概説 |
片頭痛の痛みをとるお薬です。頭痛発現時に用います。 |
作用 |
- 【働き】
- 片頭痛は慢性頭痛のひとつです。頭の血管が拡張し、ズキンズキンと脈打つような頭痛が起こります。吐き気や嘔吐を伴うことも多いです。人によっては、発作の前に目がチカチカするなど特異な前兆が現れます。
このお薬は、片頭痛の急性期治療薬です。拡張した血管を収縮させたり、血管周囲の炎症をとることで、片頭痛の痛みをやわらげます。頭痛発現時に早期服用すると効果的です。
【薬理】
- 血管内壁のセロトニン受容体(5-HT_1B/1D)に働き、拡張した血管を収縮させることにより片頭痛をやわらげます。
- 三叉神経に作用し、炎症を引き起こす神経ペプチド(CGRP)を抑制します。
【臨床試験】
- 国内で臨床試験が行われています。服用後2時間から3時間後で、プラセボ(にせ薬)よりも有効率が高くなりました(有意差は確認できず)。さらに4時間後では、おおよそ70%の有効率に達し、有効率50%のプラセボに対し有意差を認めました(国内)。
- 海外での臨床試験では、服用後30分でプラセボに対し有意な効果を認めました。
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特徴 |
- 化学構造的にトリプタン系に分類されます。従来のエルゴタミン系薬剤に代わり、この系統が広く使われるようになりました。スマトリプタン(この薬)は、国内初のトリプタン系片頭痛治療薬です。
- 頭痛発現時に頓用する急性期治療薬です(予防薬ではない)。痛みが起きてから飲んでも、よい効果が期待できます。ただ、対症療法薬ですので、頭痛の原因そのものを治すことはできません。
- 第1世代のトリプタン系薬です。同系としては作用が強く速効性です。服用後30分くらいで効果がでてきます(ただし国内の試験では、4時間後において有効性がしめされる)。一方で、体の痛みや胸の圧迫感など副作用がややでやすいようです。
- 錠剤のほか、効き目が早い点鼻薬、速効性で効果が確実な注射薬などがあります。症状により使い分けますが、場合によっては併用することも可能です。
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注意 |
【診察で】
- 心臓の悪い人など、この薬が適さないことがあります。持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。別に薬を飲んでいる場合は、医師に伝えておきましょう。
- 【注意する人】
- 血管を収縮させる作用があるので、狭心症や心筋梗塞を悪化させるおそれがあります。循環器系に病気のある人は注意が必要です。
- 適さないケース..狭心症、心筋梗塞、脳血管障害(脳卒中)、末梢血管障害(血行障害)、コントロールされていない高血圧症、重い肝臓病などのある人。
- 注意が必要なケース..狭心症を起こす可能性のある人、てんかん、肝臓病、腎臓病、高血圧の人など。
- 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 別系統のエルゴタミン製剤といっしょに飲むと、血圧上昇など副作用がでやすくなるため併用できません。また、同じトリプタン系薬剤との同時服用もいけません。これらとは24時間以上間隔をあけて服用する必要があります。
- 飲み合わせの悪い薬..エルゴタミン系薬剤(クリアミン、パルタンMなど)、ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)、エレトリプタン(レルパックス)、リザトリプタン(マクサルト)、ナラトリプタン(アマージ)、MAO阻害薬
- 飲み合わせに注意..フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)、パロキセチン(パキシル)、セルトラリン(ジェイゾロフト)、ミルナシプラン(トレドミン)、デュロキセチン(サインバル)。
【使用にあたり】
- 頭痛が起きたときに飲んでください。ポイントは早めの使用です。前兆がある場合にはその後すぐに、ない場合には頭痛発現後10分以内が効果的です。なお、予防的には用いません。
- 決められた用法用量の範囲内で使用しましよう。追加服用する場合は、2時間以上間隔をあけるようにします。
- とくに飲み始めに、胸やノドのつかえ感・圧迫感、肩こり、体の痛み、ふわふわ感があらわれることがあります。これらは、たいてい一過性で心配いりませんが、早めに受診して医師に伝えてください。
- 効果がないときは、医師に相談してください。頭痛のタイプを再確認してもらいましょう。
- 【検査】
- 胸の痛みや圧迫感、違和感、動悸などの症状がみられた場合は、念のため心電図の検査を受けるようにしましょう。
【食生活】
- 眠くなることがあります。服用後の車の運転や危険な作業は避けてください。
- 過労を避け、規則正しい生活を守りましょう。
- 飲酒(とくに赤ワイン)や喫煙は控えてください。また、チョコレート、コーヒー、チーズ類も発作の引き金になることがあります。これらも、ほどほどにしておきましょう。
- 頭痛発現時は運動や入浴は避け、できるだけ安静にしていましょう。
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効能 |
片頭痛 |
用法 |
通常、成人はスマトリプタンとして1回50mgを片頭痛の頭痛発現時に経口服用する。なお、効果が不十分な場合には、追加服用をすることができるが、前回の服用から2時間以上あけること。また、50mgの経口服用で効果が不十分であった場合には、次回片頭痛発現時から100mgを経口服用することができる。ただし、1日の総服用量を200mg以内とする。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
おもな副作用は、動悸、めまい、吐き気、眠気、倦怠感、体の痛みなどです。また、飲み始めに、胸やノドのつかえ感・圧迫感を生じることがよくあります。
胸やノドの違和感については、念のため心電図検査を受ければ安心です。たいていは問題ないのですが、海外では狭心症や心筋梗塞が報告されています。とくに中高年の人は要注意です。
鎮痛薬や頭痛薬の使用過多により、薬剤性頭痛を生じるおそれがあります。この薬を使用してもまったく効かない場合、かえって悪化する場合は、医師に相談してください。薬剤性頭痛をふくめ、効きにくいタイプの頭痛かもしれません。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 心臓の異常(狭心症、心筋梗塞など含む)..胸の痛み・違和感・圧迫感、動悸、脈の乱れ、冷汗、締め付けられるような胸の痛み。
- ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔のむくみ・腫れ、のどが腫れゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
- てんかん様発作..けいれん
- 薬剤性頭痛..鎮痛薬や頭痛薬を多量または多種類飲んでも効かない、かえって悪化する。
【その他】
- めまい、フワフワ感、眠気、倦怠感
- 胸やノドのつかえ感・圧迫感、肩こり、体の痛み
- 吐き気、吐く
- 動悸、一過性の血圧上昇
- 蕁麻疹、発疹
- 味覚異常
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