おくすり110番
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成分(一般名) エゼチミブ/アトルバスタチンカルシウム
製品例 アトーゼット配合錠LD~HD ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 高脂血症用剤/配合剤/小腸コレステロールトランスポーター阻害剤/HMG-CoA還元酵素阻害剤配合剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 血液中のコレステロールを減らすお薬です。
作用

【働き】

高コレステロール血症は、血液中のコレステロールが多すぎる状態です。自覚症状がなくても、長い間に動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞、あるいは脳卒中の原因になりかねません。

このお薬には、2種類のコレステロール低下薬が含まれます。1つは「小腸コレステロールトランスポーター阻害薬」と呼ばれるエゼチミブ(ゼチーア)。小腸でコレステロールの吸収を妨げる作用があります。もう1つは、スタチン薬のアトルバスタチンです。こちらは、肝臓でのコレステロール合成をおさえます。

2成分の併用により、血中コレステロールが相補的に低下し、単独治療を上回る効果が得られるのです。心筋梗塞の多くは、プラークという血管のコブが破れ血管が詰まることで起こります。コレステロールを十分に下げれば、プラークが安定し破れにくくなります。心筋梗塞をすでに起こしたことのある人は、再梗塞の予防につながります。

【薬理】

エゼチミブは、コレステロール吸収を担う小腸コレステロールトランスポーター(NPC1L1)に結合することで、胆汁性および食事性コレステロールの吸収を選択的に阻害します。いわゆる悪玉コレステロールとされるLDLコレステロールが減る一方、善玉のHDLコレステロールはむしろ増加します。

アトルバスタチンは、コレステロール生合成にかかわるHMG-CoA還元酵素を選択的かつ競合的に阻害することにより、肝臓でのコレステロール産生を抑えます。同系のなかでも強力なほうで、とくにLDLコレステロールを減らす作用が強く、さらに中性脂肪(トリグリセライド)も減少させます。強力なコレステロール低下作用により、血中脂質動態を改善し、動脈硬化の進展抑制が期待できます。

【臨床試験-1】

この薬の配合剤としての有効性を確かめる試験が行われています。参加したのは高コレステロール血症の患者さん309人。5つのグループに分かれ、第1のグループはこの薬の低用量配合剤LD(EZ10 mg+AT10mg)を服用、第2のグループは高用量配合剤HD(EZ10mg+AT20 mg)を、第3のグループはエゼチミブ単剤(EZ10mg)を、第4のグループはアトルバスタチン低用量単剤(AT10mg)を、第5のグループはアトルバスタチン高用量単剤(AT20mg)を服用します。そして、3カ月後のLDLコレステロール値の低下率を比較するのです。

その結果、低用量配合剤LDを飲んでいた人達の低下率は平均56%(164.6→72.8mg/dL)、高用量配合剤HDの人達は60%(172.6→68.2mg/dL)でした。一方、各単剤のグループでは、エゼチミブ単剤で19%(163.4→131.6mg/dL)、アトルバスタチン低用量単剤で44%(164.8→91.4mg/dL)、アトルバスタチン高用量単剤(AT20mg)で49%(166.2→84.1mg/dL)でした。この薬を使用していた人達のほうが、各単剤に比べ低下率が明らかに大きく、配合剤としての有効性が証明されたわけです。また、副作用についても、単剤と大きな違いはなく、特に問題ありませんでした。

【臨床試験-2】

参考までですが、スタチン薬・エゼチミブ併用治療とスタチン薬単独治療の予後を比較する長期大規模試験(IMPROVE-IT)がおこなわれています。スタチン薬は、スタンダードスタチンのシンバスタチンを使用(この薬はストロングスタチンのアトルバスタチン)。参加したのは日本を含む39カ国1147施設の約18000人。対象となった患者さんは、年齢50歳以上、重い急性冠症候群(狭心症や心筋梗塞)により入院後10日以内です。

くじ引きで半々に分かれ、9000人はシンバスタチンとエゼチミブを併用、別の9000人はシンバスタチンだけ服用します。そして、心血管に関連した‘心血管イベント発生率’を比較するのです。具体的なイベントとして、心臓血管死、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症による入院、再血行再建、非致死的脳梗塞などが含まれます。

