おくすり110番
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成分(一般名) マシテンタン
製品例 オプスミット錠10mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の循環器官用薬/エンドセリン受容体拮抗薬/エンドセリン受容体拮抗薬

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 肺動脈性肺高血圧症のお薬です。
作用

【働き】

肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、心臓から肺に血液を送る肺動脈が狭くなり、肺動脈の血圧が高くなる病気です。肺動脈の血流悪化から、息切れ、呼吸困難、疲労、運動能力低下などがあらわれ、日常生活にも支障がでてきます。進行すると心不全を引き起こし、予後も好ましくありません。

このお薬は、そのような症状を改善する肺動脈性肺高血圧症治療薬です。血管収縮をもたらす体内物質エンドセリンに対抗することで、血管の収縮を抑制し肺動脈圧を低下させます。肺の血流が改善すると、息切れや呼吸困難がやわらぎ、運動耐容能の向上にもつながるのです。また、病気の進行を遅らせ、より長生きできる可能性があります。

【薬理】

エンドセリンは、強力な血管収縮物質です。病的な血管では、エンドセリンが増加し過度な血管収縮をもたらします。エンドセリンが結合する受容体には、エンドセリンA受容体とエンドセリンB受容体の2つのタイプがあります。この薬は、A、B両方への結合を阻害することにより、血管の収縮をおさえ肺動脈圧を低下させます。このような作用機序からデュアルエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)と呼ばれることがあります。

【臨床試験】

病気の予後について、プラセボ(にせ薬)と比較する試験が海外でおこなわれています。参加した患者さんの大部分はWHO機能分類2または3の中等度からやや重い肺動脈性肺高血圧症の患者さんです。このうち242人はこの薬を、別の250人はプラセボを服用します。

そして、予後を評価するため、病気の悪化・転帰がいつ起こるか3年間に渡り見守ります。何をもって転帰とするかは事前に詳細に決められ、これには死亡、心房中隔切開術、肺移植、PGI2製剤の注射、その他の臨床的悪化(6分間歩行の減少、WHO機能分類の悪化、心不全の発現または悪化、治療薬追加のすべてを満たす場合)が含まれます。

その結果、この薬を飲んでいた人達で病気が悪化・転帰した人は76人(76/242人)、プラセボの人達で116人(116/250人)でした。この薬のほうが明らかに少なく、半分ほどです(ハザード比0.55)。言いかえれば、病状を安定させ進行を遅らせる効果が期待できるわけです。さらに、小人数の試験になりますが、国内でおこなわれた別の臨床試験でも、薬力学的評価項目として肺血管抵抗、6分間歩行距離、WHO機能分類クラスの改善効果などが認められています。
特徴
  • 国内で3番目のエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)です。化学構造からはスルファミド-ピリミジン誘導体になります。この系統は、中等度からやや重い肺動脈性肺高血圧症(WHO機能分類クラスU〜V)に対して最も推奨度の高い治療薬として位置付けられます。なお、同系の薬剤としてアンブリセンタン(ヴォリブリス)とボセンタン(トラクリア)が発売済みです。
  • エンドセリン受容体拮抗薬のうち、エンドセリンA受容体とB受容体の両方を阻害するデュアルエンドセリン受容体拮抗薬になります。特徴の一つとしてあげられるのは、選択的エンドセリンA受容体拮抗薬のアンブリセンタンにみられる浮腫や肺水腫の副作用が少ない点です。また、肝機能障害を引き起こす危険性が低く、ボセンタンで禁忌にあたる中等度の肝障害例においても注意深く用いることができます。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、授乳中の人は医師に伝えてださい。また、妊娠可能な女性は避妊の重要性について医師から十分説明を受けてください。

【注意する人】

肝臓の悪い人は使用できないことがあります。事前に肝機能検査をおこない、治療の適否を判断しなければなりません。妊娠中は禁止です。

  • 適さないケース..重い肝臓病のある人、妊娠中。
  • 注意が必要なケース..肝機能値の悪い人、肝臓病、重い腎臓病、重い貧血、低血圧のある人、肺静脈閉塞性疾患を合併している人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

飲み合わせによっては、この薬の血中濃度が低下し、治療効果が低下してしまいます。使用中の薬は必ず医師に報告し、また別の病院で診察を受けるときも この薬を飲んでいることを伝えてください。

  • 作用減弱により禁止されるのは、結核・抗酸菌症治療薬のリファンピシン(リファジン)とリファブチン(ミコブティン)、抗けいれん薬のカルバマゼピン(テグレトール)とフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、フェノバルビタール(フェノバール)、それと健康食品やハーブティーとして販売されているセイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)です。
  • 逆に、この薬の血中濃度が上昇する飲み合わせもあります。たとえば、抗エイズウイルス薬のリトナビル(ノービア、カレトラ)やアタザナビル(レイアタッツ)、抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)などです。これらとの併用する場合は、副作用の発現に注意が必要です。

【使用にあたり】

通常、1日1回、1回に1錠(10mg)服用します。食事と関係なく飲めますが、とくに指示がなければ食後でいいと思います。

【検査】

副作用をチェックするため、定期的に検査を受ける必要があります。とくに重要なのが血液検査と肝機能検査です。貧血の有無、ヘモグロビン量、肝酵素値、ビリルビン値などに異常がないか調べます。女性では、必要に応じて妊娠検査をおこないます。

【妊娠・授乳】
  • 妊娠可能な女性は、服薬に先立ち妊娠検査を実施します。治療開始後も、1カ月に1回妊娠検査ををおこない、妊娠していないことを確認するようにします。
  • 信頼できる避妊法で妊娠を避けなければなりません。避妊薬を飲んでいても、コンドームを併用したほうがより確実です。期間は服用中と中止後1カ月間です。もし、妊娠した場合もしくはその疑いがある場合には、直ちに医師に連絡したてください。

【備考】

肺動脈性肺高血圧の発現機序としてエンドセリン(ET)経路、プロスタサイクリン(PGI2)経路、一酸化窒素(NO)経路の3つが重要な役割をしています。この3経路に対する薬剤として、それぞれエンドセリン受容体拮抗薬(この薬)、プロスタサイクリン薬(PGI2誘導体)、PDE5阻害薬とsGC刺激薬が開発されています。病態や重症度から適切な薬剤を選び、単薬治療で効果不十分な場合は異なる系統を組み合わせる併用療法をおこないます。
効能 肺動脈性肺高血圧症
用法 通常、成人は、マシテンタンとして10mgを1日1回経口服用する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 頭痛が3人に1人くらいの割合で起こります。そのほか、顔のほてり、鼻づまり、むくみ、めまいなどの頻度が高いほうです。また、血液検査で貧血(ヘモグロビン減少)がみつかることがあります。

類似薬の副作用として、重い肝障害が認められています。そのため、定期的に肝機能検査をおこない 異常がないかチェックする必要があります。臨床症状としては、皮膚や白目が黄色くなる、食欲不振や吐き気、発熱などに注意してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い貧血..息切れ、動悸、疲労、めまい、顔色が悪い。

【その他】
  • 頭痛、ほてり、潮紅、鼻づまり、めまい
  • むくみ、低血圧
  • かゆみ、発疹
  • 肝機能異常、貧血、ヘモグロビン減少、血小板減少
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用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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