり、赤い斑点ができてきたら、すぐに報告してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 新たな不整脈..動悸、頻脈(120/分以上)、徐脈(50/分以下)、胸の痛みや違和感、めまい・ふらつき、立ちくらみ、気が遠くなる、失神。
- 心不全..疲れやすい、息苦しい、息切れ、むくみ、急な体重増加、痰、ゼィゼィ、咳、頻脈。
- SLE様症状..筋肉や関節が痛む、体や顔が赤くなる、赤い斑点ができる、発熱、手足や首の付け根のリンパ節が腫れる。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
 【その他】
- 吐き気、食欲不振、腹痛、下痢
- めまい、頭痛、耳鳴
- 発疹、発熱、抗核抗体の異常、肝臓の異常
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