その結果、7年間のイベント発生率は、シンバスタチン・エゼチミブ併用治療をおこなった人達で32.7%、シンバスタチン単独治療の人達で34.7%でした。2%差と大きな差はでませんでしたが、参加人数が多いため、統計学的な有意差が得られました。小差とはいえ、シンバスタチンとエゼチミブを併用したほうが心血管イベントをより抑制できたわけです。ただし、対象となった患者さんは急性冠症候群をすでに起こしている人に限ります。また、それほど強くないスタンダードスタチンとの比較試験である点に留意する必要があります。
特徴
  • 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬とスタチンことHMG-CoA還元酵素阻害薬が配合される脂質異常症治療薬です。作用機序が異なる2剤の併用により、コレステロール低下作用のいっそうの増強が見込めます。この組み合わせは、実際の医療現場でもしばしば処方されています。
  • 原則、第一選択薬とはしません。まずは、スタチン単剤での治療を優先します。処方対象となるのは、スタチン薬で効果不十分な場合、あるいは同成分による併用治療をすでにおこなっている場合です。
  • 配合剤ですので、2剤による併用治療が簡便におこなえます。以前のように別々に飲む必要がなく、服薬回数も1日1回で済みます。
  • 配合量の異なるLDとHDの2種類の製剤が販売されています。LDはアトルバスタチンの含量が10mgの低用量製剤、HDは20mgの高用量製剤です。エゼチミブの配合量はどちらも同じ10mgになります。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 使用している薬を医師に教えてください。また、別の病気で他の病院にかかるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。飲み合わせによっては、副作用がでやすくなります。

【注意する人】

重い肝臓病のある人は使用できません。病状が悪化したり、薬の血中濃度が上昇し副作用がでやすいためです。腎臓病またはその既往歴のある人は、横紋筋融解症の発現に注意するなど慎重に用います。

  • 適さないケース..重い肝臓病、妊娠中、授乳中の人。
  • 注意が必要なケース..肝臓病、腎臓病、糖尿病、甲状腺機能低下症、筋ジストロフィー、酒量の多い人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

飲み合わせによっては、この薬の血中濃度が上昇し「横紋筋融解症」という筋肉の副作用がでやすくなります。この理由で禁止されるのが、C型慢性肝炎治療薬のグレカプレビル・ピブレンタスビルです。フィブラート系高脂血症薬や免疫抑制薬のシクロスポリン、抗真菌薬のイトラコナゾール、マクロライド系抗生物質のエリスロマイシンなども要注意。とくに腎臓病のある人は、フィブラート系薬との併用は治療上やむを得ない場合に限り、併用の際は定期的に腎機能検査を実施するなどします。また、コレスチラミンやコレスチミドに代表されるイオン交換樹脂製剤と併用する場合は、服用間隔を十分あける必要があります。

  • 飲み合わせの悪い薬..グレカプレビル・ピブレンタスビル(マヴィレット)。
  • 飲み合わせに注意..フィブラート系薬(ベザトール、リピディル、トライコア、パルモディア等)、ニコチン酸(ペリシット、コレキサミン等)、免疫抑制薬のシクロスポリン(ネオーラル)、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、マクロライド系抗生物質のエリスロマイシン(エリスロシン)やクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、C型慢性肝炎治療薬のグラゾプレビル(グラジナ)、抗菌薬のリファンピシン(リファジン)、イオン交換樹脂製剤のコレスチラミン(クエストラン)やコレスチミド(コレバイン)、強心薬のジゴキシン(ジゴシン)など。
  • 飲酒はほどほどにしましょう。大量のアルコールは、肝臓や横紋筋融解症の副作用をでやすくします。

【使用にあたり】
  • 通常、1日1回食後に1錠を飲みます。長く続けることが多いです。
  • 飲み忘れた場合、気付いたときに飲んでください。ただし、翌日になってしまったら、忘れた分は抜かし、次の通常の時間に1回分服用してください。2回分を一度に飲んではいけません。

