おくすり110番
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成分(一般名) アンブリセンタン
製品例 ヴォリブリス錠2.5mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の循環器官用薬/エンドセリン受容体拮抗薬/エンドセリン受容体拮抗薬

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 肺動脈性肺高血圧症のお薬です。
作用

【働き】

肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、心臓から肺に血液を送る肺動脈が狭くなり、肺動脈の血圧が高くなる病気です。肺動脈の血流悪化から、息切れ、呼吸困難、疲労、運動能力低下などがあらわれ、日常生活にも支障がでてきます。進行すると心不全を引き起こし、予後も好ましくありません。

このお薬は、そのような症状を改善する肺動脈性肺高血圧症治療薬です。血管収縮をもたらす体内物質エンドセリンに対抗することで、血管の収縮を抑制し肺動脈圧を低下させます。肺の血流が改善すると、息切れや呼吸困難がやわらぎ、運動耐容能の向上にもつながるのです。また、病気の進行を遅らせ、より長生きできる可能性があります。

【薬理】

エンドセリンは、血管の収縮を担う体内物質なのですが、病的な血管では過度な血管収縮や細胞増殖を引き起こすことがあります。このエンドセリンが結合する受容体には、エンドセリンA受容体とエンドセリンB受容体の2つのタイプがあることが知られ、なかでもA受容体は肺動脈性肺高血圧症の病態により深く関与していると考えられています。

この薬は、肺血管に存在するエンドセリンA受容体を選択的に阻害することで、エンドセリン上昇にともなう血管収縮や細胞増殖・肥大化などの有害作用を抑制します。その結果、肺動脈圧や肺血管抵抗が低下し、肺高血圧症にともなう種々の臨床症状が改善するのです。このような作用機序から選択的エンドセリンA受容体拮抗薬と呼ばれています。

【臨床試験】

この薬の有効性をプラセボ(にせ薬)と比較する臨床試験が行われています。有効性を評価するための主要評価項目は、服薬3カ月後の6分間歩行距離の平均変化量です。6分間歩行距離は運動耐容能を検査するために行なわれますが、将来的な生命予後とも相関があるのではと推察されています。

その結果、この薬を飲んでいた人達261人の3カ月後の6分間歩行距離の平均変化量は+34m、プラセボの人達132人では-9mでした。プラセボの9m減少に対し、この薬では明らかに増加し運動耐容能が向上できたわけです。さらに、副次評価項目として肺動脈圧の改善や、病状が悪化するまでの時間が延長するなど有効性を裏付ける結果が得られています。
特徴
  • 国内で2番目のエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)です。化学構造からはプロピオン酸系になります。この系統は、中等度からやや重い肺動脈性肺高血圧症(WHO機能分類クラスU〜V)に対して最も推奨度の高い治療薬として位置付けられます。なお、同系の薬剤としてボセンタン(トラクリア)とマシテンタン(オプスミット)が販売されています。
  • エンドセリン受容体拮抗薬のうち、エンドセリンA受容体を強く阻害する選択的エンドセリンA受容体拮抗薬になります。高い効果が期待できる反面、類薬に比べ浮腫や肺水腫を起こしやすい性質があります。
  • 服用回数が1日1回で済み、また飲み合わせによる相互作用が少ないことも利点です。類似薬のボセンタンに比べ、肝機能障害を引き起こす危険性が低く、ボセンタンで禁忌にあたる中等度の肝障害例においても注意深く用いることができます。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、授乳中の人は医師に伝えてださい。また、妊娠可能な女性は避妊の重要性について医師から十分説明を受けてください。

【注意する人】

肝臓の悪い人は使用できないことがあります。事前に肝機能検査をおこない、治療の適否を判断しなければなりません。妊娠中は禁止です。

  • 適さないケース..重い肝臓病のある人、妊娠中。
  • 注意が必要なケース..肝機能値の悪い人、肝臓病、重い腎臓病、重い貧血、間質性肺炎、肺線維症、肺静脈閉塞性疾患を合併している人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

