概説 |
血液中の脂肪分を減らすお薬です。 |
作用 |
- 【作用】
- 高脂血症は、血液中のコレステロールやトリグリセライドが多すぎる状態です。自覚症状がなくても、長いあいだに動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞、脳卒中の原因にもなりかねません。
このお薬には、トリグリセライドいわゆ中性脂肪を減らす作用があります。高脂血症が改善されれば、動脈硬化がおさえられ将来起こるかもしれない狭心症や心筋梗塞の危険性が低くなるのです。
- 【薬理】
- 肝臓からのトリグリセライド分泌を抑制し、さらに血中からのトリグリセライド消失を促進することなどによりトリグリセライドを低下させます。そのほか、抗血小板作用により、血液を固まりにくくする性質もあります。
- 【臨床試験】
- トリグリセライド値が高い患者さん610人をクジ引きで3つのグループに分け、この薬の効果を既存の類似薬イコサペント酸エチル(エパデール)と比較する試験がおこなわれています。第一のグループ205人はこの薬を1日2g服用、第二のグループ210人はこの薬を1日4g服用、第三のグループ195人はイコサペント酸エチルを1.8g(通常量)服用します。有効性を判定する評価項目は、服用3カ月後の血中トリグリセライド値の低下率です。
その結果、この薬を1日2g飲んでいた人達のトリグリセライド値の低下率は平均でおおよそ11%(269→238mg/dL)、1日4g飲んでいた人達の低下率は約23%(278→209mg/dL)でした。一方、イコサペント酸エチルを飲んでいた人達は約11%(272→238mg/dL)低下しました。1日2gの場合は従来のイコサペント酸エチルと同等の効果が得られ、さらに1日4gにおいてはイコサペント酸エチル(通常量服用時)を上回る低下作用が確かめられたわけです。ただし、実際に心筋梗塞を予防できるかなど、長期余後の改善効果については、まだ十分検証されていません。
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特徴 |
- オメガ‐3脂肪酸エチルを有効成分とする高脂血症治療薬(脂質異常症治療薬)です。オメガ‐3脂肪酸エチルは魚の油成分から製造され、イコサペント酸エチル(EPA-E)とドコサヘキサエン酸エチル(DHA-E)を主とした複数の成分から構成されています。
- おもにトリグリセライド(中性脂肪)を低下させます。コレステロールを低下させる作用はほとんどありません。このため高脂血症のうち高トリグリセライド血症をともなう場合に有用です。また、肝臓病や腎臓病を合併しフィブラート系薬剤が使いにくいときにも処方可能です。コレステロール低下作用をもつスタチン薬と併用することもできます。
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注意 |
【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬を医師に教えてください。
- 手術や抜歯の予定のある人は、事前に医師と相談しておきましょう。出血が止まりにくくなることがあります。
- 【注意する人】
- 血が止まりにくくなるので、出血をともなう病気のある人は使用できません。たとえば、血友病、消化管出血、尿路出血、喀血、眼底出血などです。
- 適さないケース..出血をともなう病気のある人
- 注意が必要なケース..出血しやすい病気、重度の外傷、手術を予定している人
- 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- ワルファリン(ワーファリン)、エドキサバン(リクシアナ)、アスピリン(バイアスピリン、バファリン)やクロピドグレル(プラビックス)など他の抗血栓薬と併用のさいは出血に注意が必要です。併用により出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなるおそれがあるためです。
【使用にあたり】
- 通常、1日1回1包(2g)服用します。病状によっては1日2回になるかもしれません。予防薬なので長く飲み続けることが多いです。
- 食後すぐに飲むようにしてください。空腹時では吸収が悪いです。噛まずに多めの水で飲みましょう。
- 手術や抜歯のさいは1週間くらい前から一時中止したほうが無難です。早めに医師の指示をあおいでください。
- 【検査】
- 血中脂質値を定期的に検査し、薬の効き具合を調べます。コレステロール(LDL-C)値がかえって上昇する可能性についても留意します。
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効能 |
高脂血症 |
用法 |
通常、成人はオメガ-3脂肪酸エチルとして1回2gを1日1回、食直後に経口服用する。ただし、トリグリセライド高値の程度により1回2g、1日2回まで増量できる。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうです。人によっては下痢を起こすかもしれませんが、重症化することはないでしょう。万一、吐き気や発熱、皮膚や白目が黄色くなるといった肝臓の副作用が疑われる症状、あるいは鼻血など出血傾向がみられる場合はすぐに受診してください。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
【その他】
- 下痢、吐き気、腹痛、味覚異常
- 鼻血、歯ぐきの出血、皮下出血(青あざ)、血尿、生理の出血が多い
- 肝機能値の異常
- 発疹、かゆみ
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