おくすり110番
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成分(一般名) グリコピロニウム臭化物
製品例 シーブリ吸入用カプセル50μg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 気管支拡張剤・他/抗コリン薬/長時間作用性吸入気管支拡張剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 気管支を広げるお薬です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に用います。
作用

【働き】

慢性閉塞性肺疾患いわゆるCOPDは、気管支や肺胞に病変を生じ、非可逆的な気道閉塞障害を起こす病気の総称です。咳や痰が多くなり、少しの動作で息切れするなど体動時の呼吸困難が特徴的です。これには従来の慢性気管支炎と肺気腫が含まれます。

この吸入薬の有効成分は気管支拡張薬です。吸入による直接作用で気管支の収縮をおさえ、気道の通気をよくして呼吸を楽にします。同系としては作用時間が長い長時間作用型です。吸入後まもなく効果があらわれ、約24時間持続します。このため、COPDの維持管理薬(予防薬)として用いられます。

【薬理】

気管支の収縮でかなめになるのがアセチルコリンという神経伝達物質です。つまり、肺の副交感神経系から遊離するアセチルコリンが、気管支平滑筋にあるムスカリン受容体に結合し、その刺激を受けて収縮するのです。この薬の有効成分のグリコピロニウムは、ムスカリン受容体と強く結合し、アセチルコリンの結合を競合的に阻害することにより、気管支収縮を強力かつ持続的に抑制します。このような作用から、抗コリン薬(抗アセチルコリン薬)、または作用する受容体の名前にちなみムスカリン受容体拮抗薬もしくはムスカリン性アセチルコリン受容体遮断薬などと呼ばれています。

【臨床試験-1】

この薬の有効性をプラセボ(にせ薬)と比較する臨床試験が各国共同でおこなわれています。参加したのは日本人96人を含む慢性閉塞性肺疾患の患者さん882人です。効果の主要な判定は3ヶ月後の肺活量(FEV1:1秒間呼気量)でおこないます。この肺活量は、慢性閉塞性肺疾患における呼吸機能を客観的にとらえる重要な指標です。ほかにも、呼吸や咳のでかたをふくめた健康関連の生活の質についても点数化し評価します。

その結果、この薬を吸入していた人達の肺活量は平均1.43(L)(1.31→1.43)、プラセボの人達で1.27(L)(1.26→1.27)でした。 使用前に比べ、この薬を使用していた人達は肺活量が10%近く上昇したのに対し、プラセボではほとんど変わりませんでした。この薬により呼吸機能が明らかに高まることが確認できたわけです。一方、生活の質の合計点数はプラセボと比べ3点ほどの改善にとどまりました。臨床的に意味のある最小の差は4点とされますので、こちらについては必ずしも十分な結果とはいえないかもしれません。

【臨床試験-2】

この薬の長期使用時の有効性について、既存の類似薬のチオトロピウム(スピリーバ)と比較する臨床試験が国内でおこなわれています。参加したのは慢性閉塞性肺疾患の日本人の患者さん163人です。効果の判定は1年後の肺活量(FEV1:1秒間呼気量)でおこないます。

その結果、この薬を使用していた人達123人の1年後の肺活量は1.37(L)(1.30→1.37)、チオトロピウムを使用した40人の肺活量は1.45(L)(1.33→1.45)でした。チオトロピウムに比べ多少劣る傾向がみられたものの、長期にわたり効果が維持されるとことが確認できたわけです。なお、別の海外での大規模比較試験では、チオトロピウムに勝るとも劣らない効果が示されています。
特徴
  • 長時間作用型の抗コリン薬(LAMA)に分類される気管支拡張薬です。COPDでは副交感神経系が亢進し、神経伝達物質のアセチルコリンの働きが強まっています。これに対抗し効率よく気管支拡張作用を発揮するのが抗コリン薬です。また、細い気管支を拡張するβ刺激薬に対し、抗コリン薬は太い気管支によく作用します。β刺激薬に比べ速効性にやや劣りますが、安全性が高く、また効き目が落ちないなどの利点からCOPDの長期維持療法に適します。作用持続時間が長いので吸入回数は1日1回だけです。なお、有効成分のグリコピロニウムは、複合吸入剤のウルティブロ吸入用カプセルにも配合されています。
  • 対症療法薬ですので病気そのものは治せません。ただ、症状悪化による悪循環を断ち、進行を遅らせる効果が期待できます。実際、同系の抗コリン薬のチオトロピウム(スピリーバ)による大規模長期臨床試験では、4年間にわたる呼吸機能の維持と死亡率の低下が報告されています。
  • 長期管理薬としての有用性は同類のチオトロピウム(スピリーバ)とほぼ同等です。治療開始時においては、よりすみやかな効果が期待できるかもしれません。
  • 薬剤肺到達率の高いドライパウダー吸入式です。カプセルに充填された薬剤を専用のブリーズヘラーを用いて吸入することになります。ブリーズヘラーは、吸入を患者さんの感覚(見る、聞く、感じる)で確認できるように工夫された吸入器具です。
注意
【診察で】
  • 緑内障や前立腺肥大症など、持病のある人は医師に伝えておいてください。
  • 正しい吸入方法の説明を受けておきましょう。

