概説 |
水分を排出するお薬です。心不全における浮腫(むくみ)の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 心臓の働きが悪くなり、ポンプ機能が低下すると、血液や水分の循環が悪くなり、浮腫(体液貯留)を生じます。体重が増加し、足首が異常にむくんだり、肺に水がたまり呼吸が苦しくなることもあります。
このお薬は、そのような“うっ血性心不全”に用いる特殊な利尿薬です。尿量を増やし、体の余分な水分だけをとり除きます。その結果、体重がもどり、むくみも取れて、心臓の負担が軽くなります。単独ではなく、一般的な利尿薬で効果不十分な場合に追加併用します。

- 【薬理】

- この利尿作用は、バソプレシンという抗利尿ホルモンの働きを抑制すことにもとづきます。バソプレシンの役目は、腎臓の集合管にあるV2受容体と結合し、尿中から血中への水の再吸収を促進することで体液を保持することです。
この薬の有効成分トルバプタンは、そのバソプレシンのV2受容体への結合を阻害し、腎集合管における水再吸収を減少させます。その結果、ナトリウムなどの電解質排泄に直接の影響を与えずに、水分だけを排出させことになのです。このような作用メカニズムから、バソプレシンV2受容体拮抗薬と呼ばれています。
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特徴 |
- バソプレシンV2受容体拮抗薬という新しいタイプの利尿薬です。ふつうの利尿薬と異なり、ナトリウムなどの電解質排泄を増やさないで水分だけを排出させるのが特徴です。このよう作用から、一般的な利尿薬と区別して“水利尿薬”と呼ぶことがあります。なお、同類の水利尿薬としてモザバプタン(フィズリン)があますが、こちらの効能はある種の低ナトリウム血症に適応します。
- 処方されるのは、フロセミド(ラシックス)など標準的な利尿薬だけではよい効果が得られず、浮腫が改善しない心不全症例に対してです。なお、「肝硬変における体液貯留」についても新たな効能として承認申請中です。
- 電解質の排泄増加を伴わないので、低ナトリウム血症や低カリウム血症を起こす心配はありません。一方で、それらの血清濃度が異常に上昇してしまうおそれがあります。このため、開始当初は入院し、電解質の測定を小まめにおこなうようにします。
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注意 |
 【診察で】
- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬を医師に教えてください。
- 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は医師に伝えてださい。

- 【注意する人】

- 高ナトリウム血症がある場合は避けます。また、狭心症や心筋梗塞のある人、脳梗塞など脳卒中のおそれのある人は、脱水に十分注意するなど慎重に用いるようにします。妊娠中は使用できません。
- 適さないケース..高ナトリウム血症、無尿、のどの渇きを感じない人、水が飲めない人、妊娠中もしくはその可能性のある人。
- 注意が必要なケース..血清ナトリウム濃度が低めの人(125mEq/L未満)、狭心症や心筋梗塞のある人、脳卒中、高カリウム血症、重い腎臓病などがある人、高齢の人。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 飲み合わせによっては、この薬の作用が強まり、副作用が出やすくなります。たとえば、抗生物質のエリスロマイシン(エリスロシン)やクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、高血圧や心臓病に用いるジルチアゼム(ヘルベッサー)、抗エイズウイルス薬のリトナビル(ノービア)、免疫抑制薬のシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)などに注意が必要です。併用するのなら、この薬の減量を考慮するようにします。
- 逆に、この薬の作用を弱めてしまう飲み合わせもあります。抗結核薬のリファンピシン(リファジン)、抗けいれん薬のカルバマゼピン(テグレトール)やフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、フェノバルビタール(フェノバール)などがこれに当たります。服用中の薬は必ず医師に報告しておきましょう。
- 心臓の薬のジゴキシン(ジゴシン)の血中濃度を上昇させる可能性があります。併用のさいは、ジギタリス中毒の発現に注意が必要です。
- カリウム補給薬をはじめ抗アルドステロン薬(カリウム保持性降圧利尿薬)のエプレレノン(セララ)やスピロノラクトン(アルダクトン)、あるいはレニン・アンジオテンシン系に作用する降圧薬(ACE阻害薬、ARB、ラジレス)と飲み合わせるときは、血液中のカリウム濃度の上昇に注意が必要です。
- グレープフルーツジュースは飲まないほうがよいでしょう。同時服用により、この薬の血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがあるためです。
- セイヨウオトギリソウは、この薬の作用を弱めるかもしれません。このため、セント・ジョーンズ・ワートなど、この薬草を含む健康食品はとらないようにしてください。
 【使用にあたり】
- 治療の開始あるいは再開にあたっては、少なくとも数日間入院します。血清ナトリウム濃度を頻回にチェックするなど、注意深く様子をみるめです。治療期間は、原則、浮腫が改善するまでです。
- ふつう、1日1回午前中に1錠を飲みます。症状によっては半錠になるかもしれません。電解質バランスを保つため、他の利尿薬との併用が原則です。
- 飲みはじめると尿の量も回数も増えてきます。夕刻以降に飲むと、夜間の排尿が多くなりますので注意してください。
- のどが渇いたら、早めに水分を補給しましょう。ただし、むやみにガブ飲みしてはいけません。ひどい口渇が続くようでしたら、医師に申し出てください。場合によっては減量が必要です。

