概説 |
脈のリズムを整えるお薬です。不整脈の治療に用います。 |
作用 | 不整脈は、脈拍をコントロールする刺激伝導系の不調から心臓の鼓動のリズムが乱れる病気です。脈拍が多すぎたり、逆に少なかったり、不規則になったりします。
このお薬は抗不整脈薬です。心臓の刺激伝導系の異常な電気の流れをしずめる働きをします。脈拍が病的に速くなる頻脈性の不整脈に用いられています。
- 【薬理】
- 心筋のナトリウムチャネルを抑制し、心臓の興奮伝導を遅らせることにより、頻脈性の不整脈を抑えます。
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特徴 |
- 旧来のVaughan Williams分類の「1c群」に属します。強力な抗不整脈作用がある反面、新たな不整脈を誘発したり、心臓の機能を低下させるおそれがあります。
- 2010年5月、小児に対する頻脈性不整脈の効能・効果が承認されました。小児における心室性の頻脈性不整脈の適応取得は日本初です。きめ細かな用量調整が可能な細粒剤も発売されています。
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注意 |
【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬は、医師に伝えてください。
- 【注意する人】
- 脈拍の少ない徐脈タイプの不整脈や、心臓の働きが著しく弱っている人には向きません。かえって病状を悪化させるおそれがあります。また、腎臓の悪い人や高齢の人は、体に薬がたまりやすいので、少量より開始するなど慎重に用います。
- 適さないケース..重い心臓の刺激伝導障害、心不全、妊娠中の人など。
- 注意が必要なケース..基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)、心臓の刺激伝導障害、腎臓や肝臓の悪い人、高齢の人など。
- 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。飲み合わせによっては、副作用がでやすくなります。服用中の薬は、医師に報告しておきましょう。
- 頻尿治療薬のミラベグロン(ベタニス)、エイズの薬のリトナビル(ノービア)、または肝炎治療薬のテラプレビル(テラビック)との併用は禁止されています。併用により新たな不整脈など重い副作用がでやすくなるためです。
- 他の抗不整脈薬や降圧薬との併用により、副作用が強まるおそれがあります。ジルチアゼム(ヘルベッサー)、ベラパミル(ワソラン)、β遮断薬、ジギタリス系の強心薬などとの併用は慎重におこないます。
- 抗うつ薬のパロキセチン(パキシル)、胃の薬のシメチジン(タガメット)、抗けいれん薬のフェニトインなどとの併用により相互作用を起こす可能性があります。
- とくに乳幼児において、母乳や乳製品をとることにより、この薬の吸収が抑制され、有効性が低下するおそれがあります。逆に、それらの摂取を急に中止すると、この薬の血中濃度が上昇する可能性があります。
【使用にあたり】
- 決められた飲み方、服用量を厳守してください。自分だけの判断で、量を減らしたり、急に飲むのをやめてはいけません。
- 飲み忘れにも注意してください。万一飲み忘れた場合、2回分を同時に飲んではいけません。
- 【検査】
- 心電図検査や血液検査を定期的に受ける必要があります。
- 【食生活】
- 不整脈には、とくべつ治療を必要としないものから、命にもかかわる重い不整脈まで、いろいろなタイプがあります。ごく軽い期外収縮は3人に1人の割合でみられるといわれ、その多くは薬による治療の対象となりません。喫煙や飲酒を控え、規則正しい生活をおくることが大切です。
【備考】
- 不整脈の薬は、必ずしも予後の改善(長生き)につながらないので、安易に使用されることはありません。必要となるのは、生命に危険を及ぼすおそれのある不整脈、めまいや動悸など自覚症状が強く生活に支障があるとき、放置すると他の病気に影響する場合などです。薬による不整脈の治療は、必要最小限にするという考え方になっています。
- 心筋梗塞後の不整脈を対象とした臨床試験(CAST)では、かえって死亡率が高くなることが示されています。
- 薬以外の治療も盛んにおこなわれています。発作性頻拍の根治療法ともいえる「カテーテルアブレーション」、失神をともなうような高度な徐脈には「ペースメーカー」の埋め込み、突然死につながる危険な不整脈には「植え込み型除細動器」も実用化されています。
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効能 |
下記の状態で他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効の場合
- 【成人】
- 頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動、心室性)
- 【小児】
- 頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動、発作性上室性、心室性)
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用法 |
- 【成人】
- 通常、成人はフレカイニド酢酸塩として1日100mgから服用を開始し、効果が不十分な場合は200mgまで増量し、1日2回に分けて経口服用する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
【小児】
- 通常、6ヵ月以上の乳児、幼児及び小児はフレカイニド酢酸塩として1日50〜100mg/m2(体表面積)を、1日2〜3回に分けて経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日最高用量は200mg/m2とする。
- 通常、6ヵ月未満の乳児はフレカイニド酢酸塩として1日50mg/m2(体表面積)を、1日2〜3回に分けて経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日最高用量は200mg/m2とする。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
かえって脈が異常になることがあります。重い不整脈や心不全を起こす危険性もありますので、定期的に心電図検査を受けるようにしてください。
そのほか、めまい、ふらつき、動悸、頭痛、吐き気、口の渇きなどがみられます。めまいやふらつきは、不整脈が原因のこともありますから、ひどいときはすぐに連絡してください。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 新たな不整脈..動悸、頻脈(120/分以上)、徐脈(50/分以下)、胸の痛みや違和感、めまい・ふらつき、立ちくらみ、気が遠くなる、失神。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
【その他】
- めまい・ふらつき、動悸、倦怠感、頭痛、発汗
- 吐き気、食欲不振、口の渇き、舌のしびれ感、苦味感
- 目がまぶしい、二重に見える
- 肝機能値の異常、発疹、かゆみ
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