【注意する人】

緑内障のある人、前立腺肥大症で尿の出の悪い人など使用できないことがあります。心臓病や腎臓病のある人は慎重に用いる必要があります。

  • 適さないケース..閉塞隅角緑内障、前立腺肥大などで排尿障害がある場合。
  • 注意が必要なケース..心臓病(心不全、不整脈)、重い腎臓病、前立腺肥大のある人など。

【使用にあたり】
  • 吸入用のカプセルです。飲んでしまっては効果がありません。説明書をよく読み、専用の吸入器ブリーズヘラーを用いて吸入してください。
  • 症状の安定のために毎日定期吸入するものです。1日1回決められれた時間帯に吸入してください。急な呼吸困難には、他の速効性の吸入薬(β刺激薬)のほうが向きます。
  • 一定の時間帯に吸入できなかった場合は、できるだけ早くその日のうちに1回分を吸入してください(1日に2回吸入してはいけません)。
  • 目に入らないように注意しましょう。万一、目が充血したり、眼痛や視覚の異常があらわれた場合には、すみやかに眼科を受診してください。

【食生活】

慢性閉塞性肺疾患の一番の原因はタバコ。タバコの煙が肺や気管支を傷つけ機能を悪くするのです。禁煙は治療の大前提です。

【備考】

慢性閉塞性肺疾患の治療の主役は気管支拡張薬。長時間作用性の抗コリン薬もしくはβ2刺激薬が第一選択され、効果不十分な場合には両者による吸入療法がおこなわれます。それでも増悪をくり返す場合、さらに吸入ステロイド薬を追加することもあります。いずれも対症療法薬ですので病気そのものは治せませんが、症状悪化による悪循環を断ち進行を遅らせることが可能です。
効能 慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解
用法 通常、成人には1回1カプセル(グリコピロニウムとして50μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。
  • 注意1:本剤は吸入用カプセルであり、必ず本剤専用の吸入用器具(ブリーズヘラー)を用いて吸入し、内服しないこと。
  • 注意2:本剤は1日1回、一定の時間帯に吸入すること。吸入できなかった場合は、可能な限り速やかに1回分を吸入すること。ただし1日1回を超えて吸入しないこと。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 ときどきみられるのは口内の乾燥です。これはそれほど心配なく、ある程度はしかたないかもしれません。万一、吸入時に激しくせき込んだり、ぜいぜいして息苦しいなど呼吸困難があらわれた場合は使用を注意し直ちに受診してください。

全身性の副作用は少ないのですが、まれに尿が出にくくなることがあります。とくに前立腺肥大のある高齢の人は要注意です。そのほか、もともと心臓病のある人は、不整脈の発現など病状の悪化に注意しましょう。

もし誤って薬剤が目に入り、充血や目の痛み、かすみ、視覚の異常、視力低下などがあらわれたら、すぐに眼科を受診してください。緑内障発作につながるおそれがあります。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 心不全・不整脈..息切れ、息苦しい、むくみ、体重増加、動悸、脈が弱い、脈の乱れ、めまい、失神。

【その他】
  • 口内乾燥、声のかすれ
  • 排尿困難、動悸
  • 発疹
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用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye