概説 |
血液中のコレステロールや中性脂肪を減らすお薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 高脂血症は、血液中のコレステロールや中性脂肪が多すぎる状態です。自覚症状がなくても、長い間に動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞の原因にもなりかねません。このお薬で血液中のコレステロールを低下させていれば、将来起こるかもしれない心筋梗塞の危険性を少なくすることができます。
 【薬理】
- 中性脂肪(トリグリセライド)低下作用..中性脂肪の消失速度を早めたり、生合成を抑制します。
- 総コレステロール低下作用..肝臓でのコレステロールの合成を抑制し、また胆汁中への排泄を促進します。悪玉コレステロール(LDL)が減少する一方、善玉コレステロール(HDL)はむしろ増加します。
- 血中脂質動態を改善することで、動脈硬化を抑制します。
 【臨床試験】
- 長期使用における真の有用性について、十分に実証されているわけではありません。とくに心筋梗塞の少ない日本人では、よく分かっていません。
- 同系のベザフィブラートによる予後改善効果を調べた研究があります。高トリグリセリド血症で狭心症など心臓病のある人を対象にした比較試験です。そのようなリスクの高い人では、ベザフィブラートの服用により、心筋梗塞や心臓死が約4割減少することが示されました。
- コレステロール値が平均250の男性1万人を2つのグループに分け、同系のクロフィブラートとプラセボ(にせ薬)の効果を比較した研究があります。4年目の総死亡率は、クロフィブラートを飲んでいた人のほうが、かえって高いという意外な結果でした。
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特徴 | フィブラート系の抗高脂血症薬です。この系統は、とくに中性脂肪を低下させる作用が強いので、中性脂肪が多いタイプに向いています。コレステロール値だけが高い高脂血症には、第一選択されません。 |
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は、また妊娠中の人は、医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬は、医師に伝えておきましょう。

- 【注意する人】

- 腎臓の悪い人や胆石のある人は、副作用がでやすいので、使用できないことがあります。高齢の人も、少量にするなど慎重に用います。
- 適さないケース..重い腎臓病、胆石のある人、妊娠中。
- 注意が必要なケース..腎臓病、肝臓病、高齢の人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 他のスタチン系のコレステロールの薬といっしょに飲むと「横紋筋融解症」という筋肉の副作用がでやすくなります。とくに腎臓の悪い人は、原則的に併用しないことになっています。また、抗凝血薬のワルファリンや血糖降下薬の作用を強めるおそれがあります。
- 飲み合わせに注意..スタチン系コレステロール低下薬(メバロチン、リポバス、リピトール、ローコール)、ワルファリン、血糖降下薬など。
 【使用にあたり】
- 症状や体質によって飲む量が異なります。指示どおりに正しくお飲みください。高齢の人や腎臓の働きの悪い人は、より少量となることがあります。
- 長期に飲み続けることが多いです。

- 【検査】

- 定期的に決められた検査を受け、効果や副作用をチェックするようにしましょう。肝機能検査、腎機能検査、血液の検査が大切です。

- 【食生活】

- 食事療法、運動療法、適切な体重の維持、禁煙なども大切です。これらをきちんとおこなえば、薬を飲まなくて済むことが多いものです。薬を飲みはじめても、不摂生をしては意味がありません。
 【備考】
- 総コレステロール値が240くらいになると、薬による治療が考慮されます。けれど、単純にコレステロール値だけでは判断できません。喫煙、肥満、年齢、高血圧、糖尿などがあり、心筋梗塞を起こす危険性の高い人は、より低い値でも服用をすすめられるものです。逆に、コレステロールが多少高いだけで、その他のリスクがなければ、260くらいでも必ずしも治療の必要性が高いとはいえません。とくに、もともと心筋梗塞の少ない日本人女性での有用性については議論のあるところです。
- 高脂血症の日本人5万人を対象に、別の系統のコレステロール低下薬を用いた長期大規模臨床試験が行われています。これによると、総コレステロール値が200〜280くらいまでは死亡率に大きな差はありませんでした。かえって200以下になった人では、がんによる死亡や総死亡率が高くなる傾向が示されました。
- コレステロールは、体の免疫細胞やホルモンを作るのに欠かせません。やみくもにコレステロール値を下げればよいというものではありません。
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効能 |
高脂血症。 |
用法 |
通常、成人はクロフィブラートアルミニウムとして1回500mgを1日3回毎食後に経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
注意したいのは、筋肉が障害を受ける「横紋筋融解症」です。まれな副作用ですが、とくに腎臓の悪い人、高齢の人は注意が必要です。また、別のスタチン系のコレステロール低下薬といっしょに飲むと起こりやすいといわれます。足のふくらはぎなどに筋肉痛があらわれたら、すぐに受診してください。
そのほか、わりと多いのは腹痛や吐き気など胃腸症状です。また、特異な副作用として胆石や肝障害もあります。決められた検査を受け、副作用のチェックしてもらうことが大切です。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 横紋筋融解症..手足のしびれ・けいれん、力が入らない、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 無顆粒球症..発熱、のどの痛み、口内炎、咳、だるい。
 【その他】
- 吐き気、食欲不振、腹痛
- 胆石..右上腹部から右背部にさしこむような痛み。
- 脱力感、性欲の低下、発疹
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