【検査】

決められた検査を受け、効果や副作用をチェックしてもらいましょう。とくに、肝機能検査が大事です。飲み始めに1回、それ以降も半年に1回程度おこないます。

【妊娠授乳】
  • おなかの赤ちゃんの発育に悪い影響をおよぼすおそれがあります。妊娠中の服用は避けてください。
  • 授乳中も控えてください。母乳中に薬が移行する可能性があります。

【食生活】
  • 食事療法や運動療法、適切な体重の維持、禁煙なども大切です。これらをきちんとおこなえば、薬を飲まなくて済むかもしれません。薬を飲みはじめても、不摂生をしては意味がありません。
  • グレープフルーツジュースは飲まないほうがよいでしょう。この薬の血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがあるためです。

【備考】
  • コレステロールは、臨床的意義により大きく2つのタイプに分類されます。一つは悪玉とされるLDLコレステロール、もう一つは善玉のHDLコレステロールです。LDLは肝臓からコレステロールを全身の組織に運ぶ役目をしているのですが、多すぎると血管内壁に入り込み動脈硬化をすすめます。一方、善玉とされるHDLは、全身の組織から余分なコレステロールを回収し肝臓に戻します。このHDLコレステロールが少なすぎるのも良くないので、脂質異常症(高脂血症)のひとつの判定基準になります。
  • 薬を飲む必要があるかは、単にコレステロールの値だけで判断できません。喫煙、肥満、年齢、高血圧、糖尿などがあり、心筋梗塞を起こす危険性の高い人は、より低い値でも服薬をすすめられるものです。逆に、コレステロール値が多少高いだけで、その他のリスク要因が少ないのであれば、必ずしも薬物治療を必要としません。とくに、もともと心筋梗塞の少ない日本人女性での有用性については議論のあるところです。
  • コレステロールは体に必要なものです。免疫細胞やホルモンを作るのにも欠かせません。やみくもにコレステロール値を下げればよいというものではありません。
効能 高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症
用法 通常、成人は1日1回1錠(エゼチミブ/アトルバスタチンとして10mg/10mg又は10mg/20mg)を食後に経口服用する。
  • [注意1]エゼチミブとアトルバスタチンカルシウム水和物の用法・用量を踏まえ、患者毎に本剤の適用を考慮すること(単剤の用法・用量は省略)。
  • [注意2]原則として、エゼチミブ10mg及びアトルバスタチンとして10mgを併用している場合、あるいはアトルバスタチンとして10mgを使用し効果不十分な場合に、本剤LD(エゼチミブ/アトルバスタチンとして10mg/10mg)の適用を検討すること。
  • [注意3]原則として、エゼチミブ10mg及びアトルバスタチンとして20mgを併用している場合、あるいはアトルバスタチンとして20mg又はエゼチミブ/アトルバスタチンとして10mg/10mgを使用し効果不十分な場合に、本剤HD(エゼチミブ/アトルバスタチンとして10mg/20mg)の適用を検討すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 副作用は少ないほうです。人によっては、軽い吐き気や便秘など胃腸症状があらわれるかもしれません。肝機能値の多少の変動は心配ないと思いますが、ごくまれに重い肝炎を起こすことがあります。ひどい吐き気や嘔吐、倦怠感、皮膚や白目が黄色くなる といった症状に注意し、そのような場合は飲むのをやめ、医師に連絡してください。

念のため注意したいのは、筋肉が障害を受ける「横紋筋融解症」です。まれな副作用ですが、とくに腎臓の悪い人や高齢の人など要注意。また、フィブラート系の高脂血症の薬といっしょに飲むと起こりやすいといわれます。万一、足のふくらはぎなどに筋肉痛があらわれたら、すぐに受診してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 横紋筋融解症、ミオパチー..手足のこわばり・しびれ、筋肉のぴくつき、脱力、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
  • 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 重い過敏症..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。
  • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。

【その他】
  • 肝機能値の異常..AST、ALT等の肝機能値が上昇(まれに肝障害にいたることがあるので要注意)。
  • 腹部膨満、吐き気、腹痛、便秘、下痢、胃炎
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye