概説 |
気管支を広げるお薬です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に用います。 |
作用 |
- 【働き】
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気道の閉塞症状をともなう慢性的な肺疾患です。タバコが主な原因とされ、カゼでもないのに痰や咳が出て胸苦しく、少し動くだけで息切れしたりします。
このお薬は、気管支を広げ空気の流れをよくする気管支拡張薬です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対して、長期管理薬として定期吸入することで、呼吸を楽にし息切れ症状をやわらげます。
- 【薬理】
- 気管支平滑筋にある交感神経のβ2受容体を刺激して気管支を広げます。このとき拡張するのは気管支の細い部分です。他の同類薬と比べ作用持続が長いのは、アルキル基側鎖の炭素数の増加に伴うものと考えられています。β2選択性が高いため、心臓など循環器系への悪影響は少ないほうです。
- 【臨床試験】
- 慢性閉塞性肺疾患の患者さんをクジ引きで分け、109人はこの薬を、別の104人はプラセボ(にせ薬)を使用し、その効果を比較する試験がおこなわれています。効果の判定は3ヶ月後の肺活量(FEV1:1秒間呼気量)でおこないます。肺活量は、慢性閉塞性肺疾患の重症度を客観的にとらえる重要な指標です。
結果は、この薬を吸入していた人達の肺活量は平均1.34(L)、プラセボの人達で1.17(L)でした。 この薬を使用していたほうが明らかに肺活量が高くなり、呼吸機能が改善することが証明できたわけです。また、別の長期試験でも、1年間にわたり肺活量の上昇が認められ、慣れによる効果の減弱もほとんどみられませんでした。
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特徴 |
- β2刺激薬に分類される気管支拡張薬(LABA)です。長時間作用型なので、1日1回の吸入で24時間効果が持続します。このため、維持管理薬として定期的に吸入するようにします。効果発現も速いほうなのですが、急性期に頓用することはありません。なお、有効成分のインダカテロールは、複合吸入剤のウルティブロ吸入用カプセルにも配合されています。
- 同類のサルメテロール(セレベント)に対する優越性が海外臨床試験で検証されています。また抗コリン薬のチオトロピウム(スピリーバ)と比べても同等ないしそれ以上の効果が期待できます。
- 1回分の吸入用粉末を1カプセルに充填したカプセル剤です。これを専用の吸入用器具「ブリーズヘラー」で吸入します。吸入抵抗の低い吸入器なので、楽に吸入できると思います。
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注意 |
【診察で】
- 高血圧や心臓病など、持病のある人は医師に話しておいてください。また、使用中の薬を医師に伝えてください。
- 正しい吸入方法の説明を受けておきましょう。
- 【注意する人】
- 交感神経を興奮させる作用があります。この影響を受けやすい高血圧や心臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病のある人は、症状の悪化に注意するなど慎重に使用するようにします。てんかんなど、けいれん性の病気も要注意です。
【飲み合わせ・食べ合わせ】
- アドレナリン(ボスミン)や、イソプレナリン(ストメリン、イソメニール、プロタノール)などカテコールアミン製剤との併用により動悸や不整脈の副作用がでやすくなります。
- テオフィリン(テオドール)、ステロイド薬、利尿薬などとの併用により、血清カリウム値が低下し不整脈が出現するおそれがあります。定期的に検査をするなど、慎重に併用する必要があります。
- β遮断薬はこの薬の作用を弱めます。Β遮断薬は高血圧や不整脈に用いるほか、点眼薬として緑内障の治療にも使いますから注意してください。ほかにも、抗生物質のエリスロマイシン(エリスロシン)やクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、心臓の薬のベラパミル(ワソラン)など注意が必要な薬がいろいろあります。使用中の薬を必ず医師に報告しておきましょう。
【使用にあたり】
- 吸入用カプセルです。必ず専用の吸入用器具「ブリーズヘラー」を使って吸入してください。カプセルのまま飲んではいけません。
- 1日1回、毎日一定の時間帯に吸入します。吸入できなかった場合は、翌日、いつも吸入している時間に1回分を吸入してください。1日1回までとし、また2回分を一度に吸入してはいけません。
- 吸入する直前にアルミシート(ブリスター)から取り出しましょう。具体的な使用方法は説明書にありますので、よく読んでその手順にそって吸入してください。透明カプセルなので、きちんと吸入できたか確認することができます。
- 【検査】
- とくに高血圧や心臓病のある人は、定期的に血圧測定や心電図検査をおこない、副作用がでていないかチェックします。また、必要であれば血液検査をおこない、カリウム値などに異常がないか調べます。
- 【食生活】
- 慢性閉塞性肺疾患の一番の原因はタバコ。タバコの煙が肺や気管支を傷つけ機能を悪くするのです。禁煙は治療の大前提です。
- 【備考】
- 慢性閉塞性肺疾患の治療の主役は気管支拡張薬。長時間作用性の抗コリン薬もしくはβ2刺激薬が第一選択され、効果不十分な場合には両者による吸入療法がおこなわれます。それでも増悪をくり返す場合、さらに吸入ステロイド薬を追加することもあります。いずれも対症療法薬ですので病気そのものは治せませんが、症状悪化による悪循環を断ち、進行をおさえて予後を改善するものと期待されるのです。
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効能 |
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解 |
用法 |
通常、成人には1回1カプセル(インダカテロールとして150μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
吸入後にむせたり、咳き込んだりすることがあります。たいてい心配ないと思いますが、ひどいようでしたら 早めに受診してください。正しく使用する限り重い副作用はまずありません。ただし、過剰使用により頭痛や動悸、手のふるえ、さらには低カリウム血症や重い不整脈を引き起こすおそれがあります。そのような副作用を避けるためにも、1日1回を超えないようにしてください。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 低カリウム血症..だるい、筋力低下(力が入らない)、便秘、動悸、脈の乱れ。
【その他】
- むせる、咳
- 動悸(ドキドキ感)、頻脈、不整脈
- 指や手のふるえ、筋肉けいれん
- 頭痛、じん麻疹
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