免疫抑制薬のシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)と飲み合わせると、この薬の血中濃度が上昇する可能性があります。併用するのなら、成人は1日1回5mg、50kg未満の小児は1日1回2.5mgを上限とします。

【使用にあたり】

病状や体質、また治療方針によって飲み方が違います。決められた飲み方を守りましょう。通常、1日1回、1回に2錠(5mg)服用します。

【検査】

副作用をチェックするため、定期的に検査を受ける必要があります。とくに重要なのが血液検査と肝機能検査です。貧血の有無、ヘモグロビン量、肝酵素値、ビリルビン値などに異常がないか調べます。女性では、必要に応じて妊娠検査をおこないます。

【妊娠・授乳】
  • 妊娠可能な女性は、服薬に先立ち妊娠検査を実施します。治療開始後も、1カ月に1回妊娠検査ををおこない、妊娠していないことを確認するようにします。
  • 信頼できる避妊法で妊娠を避けなければなりません。避妊薬を飲んでいても、コンドームを併用したほうがより確実です。期間は服用中と中止後1カ月間です。もし、妊娠した場合もしくはその疑いがある場合には、直ちに医師に連絡したてください。

【備考】

肺動脈性肺高血圧の発現機序としてエンドセリン(ET)経路、プロスタサイクリン(PGI2)経路、一酸化窒素(NO)経路の3つが重要な役割をしています。この3経路に対する薬剤として、それぞれエンドセリン受容体拮抗薬(この薬)、プロスタサイクリン薬(PGI2誘導体)、PDE5阻害薬とsGC刺激薬が開発されています。病態や重症度から適切な薬剤を選び、単薬治療で効果不十分な場合は異なる系統を組み合わせる併用療法をおこないます。
効能 肺動脈性肺高血圧症
用法

【成人】

通常、成人はアンブリセンタンとして5mgを1日1回経口服用する。なお、症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量する。

【小児】

通常、8歳以上の小児は、体重に応じアンブリセンタンとして下記の服用量を1日1回経口服用する。

  • 20〜35kg未満:通常、2.5mgとし症状に応じて1日5mgを超えない範囲で適宜増量する。
  • 35〜50kg未満:通常、5mgとし症状に応じて1日7.5mgを超えない範囲で適宜増量する。
  • 50kg以上:通常、5mgとし症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量する。

【注意】

シクロスポリンと併用する場合には、本剤は成人及び50kg以上の小児は1日1回5mg、50kg未満の小児は1日1回2.5mgを上限として服用すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 頭痛が3人に1人くらいの割合で起こります。そのほか、顔のほてり、鼻づまり、手足のむくみ、発疹などの頻度が高いほうです。また、血液検査で貧血(ヘモグロビン減少)がみつかることがあります。

多くはありませんが、体液貯留や心不全を起こす可能性があります。急激な体重増加、息苦しさ、動悸などの症状に注意しましょう。この場合、薬に起因するものか、もともとの病気によるものか原因をはっきりさせることが重要です。

類似薬の副作用として、重い肝障害が認められています。そのため、定期的に肝機能検査をおこない 異常がないかチェックする必要があります。臨床症状としては、皮膚や白目が黄色くなる、食欲不振や吐き気、発熱などに注意してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い貧血..疲れやすい、息切れ、動悸、頻脈、めまい、顔色が悪い。
  • 浮腫..むくみ、急激な体重増加。
  • 心不全..疲れやすい、息苦しい、息切れ、むくみ、急な体重増加、痰、ゼィゼィ、咳、頻脈。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。

【その他】
  • 頭痛、ほてり、潮紅、鼻づまり
  • むくみ、動悸、低血圧
  • 喀血、鼻出血
  • かゆみ、発疹
  • 肝機能異常、貧血、ヘモグロビン減少
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye