概説 |
血圧を下げるお薬です。高血圧や狭心症の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 心臓や体の血管を広げて血流をよくします。そうすると血液の抵抗が減り、血圧が下がります。また、心臓の収縮をおさえて、心臓を休ませる働きもします。
おもに高血圧や狭心症の治療に使用されます。血圧を適切にたもつことは、将来起こるかもしれない脳卒中や心臓病、腎臓病を防ぐことにつながります。
そのほか、脳、腎臓、手足、目の網膜など体全体の血流を改善するので、いろいろな病気に応用されることがあります。

- 【薬理】

- 血管壁の細胞にカルシウムが流入すると、血管が収縮し血圧が上がります。このお薬は、カルシウムが細胞内に入るのをおさえます。その結果、血管が広がり血圧が下がります。このような作用から「カルシウム拮抗薬」と呼ばれています。
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特徴 |
- カルシウム拮抗薬に分類されます。この系統は、効き目がよく、また安全性が高いことから、高血圧症に対する第一選択薬の一つとして汎用されます。一般的には、安定した効果を発揮する持効タイプの製剤が用いられます(1日1回もしくは2回の服用でよいもの)。
- 血糖、尿酸、脂質などに影響しません。年齢を問わず広く用いることができます。とくに合併症の多い高齢の人に適します。
- 持効性のカルシウム拮抗薬を用いた長期臨床試験で、予後改善効果(長生き効果)も認められています。
- 同類薬としては、心臓の心拍をおさえる作用が強いのが特徴です。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人、また妊娠中の人は、医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬は、医師に伝えてください。

- 【注意する人】

- 心臓の働きが悪い人は、使用できないことがあります。高齢の人も副作用がでやすいので、少量より開始するなど慎重に用います。
- 適さないケース..重い心不全、重い心臓の刺激伝導障害や徐脈、妊娠中の人など。
- 注意が必要なケース..心不全、心臓の刺激伝導障害や徐脈、重い腎臓病、重い肝臓病、高齢の人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。飲み合わせによっては副作用がでやすくなります。服用中の薬を医師に報告しておきましょう。
- 抗C型肝炎ウイルス薬のアスナプレビル(スンベプラ、ジメンシー)、心不全治療薬のイバブラジン(コララン)、高脂血症治療薬のロミタピドメシル酸塩(ジャクスタピッド)とは併用できません。これらの血中濃度が上昇し、副作用が増強するおそれがあるためです。
- 他の降圧薬や利尿薬と併用するときは、血圧の下がりすぎに注意します。とくにβ遮断薬との併用では、徐脈にも注意が必要です。
- 心臓の薬のジギタリス薬(ジゴシン、ラニラピッド)と併用するときは、ジギタリス中毒や徐脈の副作用に注意が必要です。また、抗不整脈薬との併用でも徐脈を起こす可能性があります。
- ほかにも、睡眠薬のトリアゾラム(ハルシオン)、コレステロールの薬のシンバスタチン(リポバス)、喘息の薬のテオフィリン(テオドール)、抗けいれん薬のフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、結核の薬のリファンピシン(リファジン)、抗血栓薬のアピキサバン(エリキュース)、胃の薬のシメチジン(タガメット)、免疫抑制薬のシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、多発性硬化症治療薬のフィンゴリモド(ジレニア)など、相互作用を起こしやすい薬がたくさんあります。
- 飲酒は控えましょう。アルコールは、めまいや動悸などの副作用を強めます。
 【使用にあたり】
- 決められた飲み方、服用量を守ってください。
- 自分だけの判断で、量を減らしたり、飲むのをやめてはいけません。急に中止すると、反発的に症状が悪化するおそれがあります。中止するときは、医師の判断で徐々に減量するようにします。
- 飲み忘れにも注意してください。万一飲み忘れた場合、2回分を同時に飲んではいけません。

- 【検査】

- 心電図検査や血液検査をおこなうことがあります。決められた検査を受けるようにしましょう。

- 【妊娠・授乳】

- 基本的に妊娠中は禁忌です。けれど、特別に危険性が高いわけではありません。他の降圧薬が効かない場合など、医師の判断で用いることがあるかもしれません。
 【食生活】
- 血圧が下がり、めまいを起こすことがあります。車の運転や高所での危険な作業には十分注意してください。
- 本態性高血圧症では、生活習慣の見直しも大切。減塩などの食事療法、運動療法、肥満があれば体重を落とすだけでも血圧が下がるものです。軽い高血圧であれば、薬をやめられることもあります。できたら簡易血圧計で自宅で血圧測定をおこない、適切に血圧がコントロールされているかチェックすることをおすすめします。
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効能 |
- 狭心症、異型狭心症。
- 本態性高血圧症(軽症〜中等症)。
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用法 |
 【一般製剤】
- 狭心症、異型狭心症..通常、成人はジルチアゼム塩酸塩として1回30mgを1日3回経口服用する。 効果不十分な場合には、1回60mgを1日3回まで増量することができる。
- 本態性高血圧症(軽症〜中等症)..通常、成人はジルチアゼム塩酸塩として1回30〜60mgを1日3回経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
 【持効製剤(~R~L)】
- 本態性高血圧症(軽症〜中等症)..通常、成人はジルチアゼム塩酸塩として1日1回100〜200mgを経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 狭心症、異型狭心症..通常、成人はジルチアゼム塩酸塩として1日1回100mgを経口服用する。効果不十分な場合には、1日1回200mgまで増量することができる。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
注意する症状として、脈が遅くなる「徐脈」があります。とくに、もともと心臓の弱っている人や、高齢の人は注意してください。もし、脈が1分間に50以下になるようでしたら、できるだけ早く受診しましょう。
そのほか、顔の潮紅、頭痛、めまいなどがみられます。これらは、徐々に慣れてくることが多いのですが、ひどいときは早めに受診してください。
長く飲み続けるていると、足の甲がむくんだり、歯肉が腫れてくることがあります。歯肉の腫れは、歯肉をよくブラッシングし口内を清潔に保つことで、ある程度予防可能なようです。
重い副作用はほとんどありませんが、肝障害や皮膚障害が報告されています。以下のような症状に念のため注意してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 心不全、心ブロック、高度な徐脈..息苦しい、胸が苦しい、動悸、疲れやすい、むくみ、急な体重増加、脈が飛ぶ、脈が1分間50以下、めまい、気が遠くなる、失神。
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
 【その他】
- 徐脈、動悸、胸の痛み
- 顔のほてり、潮紅、頭痛
- だるい、めまい、立ちくらみ、血圧低下
- 足のむくみ、歯肉の腫れ
- 発疹、かゆみ
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