- 【検査】

- 効果や副作用をチェックするため、体重、血圧、脈拍数、尿量、血清ナトリウムおよびカリウム値の測定をおこないます。とくに、飲みはじめは頻回な検査が必要です。

- 【妊娠授乳】

- 動物実験で催奇形作用が報告されています。妊娠する可能性のある人は、治療中に妊娠しないように避妊してください。もし妊娠がわかったら、すぐ医師に相談してください。また、服用中は授乳を避けましょう。

- 【食生活】

- めまいを起こすことがありますので、転ばないように気をつけてください。車の運転や高所での危険な作業にも十分注意しましょう。
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効能 |
ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留
- 注意:本剤は他の利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等)と併用して使用すること。なお、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドとの併用経験はない。
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用法 |
通常、成人はトルバプタンとして15mgを1日1回経口服用する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
頻尿や尿量の増加は、ある程度やむおえません。薬が効いている裏返しです。口渇、めまい、便秘なども比較的多いほうです。のどが渇くようでしたら、脱水を起こしている可能性がありますので、早めに適量の水分を補給してください。
脱水がすすむと、腎臓の働きが落ち腎不全を起こす危険性がでてきます。また、脱水とともに、血液中のナトリウムやカリウム濃度が上昇し、体の調子がおかしくなってきます。これらについては、頻繁に検査して重症化する前に対処することが大事です。医師も十分に注意を払うと思います。
そのほか、重い副作用として、血栓塞栓症が報告されています。これは、脱水により血液が濃縮し、血液が固まりやすくなるためで、生じる所はいろいろです。手足、とくにふくらはぎの痛みやシビレ、激しい頭痛、突然の息切れ、急に視力が落ちるといった症状が前触れとなります。万一、そのような症状があらわれたら、すぐ医師に連絡してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 腎不全..だるい、吐き気、むくみ、尿の濁り、血尿、尿が少ない・出ない。
- 血栓症塞栓症..手足(特にふくらはぎ)の痛み・はれ・むくみ・しびれ、突然の息切れ・息苦しい、胸の痛み、急に視力が落ちる、視野が欠ける、目が痛む、頭痛、片側のまひ、うまく話せない、意識が薄れる。
- 高ナトリウム血症..のどが異常に渇く、意識がうすれる。
 【その他】
- 頻尿、多尿、脱水
- 口渇、便秘、吐き気、下痢
- めまい、ふらつき、頭痛、けん怠感、血圧低下
- 高カリウム血症(だるい、息切れ、脈の乱れ、手足のしびれ)、尿酸値の上昇
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